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アルカ  作者: 試作439
第一章 ~アルカ・ソフ・オウル~
36/70

第九節 36話 クラフト・マリウスとの対面

 夏休みが明けて十日以上経った朝。

 マリウスの突然の退職及び帰国が発表されて、学校中の女生徒達に悲嘆と失望が駆け抜けて、それも一段落した頃。

 あたしがいつものように遅刻寸前に教室に着くと、そこには既に担任のマルがいた。

 あれ? まだホームルームには時間があるはずだよね。

「広瀬、ちょっと来てくれないか」

 教室に駆け込んできたあたしに、マルが声をかけてきた。何か神妙な雰囲気だ。

「はあ。とりあえず鞄置いていいですか」

「いや、必要無い。ちょっと来てくれ」

 マルは有無を言わさない態度で、教室のドアを開けて先に廊下に出て行った。

 教室は八割方の生徒が席に座っている。ミコも既に登校してて、マルに呼び出されるあたしを不安気に見つめていた。

 ……。マルがこれだけ緊張しているってことは、斐氏神社に関する何かなのだろう。ミコにすら伝えていない事。

 急ぎの連絡みたいだけど、もう少し気を使ってくれないかな。せめて玄関で待つとかさ。目立ってしょうがない。

 あたしはマルに不満を感じつつ、教室の皆の視線から逃げるように退室した。



 人気の無い朝の美術室に入ると、マルは携帯電話を取り出して通話ボタンを押した。

「マリウスが目を覚ましたそうだ。宗師様が広瀬と話をしたがっている」

「はあ。わかりました」

「あまり驚かないんだな」

「ある程度予想はしてましたから」マルの様子から、そのくらいの事態は察していた。

 マルのあたしに対する態度は未だにぎこちない。

 ミコに対してはずっと怖れ敬っている雰囲気があったが、あたしに対しては同じクラスのいち生徒としてしか見てなかったはずだ。それが最近になって、ミコと同じレベルの護衛対象として那美から指示を受けたのだから、困惑するのも当然だろう。

 まあ、普段は筋肉質の何考えてるかわかんないおじさんだけど、味方だと思うとそれなりに頼もしい。

「はい。今、目の前におります」

 マルが通話状態になった自身の携帯電話を手渡してきた。

「もしもし」

『私だ。話は丸上先生から聞いたか?』

「はい。マリウスが目を覚ましたと」

『ああ。つい一時間ほど前に意識が戻った。今は烏さんが尋問しているが、何も喋ろうとはしない。今からこちらに来て立ち会ってはくれないだろうか』

「わかりました。すぐに向かいます」

 来るなと言われても、自分から行くつもりだった。

 あたしは散々な目に遭わされた。当然、立ち会う権利がある。

『風間を迎えに行かせた。裏門側の死角に車が停まっている。それに乗れ』

「はい」

 マルに携帯電話を返すと、二言三言会話した後通話を切り、マルが心配気にあたしを見つめてきた。

「先生、悪いけど今日は休むことになります」

「ああ。問題無い。ところで、その、広瀬」

「はい?」

「おまえは、その……」

 マルはあたしに尋ねたがっている。

 まあ、マルの立場からしたら疑問だらけか。

 自身の入信している神社の後継者の同級生が、なぜか最近になって重要人物に格上げされたんだから。尋ねたいことも山ほどあるだろう。

 しかし、あたしの立場からは何も言う事はできない。

「先生は、ミコを守ることだけに集中しててください」

 あたしが機先を制して声をかけると、マルは小さく「わかった」と呟き肩を丸めた。



 学校から車で送られ斐氏神社に着いたあたしは、先導する大江珠理の後ろを歩き、マリウスの軟禁場所へと向かっていた。

 足元からキュッキュッとうぐいすの鳴くような音が鳴る。最初はワクワクしたけど、ここを通るのも三度目だ。新しさは感じなくなっていた。

 この程度のことで毎回童心に返るほど、子供じゃありませんよ。

「何度もお呼びだてしてしまい、申し訳ありません」

「いえ。全然ですよ。あたしも学校サボれるし、それにマリウスには文句言わなきゃ気が済まないし」

 あっけらかんとした態度を崩さないあたしを見て、珠理は笑った。

「お強くなられましたね」

「え? 強い? あたしが?」

「はい。私なら、自分に襲い掛かってきた男性と向き合える勇気は無いと思います」珠理は暗い表情で言った。

 そっか。そういわれると、そう思える。

 あたしって強い女になったのかな。あんまり自覚が無かった。そういえば昨日眠ってる時に見たら、魂がちょっと大きくなってたっけ。

「私は怖いです。マリウスの事も、コミュニオンやクルーチスという組織の事も。得体の知れない集団に悪意を向けられているのに、その場に踏み止まれる勇気は、私にはありません。ましてやアルカさんは巻き込まれた立場。私がアルカさんの立場だったら、逃げ出していると思います」

