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第二十二話:八人と苦悩

第二十ニ話です。


よろしくお願いします。


自分なら我慢しません(*´д`*)ハァハァ

 

「時空魔法だと!?」


 マリアが驚愕する。

 時空魔法はかなりレアな魔法だ。

 ちなみに十年前、アリスの父ジャバと一緒に調査団に参加した魔法使いが使った空間魔法とはまた別の種類の魔法である。

 空間魔法は空間の穴を開け、すり抜けたり、物の中に隠れる、または物自体を空間に隠すことができる魔法である。

 その範囲は物質に限られ、時を刻む生物には対応できない。


 それに対し時空魔法は、生物に対しても有効で、また時空を歪めることで〝あった事〟を〝なかった事〟に変えてしまう事ができる。

 バーンの母、クインのように魔物を時空の彼方に飛ばしてしまうことも可能である。

 しかし、魔力消費が大きいため乱用ができない事と、発動までに時間がかかる事からタイミングを間違えると無防備な状態になる、まさに諸刃の剣である。


「時空魔法はまだ使いこなせてないんだ。あの時はやばかったから咄嗟に使ったけど、普段は控えてる」


「なるほどな……当たる寸前にバーンの姿が一瞬薄れたのはそういう訳か」


 バーンは頷き、さらにもう一つ使える、と手に魔力を集中する。

 掌の中で雷がバリバリッと光った。


「雷魔法か!」


「ああ、こっちもあんまり得意じゃないがな。時空魔法よりはマシだ」


「それって、お父さんの雷魔法とお母さんの時空魔法をバーンさんが引き継いだってことですか?」


「まさに、勇者だな……」


 更にバーンは八人の魔王の存在を明かした。

 二人は驚きを隠せない。

 一人でもとんでもない魔王が八人もいる。

 途方も無い、考えるだけで恐ろしくなる。


「そんな……八人の魔王なんて……」


「だからか……」


 マリアが呟く。

 何か思い当たる節があるようだ。


「八英雄、知ってるか?」


 バーンとアリスは頷く。

 ウィード紙にも毎日のように彼らの活躍が載っているし、今この世界では注目の的と言っていい。


 八英雄。

 今、この世界にはバーン以外に勇者候補が八人いる。

 それぞれが勇者と呼ばれるに相応しい力を持ち、既に世界中で有名であった。

 今現在冒険者のトップに君臨するが、中には冒険者ではなく国に仕えている者もいる。


「八人も勇者候補が現れる時点でおかしいんだよ」


「ああ、そうだ。魔王に合わせるかのように勇者が増えている」


 過去数千年前から魔王と勇者の闘いは続いている。

 必ず勇者は一人だった。

 勇者に並ぶものなど居ない。

 だから勇者なのだ。


「じゃあ、バーンさんを含めて九人の勇者候補が?」


「と、なるとおかしいぜ? 数があわねぇ」


「ああ、ジークとも話してた。つまり……」


「もう一人、魔王がいるって事ですか……?」


「ああ、可能性はある」


 静寂が彼らを包む。

 そんな中マリアが呆れ気味に呟いた。


「一体何がしたいのかねぇ……この世界の神様はよ……」


 この世界に神がいるならなんとかして欲しい程の話だ。

 だが、そんな都合よく神は現れない。

 だから、自分達の力で乗り越えるしかないのだ。


「さぁな……だが、なんとかするしかない」


「やるっきゃないっ! ですね!」


「しゃーねーなぁ、やってやるか」


 恐ろしい現実を見ても、悲観しない。

 バーンは勇者の息子としての誇りと使命感がそうさせるのだろう。

 アリスとマリアはその勇者を支える者としての決意がそうさせる。

 世界を救う。

 大それた話だが、今再び三人はそれを自覚したのだ。


「まずは仲間集めだ。正直あまり時間がないと思う」


「八代目勇者がかけた封印……か」


「やっぱり、魔物が活発なのって魔王のせいなんですか?」


「ああ、ジークが言うには魔王の近くに進むにつれて魔物が強力に、激しくなったらしい。魔王自身から瘴気が出てるみたいなんだ」


「急がないと駄目ですねっ!」


「とりあえずまずは……」


「「「馬車だな、ですね、だねぇ」」」


 三人の声が重なる。

 可笑しくなり、三人は声を上げて笑った。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 借りている部屋は一部屋。

 ベッドは一つしかない。

 三人は川の字になって横になる。


(こんなん寝れるわけがない)


 バーンは横にいる二人を交互にを見る。

 右にはアリスがバーンの腕に掴まり、すやすやと寝息を立てている。

 左を見ればマリアがこれまたバーンの腕に掴まりすぅすぅと寝息を立てていた。


(どうしろと……いうのか)


 二人の胸が腕に当たっている。

 アリスもマリアも薄いシャツしか着ていない。

 感触がダイレクトにバーンの腕に伝わる。

 二人とも甲乙つけ難い。


(何を考えてんだ、俺は……)


 よこしまな考えを振り払う。

 しかしーー


「んっ……うぅ」


 アリスがさらに強く腕に掴まってくる。


(ひいっ!)


「あ……んっ……」


 マリアもまた、その豊満な胸を押し付けてくる。


(うおっ!?)


 二人の胸元がバーンには布団に隠れて見えてはいない。

 だが、想像はしてしまう。

 恐らくシャツの襟元は緩んでいる。

 二人の胸が豊かすぎるからだ。

 布団をなんとか捲れば見えるはずだ。


(いやいやいや、違う違う違う)


 バーンは再び邪な考えを掻き消す。

 バーンは明け方まで羨ましい苦悩にさいなまれた。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ん〜!おはようございますっ!」


 ぐうっと背筋を伸ばし、元気よく挨拶する。


「あ〜……おはよ……」


 マリアは朝が苦手なようだ。


「…………おはようございます」


 バーンは半ば死にそうであった。


「大丈夫ですか? バーンさん?」


「ああ……俺は至って健康な一般男子さ……」


「どしたんだ、バーン?」


 バーンの苦悩を、二人は知る由もない。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「おっ! お出かけかい?」


 そう声を掛けてきたのは船長の知り合いであり、宿屋の主人であるハンクだ。


「ハンクさん! おはようございます!」


「ああ、おはようさん! 今日も元気だねぇ」


「取り柄ですからっ!」


「そうかそうか! わっはっは!」


 ハンクはまるで船長の様に笑う。

 仲がいい事がそれだけで分かるが、本当にタダで借りてしまっていいのか不安になった。


「構うもんかよ! 俺の親友を助けて貰ったんだ。これくらいへでもねぇさ! んで、今日はどこに行くんだい? 大会は終わったろ?」


「色々だな、地図や食料、あと必要なもんの買い込みや情報収集……冒険者ギルドにもいかなきゃだな」


「そうかそうか。ま、気を付けて行ってきなよ! 晩飯はステーキだ!」


「ス、ステーキ!」


「そいつはいいねぇ、涎が出ちまう……」


 と、ハンクがバーンに近付き耳打ちをする。


「またえらい美人連れてきたなぁ、羨ましいぜ」


「はは、そうだろうそうだろう……」


「?」



 ハンクもバーンの苦悩を知る由はない。


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