俺は所謂【転生者】という奴だけどチーレムには全く興味がないのでお世話になっている道具屋さんでのんびり暮らそうと思います。
「今日も今日とて暇だな……」
「ゼロ、悪いが少し……手伝ってもらえるか?」
「……あ、すみません。了解です」
机に突っ伏してぼーっと窓の外を眺める俺にかけられた声。
それに振り向くと両手に大きな箱を五つ重ねて抱えた状態で無精髭を生やしたダンディーなおっさんが顔を真っ赤にしながら喘いでいた。
「じゃあこれ持ちますね」
「あ、あぁ、助かる」
「いえいえ」
明らかに自分の持てる量を超えた荷物を運ぼうとしていた俺の恩人であり、今現在俺が働いている道具屋【ヌル】の店主であるケミストさん。
その人に言葉を返しながら箱を受けとる。
ケミストさんはこの世界に来たばかりで一文無しで彷徨っていた俺を拾ってくれた。
見た目は少し強面だけどとてもいい人だ。
「そこに置いてもらえるか?」
「ここですか?」
「あぁ、助かったよ」
そう言いながらケミストさんは落ちていた石ころを拾い手の中に収める。
「【錬金術(笑)】」
次の瞬間、石ころは布袋へと変わっていた。
これは【ギフト】と呼ばれるこの世界に生まれた誰もが当たり前に持っている超能力のような力だ。
その種類は千差万別。
日常生活で使える便利なギフトから戦闘向きのギフト、果てはどうしようもないゴミギフトと呼ばれるものやそのギフト一つで世界を牛耳ることができるほどのものまであるらしい。
ちなみにケミストさんが持っている錬金術(笑)は『石を布袋に変える(不可逆)』という能力でぶっちゃけゴミギフトだと本人が言っていた。
けど、そのゴミと言われるような力でも案外役に立ってるんだからいいんじゃないかと種類別に箱の中身を布袋に仕分けていくケミストさんを見ていると俺には思える。
「……あのくそ女神。なぁにがこの世界はギフトが全てだよ……人間なめんな」
「ん? 何か言ったか?」
「いんや、何でもないですよ。つーか全然お客さん来ないですね」
「はは、呼び込みでもしてみるか」
そう言って店主自らドアを開けて呼び込みをかけはじめる。
「言ってくれたら俺がやるんですけどね……」
その言葉がケミストさんに届くことはない。
それを確認した俺はならばと床に散乱した布袋を用いて途中まで進んだ仕分け作業を引き継ぐ。
女神は言っていた。
うっかり俺の頭に雷を落として俺のことを殺した地球管轄のくそ女神は言っていた。
うっかり殺っちゃった!ごめんねテヘペロ♡、と。
そして、続けてこうも言った。
まぁどうせだからお前みたいな童貞が好きそうな異世界でチーレムさせてあげるから許してよ!むしろラッキーでしょ?感謝してよ、と。
人一人をうっかり殺しておいて酷い言いぐさだと思う。
だから俺は言った。
そんなのは良いから元の世界に戻して欲しい、と。
そしたら女神は言った。
あ゛?お前に選択肢なんかあるわけねえだろ。大体んなことしたらまた間違えて人間殺したことが上司にバレるだろうが!なんならてめえのこと初めからこの世界に居なかったことにしてもいいんだぞコラッ!、と。
あれが女神とか世も末だなと思った。
……まぁ、そんなこんなで俺は不本意ながらもこのファンタジー感溢れる異世界へとやってきたわけだが……
「チーレムなぁ……やっぱ興味ないな……」
女神は俺に力を与えた。
この世界で言うギフトを与えた。
それも極めて強力なものを。
名は【等価交換】。
このギフトの持つ能力は『自分を中心に半径10m以内に存在する自らの所有物と同価値、またはそれ以下の価値の物と交換することができる』といったもの。
女神が与えるギフトには第二の能力があるのだがまぁこちらは俺自身が使いたいと思って使えるものではないのでないのと同義だな。