「いやあ、まあ、逃げても何も解決しそうに無い話ですし。なんていうか、あたしは今の生活が気に入ってるんで、できるだけこの状況を維持したいんです。世の中、平和が一番」

 なんとなくだが、なんとかなると思ってる。

 そんなあたしのゆるい励ましを受けて、珠理の顔にも笑顔が浮かんだ。

 なんだかなー。珠理は黙っているとシュッとした有能な美人秘書に見えるんだけど、今日は少し落ち込んでるみたい。ストレスで眠れてないんじゃないかな。今度アルベドに持ち上げて、気分がハイになる夢を見せてあげようか。

「申し訳ありません。少し愚痴っぽくなってしまいましたね」

「いえ、平気ですよ。確かに、枝の制御に成功してからのあたしは、強気になってる部分もあるんで」

 銃弾だって避けられるもんね。大概の危険は自力で乗り越えられる。

「母は文武に秀でた能力を持っているのですが、私が誇れるのは学力面だけでして。斐氏神社に仕える大江一族として、己の才能の無さが無念で仕方ありません。もう少し私が強かったら、私のせいでアルカさんを危険な目に遭わせる事も無かったでしょうに」

「え? 危険?」珠理から危険な目にあわされたことなんてあったっけ?

「私がストゥに襲われて眠らされ、アルカさんを拉致させてしまった時のことです。母ならばそのような失態を犯さなかったでしょう……」

「まだ気にかけてたんですか」随分前の事なのに。物覚えが良すぎるのも不幸だね。「済んだことなんだから、いつまでも後悔してなくていいですよ。あたしは全く気にしてないんで」

「申し訳ありません」

 しばらくあたし専属のお手伝いとして珠理と過ごしたから、彼女の面倒臭い性格も把握している。紅茶をうまく淹れられなかったりとか、些細な失敗を長く思い悩みやすいのだ。完璧主義で生真面目。あたしとは大違いだ。

「あ、けど、あたしも珠理さんに謝ろうと思ってたんですよ。マリウスを教師に据えた時、かなりきつく八つ当たりしちゃいましたよね」

 君爺を強引にクビにしたと思い込み、下っ端の珠理に八つ当たりしたことがあった。

 立場が上になりつつある今となってはパワハラ案件である。

「いえ。私もそんな以前のことは、もう気にしてませんよ」

「それならあいこですよ。もうお互い過去のことで悩みすぎるのやめましょうよ」

 あたしが明るく言い放つと、珠理もようやく微笑んで頷いた。

 やっぱりこの人、笑ってたほうが美人だね。



 急な階段を降りてコンクリートの廊下を進み、隔離区画に入ると、那美と烏、それに数人の護衛らしき男たちが見えた。

 あたしが近づくと、海が割れるように護衛達が道を開ける。

「ども」「すません」と、首をカクカク下げながら、あたしは真ん中を進んだ。慣れないなあ、この雰囲気。あたしは隅っこを歩きたいのに。

 以前と同じ牢の前に那美と烏さんがいて、その奥にマリウスはいた。ベッドに座り、目線を床に落としている。

 あたしが近づくと、顔を上げて目が合った。ヒゲが伸びて金色に光っているが、顔色は良く見える。

「お久しぶりです、先生」

「……」

 マリウスは何も言わない。少しやつれてて枯れた感じがするが、目線はしっかりとあたしを捉えている。

 まだまだ油断ならんね、この雰囲気。

 何も諦めていない。脱走を計画している目つきだ。

「ゆっくり休めたでしょう。良い夢を見たんじゃないですか?」

 マリウスはようやく、口元に笑みを浮かべた。

「おかげさまでね。安上さんの気持ちが理解できました」

「そうですか。快眠できたついでに、知ってることを教えてくれませんか」

「……」

「黙っていても、ここから出ることはできませんよ」

 マリウスはあたしから目線を逸らして、下を見たまま黙り込んだ。

 もっと饒舌な感じの奴だと思ってたんだけどなあ。意識的に会話を拒絶している感じがする。

「健康に問題は無い。ただ、ずっとこの調子だ。簡単な会話には応じるが、コミュニオン、クルーチス、水曜会。その目的や規模はどのようなものだと聞いても、ただ黙るだけだ」那美が忌々しげに檻を蹴りながら言った。

