第23話
翌朝、4人は朝早くに目が覚めた。
山の朝は、底冷えがする。
火の消えかけた焚き火に急いで枯れ木をたす。
鍋で湯をわかし、あたたかい紅茶をすする。
温かい器を持っていると、かじかんだ指がじんわりとほぐれる。
「ここから、東の王城までは歩けば丸2日。早く出発しましょう」
更紗がせかす。
魔法でやってきた更紗は、マリッサと二人で馬に乗っていくことになった。
更紗はマリッサの背中に一生懸命にしがみつく。
「馬に乗るの、もしかして初めて?」
更紗は、こくっこくと無言のままうなづく。
マリッサは、それを聞いて、少しスピードを緩める。
更紗の気持ちをそらそうとマリッサは、更紗に何か質問しようと考える。
「東の国のお城って、どんなところなの?」
「えっと・・・大きな湖の上に浮かんでいます。そこに、女王である美香さまと巫女姫さまがお住まいでございます」
「巫女姫さま?」
「はい。美深さまとおっしゃって美香さまの二の姫さま。美月さまの姉君でございます。
東の国では、一の姫が女王に。王族の姫の中で最も魔力に秀でているものが巫女姫になります。
いまの巫女姫さまは、特に先見の力に優れていらっしゃって」
「ふ〜ん、そんなにすごい方がヴィーのおばさまだなんて・・・」
二人は顔を見合わせてクスッと笑った。
なぜか急にヴィーが振り返る。
「そこの二人っ、いま僕のこと笑わなかった?」
悪口はよく聞こえるらしい。