第22話
更紗は、ヴィーをきっとにらんだ。
「美香さまは、意地悪でおっしゃっているのではありません。それが、必要だからおっしゃっていらっしゃるのです」
アップルは、どうどうとヴィーの頭をぽんぽんした。
「では是非、東の王城まで案内してください。今宵は、一緒にここで野宿していただけるということですかね」
更紗は顔をしかめた。
「仕方ありませんわ」
ヴィーは、小声でアップルに言う。
「なんか、感じ悪い女」
更紗は、ふんっと鼻を鳴らす。
「聞こえてますわよ。だいたい、あなたが、あの美香さまや美月さまの血を引いているなんて驚きですわ」
更紗とヴィーは目をあわせると、ふんっとお互いにそっぽを向いた。
アップルとマリッサは、そんな二人を見て、苦笑する。
「二人とも、子供じゃないんだから喧嘩しないで。仲良くしましょうよ」
マリッサがとりなす。
更紗は、アップルとマリッサにあわてて謝る。
夜具を持ってきていない更紗は、マリッサと一緒に毛布にくるまることになった。
すぐ側にいるマリッサには、更紗が震えているのがわかる。
「外に泊まるのは初めて?」
こっそりと聞く。
更紗は、だまってこっくりとうなずく。
「みんないるから、大丈夫よ。心配しないで。さあ、もう寝ましょう」
マリッサは、更紗を抱きしめる。
更紗は、その温もりを感じると、緊張の糸が切れたように眠りに落ちていった。