 ここからは重要な話になる。護衛や監視を最小限に減らして、何度か質問を重ねた。

 しかし、何を尋ねても、マリウスは動かずにじっとしているだけだった。

「聞いているのか。貴様は既にコミュニオンからも見限られた。知っていることを全て話さなければ、一生ここから出さぬぞ」

 那美が脅しつけてみたが、マリウスは無反応だ。

 そもそも、脅しの通用する相手ではない。マリウスはあたしを巻き込んでの自爆攻撃まで仕掛けて来るような男だ。

「宗師様。自白剤の用意ができました。試してみますか?」烏さんが那美の耳元で囁いた。

「ちょっと待って下さい……。その、あまり強引な手は良くないかもしれません」

 マリウスは一ヶ月半以上も昏睡状態だった。

 中でもあたしが魂の澱みを取り払う時は衰弱が激しく、死亡すらありえた。あまり強引な手を使いたくはない。

「とりあえず、場所を変えよう。見張りをつけているので安心だ」

 那美の一言で、あたし達は別室に移動した。

 あたしがパイプ椅子に座ると、那美も正面の椅子に座った。烏さんは入り口横に直立不動で立ち、珠理があたし達の分のお茶を淹れた。口をつけると、とてもおいしい。見張り番の飲むお茶の茶葉まで、高価なものが使われている。

「さて、どうやって奴の口を割らせようか」

「例のコミュニオンの人とか、もう一度呼んでみますか?」

「アダム・ロレンツ・クラフトマンか。あいつに何かできるとも思えんがな」

「住んでいた場所は調べたんですか?」

「ああ。鰐丘に引っ越して来た頃はマンションを借りてて、教師として雇った後は教員住宅に住んでいた。持ち物を全て調べたが、怪しい物は見つからなかった。携帯電話やパソコンの履歴にも、特段怪しい痕跡は無かった」

「それもおかしいですね。ストゥを襲った時は、山のような武器を持っていました」

「うむ。他に協力者がいるか、資金源はどれほどなのか。何一つ分かっていない。どうすれば良いやら。なんとか奴の意図を探る手は無いだろうか」

「意図を探る、ですか……」

 そこで、あたしは一つ、手を思いついた。

「試しに、枝でマリウスの真意を探ってみましょうか」

 試すといっても、あたしにできることと言ったら妖の枝を使うしか無いんだけどね。

 那美の同意を得ると、あたしはいつものように椅子に座って瞑想を始めた。

 すると、幸運にも一発でヨーヨーの型が発動した。幸先が良い。

 あたしには勝算があった。マリウスはこの場に軟禁されてしばらく経った。あたしが枝で硬い甲羅のような澱みを砕いて浄化して以降は、マリウスも時々は熟睡していたはず。となると、夢を見て何らかの記憶をアルベドに捨て続けたはずだ。

 イベントリーダーで手繰り寄せられる夢は、あたしの魂が記憶している知識の他に、枝の探知範囲内に捨てられた他者の記憶も手繰り寄せて見ることが可能だ。となると、あの時剥がした澱みそのものも含めて、今のこの場所はマリウスの記憶の倉庫となっているはず。枝の探知範囲外からでは無理でも、ここまで近ければ呼び出して調べることは可能なはずだ。

「あたしがトウを開いている間は、くれぐれもマリウスを眠らせないようにして下さいね」

 あたしは半覚醒状態のまま那美に言うと、額に枝を貼り付けたままトウを開き、魂ごとアルベドに入った。

 乳白色の世界は澄み渡っている。さてと。

「マリウスが知ってること全てを話す世界」

 突然、死の気配に満ちた真っ暗な世界があたしの周囲に作られた!

「うなああ!」

 あああ、危ない。おもわず変な悲鳴が出た。

 なんで?

 望んだ世界と全く別の世界が手繰り寄せられてしまった。

 イベントリーダーのスランプだろうか? いや、そんなこと今まで一度も無かった。

 探ろうとした相手がマリウスだからだろう。でもなんで?

 目の前の夢の世界には、吸い込まれるような感触は無い。少なくとも、今のアルベドでマリウスが眠りについて、自分が死んだ後の世界の夢を見ているなんてことでは無い。

 あたしは枝で触れないよう、慎重に世界の一つ一つを調べ始めた。

 どの世界のマリウスも、死んでいた。マリウスの名前が刻まれた墓標があったり、死んだばかりのマリウスが居たり。交通事故死。病死。自死。死因は様々だが、生きているマリウスは一人もいない。

 あたしが何か間違ったことをしたのだろうか。もう一度試してみることにした。

 枝を垂直に、やや高い所まで伸ばして、マリウスの死の世界だらけの場所からやや離れて、もう一度願った。

「マリウスが知ってること全てを話してくれる世界」

 再びいくつかの世界が作られた。だが、今度もまたマリウスの死の気配が漂う世界がニグレド近くに複数作られてしまった。

 ただ、ニグレドから遥かに高い位置にも世界が作られた波動を感じる。そっちのほうからは死の気配が感じられない。

 まるで、ニグレドにいるマリウス自身が、死ぬ夢を手繰り寄せているかのようだった。

 ひょっとしたら、マリウスはいつ眠っても、自分が死ぬ悪夢しか見ることが出来ずにいたのではないだろうか。

 眠る度に悪夢を見てしまう。

 そんなんじゃ身が持たないよ。いくらマリウスの魂が強靭で巨大でも。

 あたしが今いる位置は、ニグレドからかなり離れた高い位置だ。このあたりなら、マリウスが死ぬ悪夢は寄ってこないみたいだが、普通の人間では眠りについてもここまで到達できない。

