表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
獅子魔道之章(ししまどうのしょう)  作者: 三紐房 大和
1/2

はじまりの章

時は現在。日本。

セミの鳴き声が響きあう比叡山に、白装束の修行僧とあたかも魔法使いのような黒いローブを、涼しい顔をして着ている人物が、ある洞窟へと向かっていた。

黒いローブの人物は髪は黒く、ショートヘアで男性とも女性ともとれる顔立ちをしている。背には黒い長方形の籠を背負い、右手には管槍のような物を握っている。先端は刃ではなく、銀の鉄で覆われている。

二人は目的地に到着すると、白装束の修行僧は深々と頭をさげ、合掌して言った。

「それでは、ご武運を」

黒いローブの人物は同じように頭を下げ、合掌すると笑顔で答えた。

(いにしえ)より繰り返されてきた連鎖、私が全力をもってして、終わらせてみせます」

そして、一人きりで洞窟の中へと入っていった。それほど広くない洞窟で、真正面には鎖につながれたボロボロの鎧が、置かれているだけだ。鎧は兜から足もとまで揃っており、いたるところに怪しげな札が貼られてある。

すると、どこからともなく声が響いてきた。

『また来たのか、何度忠告しても懲りないやつらだ』

黒いローブの人物は驚きもせず、淡々と返した。

「終わるときがやってくるまで、諦めないでしょう。例え私が駄目でもね」

『もしも、俺が拒んだら?』

「その質問は、私が初めてではないでしょう。あなたがいかに協力せずとも、我々は共に行く他ないのです」

鎧の面の瞳が青く光り、仕方なさそうに言った。

『ならばつれて行け。俺と共に、おまえの目的を果たせ』

黒いローブの人物は管槍を振り回すと、鎧はあっという間に黒い長方形の中へと吸いとられていった。

一連の動作が終えたところで、黒いローブの人物が言った。

「我が名は(しるす)。そなたの過去を照らし、願わくば、現世から解放されることが我が目的。四十七代目にて、使命をまっとうすることを誓う」

標は洞窟から出ると、菅槍を再び、今度は五芒星を描く形で前方に振り、最後に地面をついた。

すると、真っ赤な鳥居が地面から出てきた。

「さて、参りますか。獅子魔道の道へ」

標が鳥居を潜ると、姿が消え、次に鳥居も消えてしまっていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