第28話
料理は、美味しかった。
暖かいコーヒーを飲んでいると、冷えていた体があたたまってっくる。
すると、自然と食欲もわいてくる。
老婆は、コーヒーをすすりながら、ただそれを見ている。
4人が、おなかいっぱいになって、一息つくと、老婆は再びにいっと笑った。
「おなかはいっぱいになったかね?
さてと、お前さんらは北の国に行くんじゃろ?
怖いもの知らずにもほどがあるわな」
アップルとマリッサはどきっとする。
「どうしてそれをご存知なのですか」
アップルは硬い表情で聞く。
「わたしゃ、すべてお見通しなだけじゃ。
のう?ソレイユ王子とルナ王女」
老婆は、相変わらずにやにやしている。
二人の表情は、凍りついたまま。
「どうして、そのように何もかもご存知でいらっしゃいますの?」
更紗が聞く。
「理由なぞどうでもよかろう。
ただ・・・闇を打ち破ろうとする、お前さんたちに少しばかり知恵をさずけてやろうと思うてな。
さっき、助けてもらった礼じゃ。
ただし、力を貸す気はさらさらないぞ」
老婆は、にたにたした笑いをやめない。
「北の国が闇に支配されておるのは、わかっておろう。
闇に支配されるようになったのは、闇の魔術のせいじゃ。
闇の魔術は、人の心を吸い取ってしまう。
人の心の闇につけこみ、闇を広げるのじゃ。
北の国の闇は、北の国の城の家臣が闇を広げたから。
闇を広げた家臣が誰なのかは知らん。
じゃが、王妃に横恋慕したとかいうのが、この闇の理由じゃとか」
「どうやったら、闇を消すことが出来るのですか」
アップルが聞く。
「光が闇を破れば闇は消える」
老婆はこともなげに言う。
「簡単に言うよなあ」
ヴィーがうなった。