 なぜこのようなことになるのか不明だが、まあいい。今はとりあえず放っておこう。調べているうちに原因が分かるかもしれないし。

 もっと上にも世界が作られていたので、必ずしもマリウスの告白を聞けないわけでもなさそう。

 あたしはそのまま枝をできるだけ高く上らせた。白髪になって一度は切った髪も今はかなり伸びたが、髪を絡めて更に高く上る必要まではないと思う。普通に魂の額部分から枝を生やした状態のまま、どんどん高く潜る。

 枝を伸ばしきった所で、三度夢を見てみようと望んだ。

「マリウスが全てを話す世界」

 アルベドに軽い波動を感じて、世界が創造された。ただ、まだまだ遠い。ヨーヨーを発動している今のあたしでも、覗くことが叶わないほど距離がある。

 もうちょっと、具体的じゃなきゃダメかな。

「マリウスが秘密を告白する世界」

 これも遠い。まだダメだ。

 ただ、さっきよりは近くなった。望む夢は具体的なほうが良いのかも。

「マリウスが水曜会についてあたしに詳しく話す世界」

 かなり近くなった。目を凝らせばマリウスが話している世界が遠くに見える。声もかすかに聞こえるが、蚊の鳴くような声で聞き取ることができない。

 これはようするに、マリウスはどれだけあたしに問い詰められても、組織のことは売らないってことだろう。

 まあ、死ぬ覚悟があるほどの男だし、口が堅くて当然か。

 どうしよう。別の角度から探してみようか。話をさせるんじゃなくて。

「マリウスが心を許した者と会話をする世界」

 今度は成功した。目の前に世界が現われた。

 これは、インターネット通信だ。チャットで女性と会話をしている世界が現われた。

 めんどくさい。心を許してるのなら会って話しろよ。

 何語だろう? 英語ではない。以前にマリウスはトライリンガルで数カ国語を話せると聞いた。言葉の雰囲気から、おそらくドイツ語と思われる。英語だったら枝の力を使ってこのまま同時翻訳できるんだけど……。

 というか、家の様子がおかしい。ついさっき、那美はマリウスの居住地は教員住宅とマンションと言っていた。この場所は明らかに違う。古い木造の一戸建てだ。

 もう少し調べてみるかな。

「マリウスがこの家に入る直前の姿」

 車で木造家屋の前に乗り付けたマリウスが、周囲を警戒しながら家に入ろうとしている。黒髪のカツラを被って日本人に変装しており、用意周到な感じだ。

 なるほどね。

「那美さん、書くものあります?」あたしはトウを開いたまま、ニグレドで半目に開いた目を那美に向けた。「マリウスの隠れ家を見つけました」

 車の横にある電柱に書かれている地名や周囲の環境を確認。アルベドの高みで夢を見ながら、ニグレドの肉体で位置を記していく。我ながら器用だ。

「海外の仲間と通信する時は、必ずここを使ってたようです。武器庫にもなってますね。重火器がたくさんあります」

「わかった。すぐに向かわせよう」

「あ、あともう一つ。全ての入り口に爆薬が仕掛けられてます。廊下には振動センサーもありますね。出入りには携帯で解除コードを送信しなければなりません。アルファベッドと数字で、○○○……」

 那美が、すごいなコイツといった顔であたしを見つめている。ほほほ。我慢しないで褒めてもよろしくてよ?

 ……x5p8、と。これでよし。隠れ家のほうは後で斐氏神社の誰かが調べて報告してくるだろう。

 さて。

 マリウスはどうやら、あたしに心を許していない。だから、イベントリーダーにもややコツがいるようだ。

 寮のあたしの部屋で話した時の雰囲気からも、本来はお喋りなタイプだと思う。自尊心をくすぐりつつ、マリウスに気持ちよく話をさせる夢。

 こんなのはどうだ。

「口説き落としたミコに対して、自分の崇高な使命と全ての真実を語り、理解を求める世界」

 具体的に望むと割と近くに現れた。成功だ。

 学校の空き教室らしき場所で、ミコを抱きしめつつ甘い言葉を囁いているマリウスがいる。ミコはマリウスの胸にそっと手を当て、陶酔している。

 気分の良くない絵面だ。

 もうちょっと別の望み方にすれば良かったと思うが、まあいい。成功したんだから我慢しよう。

 ミコを椅子に座らせると、マリウスが胸に手を当てて語り出した。


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