第24話
馬を走らせていると、急に道が激流にさえぎられた。
道は続いているのに、道をちょうど直角に横切る形で川が流れている。
更紗は怪訝な顔をする。
「こんなところに川なんてなかったと思うのですけれど・・・」
「道、間違えたんじゃないの?」
ヴィーが憎まれ口をたたく。
4人は馬を降りて、様子を伺う。
川に目を凝らすと川の中に草が生えている。
「ここに川なんかなかったんだよ」
アップルが言う。
川底に草が生えるわけがない。
4人は、急に出来たと思われる川の上流へと向かうことにした。
川上に向かうに従って、道は悪くなってくる。
激流は木々の間を縫うようにして流れていく。
濁流の中に木が必死で流れに逆らって直立している。
どれくらい山を登っただろうか。
4人は、一軒のこじんまりとした家を発見した。
何のへんてつもないその家のドアの開いた玄関からは、なぜか大量の水が吹き出していた。
玄関から吹き出した大量の水は、流れを形成し、ふもとのほうへと流れていっている。
「なんだこりゃ」
ヴィーが口をあんぐり開けてつぶやく。
家が水を噴出する。
そんな話は聞いたことがない。
4人は、とりあえず家のまわりをぐるりと一周してみることにした。
裏手から見たこの家は、なんの異常も見当たらない。
白い壁に赤い屋根。
水色のギンガムチェックのカーテンが窓辺で揺れている。
白い扉の裏口は、台所へとつながっているようだ。
東の国の様式ではない。
家の裏手を通って一周すると、4人は川の反対側に出た形となった。
「このまま進もうよ」
ヴィーがそう言うが、アップルとマリッサは顔を見合わせて首を振る。
更紗も、この家をこのままにしておくつもりはない。
ヴィーはため息をつく。
玄関から中に入るのはいくらなんでも無理と見た4人は、もう一度裏手に向かい、裏口から家の中に入ってみることにした。