この国は、というかこの世界は転生者を大いに歓迎している。
主に戦闘要員として。
転生者のギフトは使えば手に刻印が浮き上がるらしいのですぐに分かるようだ。
きっと国につけばそれこそ毎日豪遊出来るのだろう。
女神の言うチーレムなんかはその力と権力をもってすれば一瞬で達成できるだろう。
けど……それにどんな意味があるのだろうか。
俺だって男だ。
チートやハーレムなんかには全く関心がないわけではない。
でもそれはきっと自分の力で成したことだから意味がある。
誰かに与えられた力を、紛い物の力を奮って得たそれに一体どれだけの価値があるのか。
俺には分からない。
少なくとも今の俺にはそれが今のこの生活よりも価値のあるものには思えない。
だから転生者だということはたった一人を除き隠して今日まで生きてきた。
ギフトは同価値の物を見つける能力だということにしてある。
けれど最近はこうも思う。
お世話になっているケミストさんにすら嘘をつき続けている俺は紛い物の力を我が物顔で振るう他の転生者にも劣るのではないかと。
「つってもまぁ……言えねえよなぁ……」
言えない。
言えるわけもない。
言えばこれまで俺がケミストさんを欺き続けてきたということが露見してしまう。
ケミストさんはどう思うだろうか。
驚くだろうか、喜ぶだろうか、疑うだろうか、悲しむだろうか…………やはり軽蔑するだろうか。
それが怖くて、結局何も言えずに俺は定位置の窓のすぐそばに置かれた椅子に腰かける。
そして、そのまま机に突っ伏して溜め息を溢しつつ窓の外の景色を眺める。
カラン、と来客を告げるベルが鳴った。
「ゼロ君、久しぶり!」
「うわ……」
「そんな嫌そうな顔しなくてもいいじゃん。ゼロ君が今の生活を送れてるのは誰のおかげだっけ?」
「…………」
一人の少女が一切の迷いなく俺の元まで歩を進めると心底嬉しそうにそう言った。
対して俺はと言えば最悪の気分である。
それもそうだろう。
この女は俺が転生者であることを知っているたった一人の存在なのだから。
過去に戻れるなら一時の気の迷いでこいつを助けた自分を殺してやりたい。
「で? 何しに来たんだ?」
「連れないなぁ……。理由がないと来ちゃダメなの?」
「道具屋だぞ? 当たり前だろ」
「こらこら、そんな言い方は良くないぞゼロ。ゆっくりしていっていいからねアイン」
「わぁ、ほんとですかぁ? ありがとうございまーす」
こんのアマ……
ケミストさんはこいつの本性を知らないからこんなことが言えるんだよ!
つーか、こいつそこらへんもしっかり計算してやってそうでマジで質が悪い。
きっと俺もこいつの本性を知らなければくりっとした大きな蒼眼の銀髪美少女みたいな風に思っていたのだろう。
きっと語尾を伸ばしたりいちいちきゃぴきゃぴした効果音が聞こえそうな行動をとられてもイラっと来ることは無かったのだろう。むしろそれすら可愛いとまで思っていた可能性がある。
もっともこいつの本性を知ってる以上そんなことはあり得ないが。
「それで? お前ほんとに俺に嫌がらせするためだけに来たのか?」
「えぇ~、ひっどーい。せっかくお仕事頑張ってるゼロ君を励ましてあげようと思って来てあげたのにぃ」
「そうか。じゃあもう十分だから今すぐ帰れ」
「……そっかぁ、でもそうだよね。ゼロ君忙しいし私なんかじゃ全然力になれないもんね。あーあ、あの時のかっこよかったゼロ君に私もう一度会い――」
「あはは、やっぱり帰らなくていいよ! ゆっくりしていってね!」
しおらしくなったと思ったら爆弾放り込もうとしてきやがった……
この女マジで悪魔かなんかの末裔だろ……
「え? でもさっき邪魔だから帰れって……」
「嘘だよ嘘!」
「じゃあほんとは居て欲しいの?」
ほう?
