表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/40

第9話

昼すぎになって、二人はおなかがすいてきたことに気づいた。少し先を見ると、小川がある。


「お昼にしましょうよ」


マリッサはアップルにそう声をかけて、小川のほとりの草むらに入っていく。


二人は、食べ物を取り出そうとシルヴィアに渡された袋をのぞきこんだ。パンやチーズ、ジンジャーとジルの角砂糖などがつまっている。その時、マリッサは袋の底のほうにある袋に気がついた。


開けてみると、そこにはたくさんのクッキーがつまっていた。


「シルヴィアおばさま特製の、香草入りクッキーがいっぱい。夕べの甘い匂いは、これだったのね。こんなにたくさん…」


アップルが手を伸ばそうとするが、マリッサは止めた。


「これ、半年は持つのよ。しかも、一枚でお腹いっぱいになるんだから。そのうち食料がなくなった時に食べましょ」


そう言いながら、袋を戻す。


アップルも、そう言われて、仕方なさそうにのばした手をひっこめる。


二人は、パンとチーズを少し食べ、小川から水をくんだ。ジンジャーとジルにも、水を飲ませる。一粒ずつ角砂糖をあげると、嬉しそうに鼻を鳴らす。


二人は草むらに腰を下ろして、少し休むことにした。春風が肌をなで、心地よい。


南の王城までは、あと半日も馬を飛ばせばつくだろうか。豊かな農耕国家である南の国は、よく整備されていて治安も良い。旅に出ると意気込んでいた二人には、少し物足りないくらいだった。


いつまでも、こうしていたい。そんな思いを振り払い、二人は再び馬に乗り、南の王城を目指した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