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第十七話:決着と決勝

第十七話です。


よろしくお願いします。


日に三回更新目指してます(´∀`)

 

 天に掲げられていた巨剣が刹那、真下に振り下ろされていた。


「ぐっ!?」


 凄まじい衝撃が体を突き抜ける。

 タルカスは吹き飛ばされ、尚も止まらずに闘技場を転がっていた。


「があっ!」


 なんとか体勢を立て直し、片膝をついて顔を上げる。

 闘技場は、バーンの一撃によって半分が崩れてしまっていた。


「またまたアンビリィィィィバボォォォォォ!と、闘技場もぶっ壊されちまったぁぁぁぁ!」


 砂埃の中、バーンがタルカスに向かって歩き出すのが見える。

 視界が悪い事に、タルカスはニヤリと笑う。


「バケモンが……だが好都合だ」


 タルカスは懐から何かを取り出し口に入れる。

 砂埃で視界が遮られているため、誰にも見られていない。


「よし、これでーーーーはっ!?」


 バーンが目の前に現れ、右腕の巨剣が振り下ろされる。

 それをタルカスはバックステップでギリギリ躱す。

 躱された巨剣は闘技場を再び抉った。


(馬鹿が、もう当らねぇよ……! 今飲んだのは俊敏のポーションだ。俺の速度は倍になる!)


 タルカスの足が地に着くと同時に、バーンに向けて最速で突進する。

 常人には見えない一撃が風切り音と共に空気を引き裂いていく。


(口角引き裂いて、そのつら台無しにしてやるぜ!)


 短剣がバーンの口に迫る。

 が、常人に見えない攻撃は、バーンには見えていた。


「あっ……」


 二本の巨剣が石の上を跳ねている。

 タルカスはバーンに腕を掴まれていた。

 次の瞬間、世界が反転するーーーー


「加減してやるよ……死なない程度になぁぁぁぁ!」


「ま、まいっ……!」

 

 これから何をされるのか察したタルカスが根を上げようとするが、バーンは空中に放り投げたタルカスに我慢していた満身の怒りを込めて両拳を叩き込んだ。


「ウオラァァァァァァア!!」


 タルカスの体に何発もの拳がめり込む。

 全身の骨を砕かんとばかりに叩き込まれた拳に、タルカスの口から血が吹き出る。


「がっげっ! ぐっぶっげばぁぁあ!」


 とどめの一撃にタルカスは空中でさらに跳ね、回転しながら吹っ飛んでいく。

 床に叩きつけられ、タルカスはピクリとも動かなくなった。


「あー、殴り足らん」


「勝者!バァァァァァァァァン!」



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 バーンが闘技場を破壊してしまったため、整備に時間が掛かったが闘技場を半分にして試合が行われた。


 準決勝第二試合は、マリアが一回戦を勝ち上がったあの僧侶をボッコボコにし、終了した。


「やっと、ヤれる……!」


 マリアはニヤァ……と笑う。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「バーンさんっ!」


「おう、アリス」


 決勝戦前、控え室に二人の姿があった。

 バーンにアリスは何度もお礼を言っている。


「ありがとうございました! なんだかすっきりしました!」


「そっか、よかった」


「本当に……ありがとうございます」


 アリスは丁寧に頭を下げる。

 恐らく今回のことだけでなく、出会ったこと、パーティに誘ってくれたこと、自分を大事にしてくれていること、その全ての意味を込めているのだろう。

 バーンもそれを察し、頭に手を置き声を掛ける。


「アリス、俺はお前に底知れない何かを感じてる」


「底知れない……何か……?」


「ああ、それがなんなのかはまだ分からないがな。でも……」


 バーンはアリスを見つめる。


「お前だから、選んだ」


 アリスの顔が崩れる。


「泣くなよ?」


「ないでばべん!」


「泣いてんじゃねぇか……」


 バーンは決勝の相手、マリアを頭に浮かべる。

 かなりの強敵である彼女に勝つには本気を出さないといけないかもしれない。


「決勝はやっぱりあの人でしたね……」


 泣き止んだアリスが目をこすりながら言う。


「だな、実際強いよ」


「でも、バーンさんなら勝てます!」


「うーむ……」


「じ、自信ないんですか!?」


「俺、この大会で相手に剣を一度も当ててないんだよ」


 一回戦は左アッパー、二回戦は両拳のラッシュで勝ち上がっている。

 自分が剣を振り切れば耐えられる者はいないという自信があった。

 それ程鍛え込んでいた自負がある。

 それと、バーンは既に決めていた。


「実はな、あいつを仲間にしてーんだ」


「え、えぇぇぇぇぇ!?」


 性格に不安があるが、強さは申し分ない。

 アリスが少し考えていたが、不意に納得した表情をする。


「精霊さんの話の時とか凄く優しい顔してましたし……驚きましたけど、私は賛成です!」


「そっか、アリスが言うなら問題ないな」


 バーンとアリスはにこっと笑う。


「あとは、あいつ次第だな」


「ですね……あの、多分なんですけど……あの人、寂しがり屋です」


「なんでそう思う?」


「女の勘です」


「勘かよ!」


「勘です」



 決勝戦の開始が刻々と迫る。

 後に伝説と言われる闘いが始まろうとしていた。



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