良い度胸じゃねえか。
全てがお前の思い通りにいくなんて――
「あの時のゼロ君は――」
「ウン、メチャクチャイテホシイ!(直訳:死ね!)」
「えぇ~、もう! 仕方ないなぁ! ゼロ君の為に居てあげるね!」
血反吐吐きそうな気分で何とか本音を隠し言い切った俺にニコニコと笑みを浮かべながらアインはそう言った。
この悪魔め……
「あ、ゼロ君! 私紅茶でいいよ」
「そこら辺のドブでも飲んでろ」
「こら! こんなに可愛い女の子になんてことを言うんだゼロ!」
「い、いや違うんですよケミストさん! これには海よりも深く空よりも広い理由が……」
ケミストさんに怒られ俺は慌てて弁明を始める。
そんな俺を見てアインはどこか遠い目をして「はぁ……」とわざとらしくため息を一つ吐き口を開いた。
「いいんですよケミストさん。たしかに今のゼロ君の言葉はちょっと辛かったですけど私は本当はゼロ君がとっても優しくて強い――」
「紅茶だったっけ!? お茶受けはクッキーでいいかな!?」
「もちろん! あ、もしかしてゼロ君お手製のクッキー? あれ美味しいから楽しみだなぁ……!」
今更気付いたけどこの場で俺に勝ち目はない。
というかケミストさんがいる以上俺は常にこの女に眉間に銃口突きつけられた状態なのだ。
はじめから逆らうなんて選択肢あるわけもなかった。
「それでね……私がね……ここにね……」
「食うか喋るかどっちかにしろ。つーか、あんまり食うな。それケミストさんの為に作ったんだぞ」
ギフトは使いすぎると精神的に疲れる。
ケミストさんは仕事柄なのか自分のギフトを使いまくっているので時折「甘い物が食べたい」と呻いて寝込んでしまうことがある。
それを避けるためと仮になったとしてもすぐに糖分を摂取してもらえるように、と俺は仕事の合間にお菓子を作り始めたのだ。
だというのになぜこいつはそんな俺のクッキーをこんなにバクバク食ってるのだろうか?
あ、おい二枚一気に食うな!
もうちょっと味わって食え!
「ゼロ君のクッキー美味ひぃ……でもこれコーヒーの方が合うかもしれませんね?」
「そうだね。よし、三人分でいいよね? 私が淹れてくるよ」
「え? ほんとですかぁ? ありがとうございます!!」
「あ、それなら俺が」
「ゼロ君、ちょっと待って」
わざわざケミストさんがすることじゃない。
なので俺がコーヒーを淹れようと立ち上がるとそれを遮るようにアインが俺の腕を掴んだ。
「……なに?」
不思議そうな顔をしたあとコーヒーを淹れに行ってしまったケミストさんの背中を見ながら俺はアインに言葉を返す。
「えっと、ね。実は……このままだと今日私死んじゃうんだけど助けてくれない?」
迷惑そうな視線をぶつける俺になぜか照れたような表情をしながらアインはそう言った。
「………………え、普通に嫌だけど」
★★★★★
ギフト【運命】。
アインの所持するギフトの名でありその能力は『自らの死をその前後五分間に渡り知る』だ。
このギフトで知った未来はそのままにしておけば100%の確率で的中する。
そして今回、アインはそのギフトで自らの死を知った。
「……で? お前が死ぬのはこの国が戦争に勝つために制御できる保証もない封印された魔神に手を出して案の定魔神が暴走した結果、と?」
「……うん。一応国にも掛け合ったんだけど「失敗するということが分かったのなら更に失敗しないように注意を強めればいいだけだ!」って言われちゃって……」
「……よし、逃げるか」
「ダメだよぉ。私もそう思ったけど他の国で殺される未来に変わっただけだったよ……」
「えぇ……別にお前が死のうが生きようがどうでもいいし……あ、でもこの店が潰れるのは困るな」
話を聞いた感じだと自業自得過ぎてこれっぽっちも助ける気にならねえよなぁ……
正直アインが死んでくれるのは倫理観とか取っ払って考えたらありがたい話な訳だし……
