第17話
オリヴィエ王は、静かに語り出した。
「シルヴィア殿からの手紙には、君たちは北の国に旅立つと書いてあるが、本当に行くのかね?」
「はい」
「そうか…、せっかく会えた君たちを手放したくないが、それも仕方あるまい。北の国の闇の脅威は、最も離れているこの国にとっても人事ではない」
国王は、深い溜め息をついた。
「オリヴィアのことも、兄として心配でならない。オリヴィアの肖像画は、まだオリヴィアが生きていると示している。あれを見ると15年行方不明であるとはいえ、どうしても諦めがつかないのだよ。かと言って、国王が探しに行くわけにもいかない」
オリヴィエ王は自嘲気味に笑った。
「そこでだが、ヴィーを連れて行ってもらえないだろうか?」
「えっ?」
ヴィーは、素っ頓狂な声を出した。
「ヴィーは、次期国王なのだが、子供っぽくて困る。城を出て、北の国はと旅をするのは、ヴィーにとってプラスになるだろう」
目を見開いたままのヴィーをほったらかしてオリヴィエ王は話を続ける。
「私たちは構いませんが…」
アップルとマリッサは目を見合わせる。
「ではよろしくお願いするよ」
オリヴィエ王は、深々と頭を下げた。
「そうだ、シルヴィア殿に頼まれていた白水晶は明日の朝、出発の時に渡すからね。今夜は、早く寝なさい。ヴィーも、明日は早いぞ!おやすみ」
それだけ言うと、オリヴィエ王は笑顔で会議に戻って行った。
「父上〜」
後には、ふにゃんと脱力して泣きそうになっているヴィーが残された。