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第四十九話:第四と称賛

第四十九話です。


よろしくお願いします。


息抜きにほのぼの系も書き出しました(´¬`)


リンクしてるので、そのうち本編にも出るかも?

 

 マリアが到着した東門の魔物は殆ど駆逐し、門も再び塞ぐことができていた。

 こちらも騎士団員達をマリアと数名の冒険者が支え、戦線を維持する事ができたのだった。


「マリア様! ありがとうございます! こちらはもう大丈夫かと!」


「分かったッ! 次は北に行く! 後、マリア〝様〟はやめろ!」


「は、はい! えーっとマリアさん?」


 マリアは笑顔で頷き、東門を後にする。

 それについて来る冒険者が四名いた。


「ん? オメーらも来んのか?」


「ああ、あそこはもう大丈夫でしょ? 〝魔拳〟のマリアさん」


 そう軽口を叩くのは〝眼狩りの狩人チトハ〟とそのパーティ。

 二つ名持ちの名に違わず、遠方から正確に魔物の眼を抉り、戦線を維持した影の立役者である。

 かなりの美人であり、他のパーティメンバーは全員男で構成された逆ハーレムパーティだった。


「んじゃ、西を頼む。あたしは北に用があるからな」


 チトハは走りながら頷くとパーティと共に西に向かった。

 ふと、マリアは自分の二つ名が気になる。


(〝魔拳〟のマリアかー……まんまだなぁ)


 ちょっとだけ捻りが欲しいと思ったが、それは後回しに北門へ急いだ。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 キンッ


 魔物が次々に消失され倒れて行く。

 元騎士団団長のエリザの号令のおかげか、騎士団員達は他の場所より遥かに士気が高かった。


「あと僅かだ! 全力で押し切れッ!」


「「「ウオオォォォォォォォォォォォオオ!!」」」


 助太刀に来た冒険者達も何故か士気が上がり、マリアが到着する頃には門は塞がれていた。


「エリザ! っと、必要なかったな」


 マリアがニッと笑い拳を出すと、エリザも笑顔で拳を合わせた。


「ありがとう。心配してくれたんだな」


 マリアはまぁな、と照れ臭そうに頭を掻いた。


 〝西にはラインハルドがいるし、チトハも含め他の冒険者が向かったから問題は無いだろう〟と判断し、後は騎士団員に任せ二人はバーンの元へ戻る。

 勿論もう一つの理由の方が大きい。


「バーンが魔王と闘ってる。急ごう」


 マリアはズバ抜けて魔力探知に優れ、先程からそれを感じていた。

 強大で闇の塊のようなそれが、バーンとぶつかっているのも分かっていた。

 エリザの元に先に向かったのは、それを知らせて二人で戻るためだ。


「バーン様……どうか御無事で!」


 住民の避難を避けるように、二人は路地裏を走り抜けた。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 数刻前ーーーー


 広場に舞い降りた魔王は真っ直ぐバーンを見つめていた。

 バーンも視線を逸らさず魔王を見つめる。


「アリス、隠れていてくれ」


 アリスはこくんと頷くとその場を離れるが、去り際にバーンに声を掛ける。


「バーンさん……信じてます」


 バーンが無言で頷くのを見て、アリスは物陰に隠れた。


 魔王は広場の中央で二十五年前を思い出す。

 バーンが広場に入って来て顔がよく見えた。

 思わず思い出していた事を声に出す。


「ふふ……あれは愉しかった。八人を相手にあの二人……遂には俺達を封じ込めた。子を想う親とは強いものだな」


 バーンはそれが自分の両親であると気付く。

 不思議と怒りはない。

 魔王はディーバとルインを称賛していた。


「素晴らしい勇者だった。出来ればサシでやりたかったがな……運が悪いとしか言えない」

「そうか……」


 魔王は腕を組んだまま、自己紹介を始める。


「初めましてだな、勇者バーンよ。お前の話は時空を超えて伝わっているよ。俺は第四魔王グリードという。よろしくな」


 軽口だが、その力は体内から溢れ出るような魔力となり伝わってくる。

 バーンは初めて、ジーク以外に自分以上の強者と相対していた。


「ディーバとルインの息子、バーンだ」


 魔王はニヤリとわらう。

 バーンにある意思が伝わってくる。

 言わずとも聞こえたその意思を、魔王グリードは敢えて口に出した。


「さぁ、闘おう……お前も俺を愉しませてくれッ!」


「上等だ……楽しんで見やがれッ!」


 互いに魔力を全身に巡らせる。

 膨大な魔力の奔流が生まれ、広場が淡く光っていた。

 バーンは巨剣にも魔力を注ぎ、二つの切っ先を嘗て海の魔物に向けたように構えた。

 魔王グリードが使うは闇魔法。

 黒い魔力が両手を覆い、剣となる。


「詠唱するのは何百年振りだ? いや、千年か? 闇魔法……〝厄災の手刀ソードディザスター〟」


 物質と見紛う程に圧縮された魔力が形となって現れた。

 互いの剣が出揃い、空間が軋む。


「バーンよ……その剣で……いつ迄持つかなッ!?」


 グリードが距離を一瞬で詰めるが、既に察知していたバーンの右の巨剣が振り下ろされる。

 それをグリードも右の手刀で受け止めた。


 既にバーンは左の巨剣をグリードに振り下ろしているが、グリードはそれを後方に下がり躱す。

 地面が抉れ、敷き詰められていたレンガが飛び散っていた。

 再びグリードは前に向かって突進し、バーンに手刀の乱舞を見舞う。

 巨剣を器用に使い、何とか受けきり、躱すものの、受け切れない手刀がバーンの頬や首筋を掠めていく。

 乱舞が交錯する一瞬、バーンはここで前に踏み込み二本の巨剣を振り切った。

 身体はほぼ地面につく程に倒した全体重を込めたバーンの一撃を、両手の手刀でガードし数メートル吹き飛ばされたグリードが、ニヤリとわらう。


「素晴らしい……まだまだ発展途上でこの力とは……」


 発展途上と言われた事が気になっていると、グリードは察して答えてくる。


「ふふ……お前はまだ〝覚醒〟していない。今のままでは絶対に俺には勝てんよ」


 言うや否や、グリードは消える。

 そして、後方から斬り付けられた。


「がっ!?」


 勢いのまま前方十メートル程吹き飛び、地面に叩きつけられた。


「がはっ!」


 バーンは急いで構えるが、グリードはその場からまるで立ち上がるのを待つように動いていなかった。


(疾すぎて全く見えなかった……)


「よく咄嗟に背中に魔力を集中したな……いい反応だ」


 完全に舐められていた。

 しかし、それは仕方がない。

 それだけの実力差があったのだ。


「さぁて……今のお前で最大限愉しむにはアレしかないかなぁ」


 そう言うとグリードは振り返る。

 察したバーンは全力で駆け出すも、間に合わない。



 魔王は飛び、アリスの首を掴んでいた。


お読み頂き感謝(´∀`)僥倖!

感想お待ちしてます(*´д`*)ハァハァ

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