「助けてくれないならケミストさんに全部言ってやる……」
「分かった。座るんだ。少し話し合おう」
まぁこうなるよな。
死人に口なし、なんて言葉もあるにはあるがさすがに人殺しはできるだけ避けたい。
「……つーかさ、転生者はどうなったんだ?」
「魔神相手に蹂躙されてた」
「マジかー」
転生者って結構強いはずなんだけどな……
散々豪遊してる癖に肝心な時に役に立たねぇ……
「しょうがないよ。魔神は【世界凍結】のギフトで時間止めちゃうから」
「うへぇ、噂には聞いてたけどほんとにあるのな……」
魔神、なんて言うとまるで俺を殺したくそ女神と同等の神々のようなイメージを持つだろうが実際はゴリゴリの人工物である。
かつて様々なギフトを持った人間を無理やり混ぜ合わせて最強の人間を作るとかいうくそみたいな実験が行われたらしい。
当然の如く実験は失敗した。
いや、一応【世界凍結】なんていうチートじみたギフトを作ることに成功したのだからある意味実験は成功したのだろう。
使われた人間の人間に対する恨みを晴らすために虐殺を働くだけの化け物が完成したらしいけど。
「ね? お願い! 世界を救うと思ってさ!」
「いや、自業自得だから勝手に死ねって感じなんだけど……」
「じゃあいっそ私だけで良いから助けて!」
「清々しいまでにクズだなぁ……」
「私のファーストキスあげるから!」
「いらねーよ。死ねよ」
余計助ける気無くしてきたんだけどどうしようか。
「ん、どうかしたのかい二人とも」
「い、いや、何でもないですよ。コーヒーありがとうございます!」
「……ありがとーございまーす!」
やっぱりめんどくさいし家財道具集めて逃げる準備でもしようかなと考えていたらケミストさんがコーヒーをのせたトレーを持って戻ってきた。
「……アイン、さっきの話っていつの話なんだ?」
「あー、それなんだけどね……あと十秒後、かな」
「………………は?」
俺がアインに間の抜けた返事を返すのとそれが起きたのはほぼ同時だった。
ドゴン、と体に響くような爆音が辺りに轟く。
それが何を示すか、分かっているのはきっと現場にいる人間と俺達二人だけだろう。
「な、何か起きたのか? 二人ともここでじっとしてなさい。私が少し様子を見てくるから」
「いや、大丈夫です! たぶん大したことじゃないですからじっとしときましょう!」
「そ、そうですよぉ! ほらゼロ君の作ったクッキー無くなっちゃいますよ!」
「あ、こらてめえ食いすぎだろ!」
くっそ、こいつマジで助ける気無くすわー。
つっても今から逃げるのはたぶんもう無理だよな……
それならここでじっとしてる方がまだ安全だ。
「はぁ……二人とも手貸して」
「ん? どうかしたのかゼロ?」
「いいよー」
不思議そうな顔をして尋ねるケミストさんと対照的にあっさりと俺の手を取るアイン。
そんなアインに急かされケミストさんも俺の手を取る。
その次の瞬間、俺達は死んだ。
厳密に言えば俺とケミストさんは一度死んだ。
理由は考えるまでもない。
魔神が時間を停止させ俺達を殺したのだろう。
けれどもアインだけは一切の無傷。
俺達の返り血を浴びて見た目がえぐいことになってはいるが傷一つない。
この店内でただ一人生きている、という状況を魔神が作ろうとしたからだ。
訳も分からないままに一瞬前まで生きていた誰かが死んでいればそれはそれは怖いだろう。
――本来ならば。
「…………ナゼ、イキテイル……? キサマハイマカクジツニコロシタハズダ」
「生憎、自分だけが不利益を被るとか俺許せないんだよね。……だから死ね」
「――ッ!? ゴボァッ!?」
俺の言葉が終わると同時に魔神は夥しい量の血を吐き出した。
元が人間だからかその血は赤かった。
俺の持つ【等価交換】の第二の能力。
俺は俺にただ一方的に危害を加えられることを許さない。
