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第八十八話:地下と創造

第八十八話です。


よろしくお願いします。


もう一個連載してる方がPVが遥かに多いっすね(´∀`)

 

「では参りましょうか。私について来てくださいね」


 ディアに案内され、城の内部を見学する。

 石板に乗る度にエリザがバーンにしがみついていた。


「バーン様ぁ……私はここまでの様ですぅ」


 いつもは凛々しいエリザもやはり高い場所が苦手な様で今にも泣きそうになっている。

 バーンは頭を撫でてエリザをなだめ続けていた。

 城の説明を受けながら漸く地面に降りるとエリザはホッと息を吐く。


「この城には地下は無いのか?」


 バーンの質問にディアは一瞬眉を寄せる。


「ありません。必要ないですからね」


「そうか。どこの城にもあったからちょっと気になってな。それに、城の地下には〝何か〟がありそうでワクワクするんだ。案内してくれてありがとう。世話をかけたね」


 そう言ってバーンが城を出ようとすると、ディアに声を掛けられた。


「あ、あの……この後はどちらに?」


「ん? リークの剣を探しに行くつもりだが……」


「リーク様の剣でしたらお墓も探すといいかもしれませんね。色んなお墓がありますから……もしかしたら勇者様の言う〝何か〟が見つかるかもしれません」


「……分かった。ありがとう」


「ご武運を……」



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 城を出て街へと歩き出す。


「バーン様……先程のあの方……様子がおかしくありませんでしたか?」


「ああ……〝地下は必要ない〟それに〝お墓〟だ。間違いないな」


「どういう事ですか?」


「地下の事を訊いた時のあの表情、それにわざわざ呼び止めるって事は……」


「止めて欲しいんじゃねぇか? 時空融合をよ」


 ディアは肌が白く顔色が非常に悪かった。

 日の光を全く浴びていない可能性がある。

 城から一切でておらず、研究施設は城の地下にあると考えられた。

 彼女がバルバロッサの右腕なら間違いなく実験に関わっている。

 彼女自身限界なのではないだろうか。


「罠の可能性はどうでしょう」


「無くはない……が、そもそも時空融合の存在はバレていないとバルバロッサは思っているはずだ」


「ではやはり、何処かのお墓がお城の地下に通じている……という事ですわね」


「そうなるな……予定変更だ。今からリークの所へ戻ろう」


 再びエリザの魔法を使ってリークの場所へと戻った。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「墓地から地下に……か」


 リークとクロアは考え込む。

 クロアがまだ城にいた頃は地下はなかった。

 つまり、実験施設を作るために作られたかどうかは定かではないが、クロアがいなくなった後に地下室が作られたということになる。



「城に近い墓地は全部で四つある。このどれかに隠し通路があるんだろうけど……」


「どの墓地も俺達が居た頃からある。どれかは調べないとわからんな」


「リーク、あんたが眠ってる墓地は?」


「……あんま軽く言うなよな。ドキッとするんだぜ意外と」


 リークは笑いながら心臓付近に手をやる。

 バーンも笑いながら謝った。


「ここだな、ウェイン墓地。だよなクロア」


「うん……僕もその場に居たからね。間違いないよ」


「ああ、因みに俺が死んだ理由は只の老衰だぞ? こいつは時間の流れがおかしいからアレだけどな」


 そう言ってクロアをリークは小突く。

 あはは、と笑いながらクロアは頭をかいている。

 二人の仲の良さがよく分かった。


「じゃ、ウェイン墓地だな。多分間違いない」


 ディアはリークの名を出した時にも反応していた。

 リークが眠っている墓だという事だろう。

 バーンは地下の話を訊く時に、わざとかなり真剣な表情をした。

 それは案内する彼女の顔色や態度を見て、助けを求めている様な気がしたからであった。

 彼女は城の中ではあまり直接的に言えなかったので、多少回りくどい言い方をしたのだろう。

 今夜ウェイン墓地に行く事にし、バーン達はそれまでここで過ごす事にした。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ああ〜退屈だなぁ。かと言って国を出るのも面倒だしなぁ。やっぱり家でだらだら女とすんのが一番かねぇ」


 夜の首都アルデバランを酒に酔った男が一人歩いていた。

 歳は二十六、無精髭を生やし、黒い髪は首ほどに伸びてウェーブしている。

 彫りの深い顔をした彼の名はディライト。

 八英雄序列第三位にして、アルデバラン最強の大魔法剣士である。


 二つ名は〝創造〟。

 その名が示す通り彼の創造魔法は、彼が望む物質を何でも創り出す。

 この世にない物質すらも創り出すと言われる彼の力は、神に近いと呼ばれる事すらあった。

 彼の創造魔法は彼の知識から生まれるものである。


 幼い頃から頭が良く、運動も出来た彼はまさに神童であった。

 真面目に勉強をし、真面目に両親の言いつけを守り、真面目に剣も修行する。

 このまま誰もが彼は真面目な青年になると思っていた。


 しかし、彼が十五歳になった時に初めての恋人が出来た頃から人生が変わる。

 今まで気付かなかったが、彼は女が大好きだった。

 初めての恋人がいながら、他の女にも手を出して両方に振られたが、次の日には新しい恋人がいた。

 彼がモテてしまった事も悪い方に作用する。

 学校には行かなくなり、朝から晩まで女と遊ぶ。

 学校や修行をサボっても、結局彼が最強だったという事が更に女遊びに拍車をかけた。


 結果、実力は最強だが女好きで面倒くさがりの怠け者という微妙な勇者候補が生まれたのだった。



 そんな彼は今、ウェイン墓地近くの自宅に向かっていた。


お読み頂きありがとうございます(´∀`)

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