第16話
ヴィーは14歳。オリヴィエ王と今は亡き王妃ミヅキとの間に生まれた。
オリヴィアが消えてしばらくして、ミヅキが妊娠した時、暗く沈んでいた南の国に光が差したという。ミヅキは東の国の王家の出身で、オリヴィアが嫁ぐニ年前に南の国に嫁いできた。そのため、オリヴィアとも仲がよく、オリヴィアが消えた時は、オリヴィエと二人で悲しみにくれていたとか。
そんなミヅキだが、ヴィーが生まれてしばらくして、産後の肥立ちが悪かったのか、亡くなってしまった。国中の医師と魔法使いを結集しても助からなかったという。もともと、それほど体の丈夫なたちではなかった。オリヴィエ王の嘆きは相当なもので、未だに肖像画の間に佇んで、妻と妹のことを思っている。
ヴィーは、周囲に甘やかされ大切にされてきたためか、活発だが少し子供っぽくワガママなところがある王子。そんな評判だった。
三人が肖像画の間にいると、ミアが夕食の時間を告げにやってきた。
食堂の間に行き、腰掛けてしばらく待っていると、オリヴィエ王がやってきた。
「父上!会議はもう終わったのですか?」
ヴィーは、ぱあっと顔をほころばせる。
「いや、まだ終わってはいないが、せっかくオリヴィアの子供たちが来ているのだからと思って、抜けてきた」
オリヴィエは、優しい瞳で三人を見つめる。
四人は、当たり障りのない会話をしながら食事を始めた。オリヴィエ王は、よほど嬉しかったのか、いつになく食事が進む。
側に控えていたミアは、そんなオリヴィエ王に目を見張った。
「陛下が、残さずお召し上がりになるなんて、久しぶりですわ。毎日こうだと、料理人が喜びますわね」
ミアはニコニコしている。
食事が終わると、真剣な話が始まった。