第49話〔だから一緒に 歩いてくれませんか?〕①
【補足】
通常よりもかなり短いお話となっております。
予め、ご了承ください。m(_ _)m
目紛るしく終わった女神杯で気を失った後、気が付くと其処は病室だった。そして、折れた左腕の怪我などの治療で三日ほど入院を余儀なくされ、今し方、退院となる。
入院中フィルマメントの三姉妹に謝罪をされ、否定はしたものの、銀髪の姫が去り際に言った一言が、なかなか頭から離れない。
また。とは――、また来る。という意味だろうか。
うーん。
「――ヨウ、どうかしましたか?」
ム。
「すみません。ちょっと、ぼうっとしてました」
右側を歩きながらこっちを下から覗き見る、異世界での私服を着た、相手に言う。
「もしや腕が痛むのですか? やはり、歩かずに馬車で……」
家へと続く草原に囲まれた長い道の先で空に浮かぶ、大きな雲を見る。
「痛みは平気です。だから一緒に、歩いてくれませんか?」
「……――ハイ」
自分の右腕に相手がそっと腕を絡め、体を寄せる。そして――。
「私の事、好きですか?」
――本日は、五回目となる質問に――。
「はい、好きですよ」
――と答える。
すると相手が嬉しそうに微笑む。
この遣り取りを、女神杯で婚約の約束を交わしてから、頻繁に行っている。
「帰ったら。また近くを散歩しませんか?」
「はい喜んで」
今回は池まで行ってみようかな。
「あ、あの」
「なんですか?」
「私の、どこが好きですか?」
ム。
「そうですね――」
というか度々聞くものなのだろうか。
「いつも――」
まあなんとなく分かる気はするけど。と思いつつ、移りゆく季節より先に訪れた春を見て、伝えたい気持ちを言葉にした。
***
「失礼しました」
部屋を出ていく兵を見送ってから、窓際に移動し、フェッタは晴れた空を眺める。そして今回の女神杯で起きた一連の騒動と大型の一件を振り返り、一つの答えを導き出す。しかし即刻、思い新たと追考をした。が――。
「全て貴女の仕業なのでしょうか、女神よ……」
――不安は知らず知らずのうちに、預言者の口から言葉となって、こぼれていた。
【補足】
今話≪二章:第49話≫で、二章は終了となります。
次話≪三章:第1話≫からは、再び物語の本編が開始いたします。
そして再度、ここまでの話をご一読くださった方々に感謝の意を表すと共に
引き続き≪異世界から来た女騎士と交際する約束を交わした≫を
よろしくお願いいたします。m(_ _)m