平等を重んじるがゆえの能力。
それは俺の所有物に与えた不利益を三割軽減して軽減した不利益を相手に与える。
そして俺自身に対してならば七割軽減して軽減した不利益を相手に与える。
「所有物ってさ、具体的に言うと何だと思う?」
「ガ、ガァアアアアアッッ!!」
こんな貰い物の力、できれば使いたくはない。
でも、だからと言って使えなくてもいいというわけではない。
それがどれだけ不本意な物だとしても時にはきっと使わなければいけない時がある。
そのとき使えませんじゃ話にならない。
だから俺はこのギフトを使いこなそうと理解しようと努めてきた。
そのうえで『所有物』『同価値』『物』という三つの言葉は俺をかなり悩ませた。
何をもって所有物とするのか。
何をもって価値を決めるのか。
何をもってこのギフトの効果に含まれる『物』となるのか。
研究に研究を重ねた結果、一つの結論にたどり着いた。
全ては俺の主観次第。
――等価を、公平を、平等を謳うこのギフトは、他の何よりも傲慢だった。
俺が俺の物だと思えばそれは俺の所有物として扱われるのだ。
俺が同価値だと思えばそれは同価値なのだ。
俺が物だと思えばそれがたとえ目に見えなくても物なのだ。
ゆえに最強。
そしてケミストさんはあの瞬間、俺の手元にある俺の所有物に他ならなかった。
ならば、俺と俺の所有物に本来であれば死ぬほどの不利益を与えた魔神はどうなるか。
「――グボォァアッッ!?!?」
――死んで当然だ。
「つーか、アイン」
「…………」
汚い液体まき散らして、臓器とも呼べない臓器を垂れ流して死んでいる魔神、いや人間だった物を一瞥して俺はアインに視線を向ける。
どこからどう見てもドン引きしていた。
「お前……やらせといてそんな目で見るか?」
「いやぁ、久しぶりに見たけどほんと理不尽だよね……」
「……だから使いたくないんだよ。そもそも俺の力ですらねーし。めちゃくちゃ傲慢な思考回路してないとフルに能力発揮できないし……」
望んだわけでもない。
そもそもこんな世界に来たかったわけでもない。
帰れるものなら帰りたいと今でも心底そう思う。
誰がこんな化け物に襲われる日々の方が良いなんて思うものか。
「でも、ゼロ君のおかげで私は死なずに済んだしケミストさんだって意識は無いみたいだけど死んでないんでしょ? だったらやっぱりゼロ君のギフトは凄いと私は思う。だからさ、そんなに自分を卑下しないでよ。私は……私だけは何があってもゼロ君の味方だよ」
使いたくない、むしろ嫌っているにも関わらず使わざるを得ない。
そんな自分自身の弱さにどうしようもない自己嫌悪を感じている俺の手を取りどこか悲し気に笑みを浮かべるアイン。
それはきっとそういう事なのだろう。
アインが俺の事をどう思っているかなんて今に気付いたことじゃない。
分かっているなら俺は……それに応えなければならない。
見て見ぬふりなんて無責任だから。
「で? こんなことをしてお前は一体次は俺をどんな面倒ごとに巻き込むつもりだ?」
「あり? バレちゃった?」
「当たり前だろ。お前が何の下心もなく俺を慰めようとなんかするわけねーだろ。いい加減付き合いだってそれなりに長いんだから気付くわ」
「……下心は下心でももっと純粋な物かも、よ……?」
「お前みたいに濁りきった奴にんなもんあってたまるか」
「…………はぁ。分かったよ。何を頼みたいか言えばいいんでしょ!? 言えば!!」
「なんで半ギレなんだよ……」
理不尽の極みみたいな奴だな。
つーか、言えば俺がその頼み事引き受けるみたいになってるけど絶対に引き受けねえからな。
「いや、実はね……このままだと私明日死ぬっぽいから助けて」
「……………………え、嫌だけど」
せめてのんびり暮らしたい……
『スローライフ希望の最強転生者』が書いてみたかったんですけど難しいですね。
精進します。