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アルカ  作者: 試作439
第一章 ~アルカ・ソフ・オウル~
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第十三節 56話 事象想定 3

 おそらく、三週間は過ぎたと思う。

 手繰った夢の中では、時は正確に進み続けている。あたしがこれまでに思考して作り出した世界の中で流れている時間を全て足してみると、おおよそ三万分は経過していた。一週間が約一万分。その三倍以上は経過している。

 枝と繋がっている魂は今まで手繰った全ての夢を記憶している。計ろうと思えば正確に計れるんだけど、そんな必要無いからいいや。

 澱みを消し去る一つの夢を願い、世界を覗き、その成果を確認するまでが数十秒から数分。長い時で数百分かけて実証実験を試した時もあった。

 問題点や課題を一つ一つ挙げていき、これならどうだと試してみては、肩を落とす。ずっと繰り返しているうちに、やがてナラカの海やユングを消し去るのではなくて、例の曼荼羅を正常に戻す手段を探す作戦に切り替えた。

 ユングが言うには、釈迦が初めて見つけたとかいう、ニグレドの澱みをアルベドに貫流させる謎システム。

 ユング自身が曼荼羅の特性について熟知していた。ならば今のあたしもこの場所で学び続けることにより、仕組みを紐解くことは可能のはず。

 あたしは様々な世界中の文献を読む夢を手繰り寄せて、曼荼羅の構造や仕組み、由来を調べ続けていた。幸いなことに、今のあたしに手繰れない夢は無いと思えるくらい、思い願った世界が目の前に現れ続ける。枝を使いこなした当初の高度だと、要求の高い夢はちっとも目の前に現れなかった。それが今では、海外にある全ての図書館すらも、目の前に手繰り寄せることが可能になっている。文献を調べるために必要な言語も、その都度習得して読み解き続けた。

 おそらく、アルベドの低層で浄化された澱みは、高層に滞留するようになっているのだろう。今のあたしは世界中の人々の知識や記憶を手繰り寄せようと思えば手繰り寄せられる。

 一歩一歩、知識を積み重ねて、目的を達成させる。

 今のあたしに不可能なんて無いはずだ。

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