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第三十八話:煌と嘘つき

第三十八話です。


よろしくお願いします。


感想ブクマ感想しかございませぬ(´∀`)

 

 バーンが目覚めると、広いベッドの上で他の三人がすうすうと寝息を立てていた。

 ベッドから降り、窓から外を眺めれば金色こんじきの朝日が眩しく輝いている。

 綺麗な街だ。

 茶色いレンガで作られている建物が多いからか古風な印象を受けるが、それが却ってこの街を美しく彩っているのだろう。

 ふと気配を感じ、振り返るとエリザが起きてきていた。


「おはようございます……バーン様……」


 おずおずとバーンに歩み寄る。

 やはり照れ臭いのだろう。

 しかしシャツは着ているがズボンは履いていないことで、柔らかそうなふとももと綺麗な形をした尻がバーンの視線を景色から奪い取った。

 そんなバーンの視線に気付いたのか、エリザは手で必死に隠そうとするものの、それが逆にバーンの心を昂らせた。

 赤い髪が朝日を浴びてさらに煌めいていた。

 バーンはそっと肩を抱く。

 エリザがバーンを見つめ、朝日に照らされたオレンジ色の世界で二人はキスをした。


「んっ……」


 吐息が漏れる。

 唇が離れると瞳は潤み、薄く開いた口が愛おしくなる。

 バーンが再び口を重ねようとすると、後ろから咳払いが聞こえた。


「朝からお盛んですねっ!」


 その台詞も絶対マリアから聞いたな、と確信しているバーンであった。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 豪華な朝食が部屋に運ばれてくる。

 かなりの量だったがアリスが目を輝かせているのでよしとする。

 食事を取りながら昨日のことや今日やるべきことを確認する。

 また、今後についても考える必要があった。


「やっぱりあれはキマイラの巣だったみたいだな」


 マリアはパンをかじりながら昨日の考察について話し出す。


「ああ、二匹キマイラがいる事はまずない。いる時は産卵の時だけだから繁殖期だった訳だな」


 むしゃ……むしゃ……


「昨日のうちに騎士団があのポイントに行ってみたところ、卵があったそうです。破壊しておいたとラインハルドから報告がありました」


 結局二つ名持ちとあの魔物の群れの関係性は分からなかった。

 たまたま近くにいたと考える方が自然で、それにより前線部隊が勘違いしてしまった可能性が高い。

 また、取り逃がしたガルーダとグリフォンは討伐できなかったが付近にはおらず、逃げていったと判断された。


「じゃあ、その群れはなんだったんだろーな? 勝手にキマイラに従ってたんかね」


 ふむ、と言ってバーンは少し考える。


 モグモグモグ……んぐっ!


「それもあるが、あの『混ざり物』ってどこから来たんだろうな。そしてなんで二匹が混ざってたんだろう……」


 ごくごく……ぷはぁっ!


「まぁ今は考えても仕方ねーか。まずはクエストだろ?」


 確かにそれもある。

 ダンジョンの調査依頼の依頼者はここ、アーヴァインにいるのだ。


「エリザはダンジョンについてなんか聞いてるか?」


 ダンジョンとは世界各地で発見されている遺跡の事である。

 中はかなり広く、魔物が住処にしている事が多い。

 過去の遺物の中には現在よりすぐれた力を持つ魔石や、貴重なアイテムが眠っていることもあり、発見されると国単位で動く場合もある。


「うーん、過去に立ち会ったことはありますが、最近は聞きませんね。誰が依頼者なんですか?」


 うまうま……むしゃもぐ……


「ライアー教授って人だ。知ってるか?」


 エリザの食事の手が止まる。

 少し思案した後呟くように言った。


「……有名です。彼は嘘つきだと」


 あまり穏やかではなさそうだ。

 悪名が広まっている人物のクエストを受けてしまったらしい。

 マリアが口をモグモグさせながら聞く。


「ちなみに何で嘘つきなんだ? なんかやらかしたんか?」


 はむはむ……ぱくぱく……


「ああ、彼はダンジョンで世紀の大発見としてある遺物を提出したんだが……真っ赤な偽物だったらしいんだ」


 つまりダンジョンで発見したと言って、価値を引き上げようとしたらしい。

 そういった手合いはたまにいて、一度烙印を押されると二度とその世界には戻ってこれない。


「面倒な事になったなぁ……まぁ仕方ない。とりあえずやる事を整理しよう」


 まずは今日冒険者ギルドに行き、キマイラ討伐の報告をする。

 その後、ライアー教授に会いに行く事にした。

 暫くはアーヴァインに留まる事になりそうだ。


「ま、ライアーがあたしらを使わなきゃすぐに出立になるかもな」


 んまんま……モグモグ……


「そん時はウッドガルドに向かおう。精霊の指輪の件もあるしな」


 三人はアリスを見た。

 彼女は物凄い勢いで食べている。


「本当なんですね…………」


「「マジだ」」


「はい? なんですか?」



 いえ、好きなだけ食べて下さい、と思う三人だった。


お読み頂きありがとうございます(`・ω・´)

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