表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】異世界から来た女騎士と交際する約束を交わした  作者: プロト・シン
四章【異世界から来た女騎士と】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

148/293

第8話〔大サービスでご覧に入れましょう〕②

「……いいんですか? 本当に」


 次いで、なにが。と眠そうな目で相手が聞き返してくる。


「いや……その、前世からの怨みなんでは……?」


「そうよぉ、もんすご怒っとったとよー。けんども、憶えてないんじゃ仕方ないでしょ」


「それは、そうですけど……――」


 ――しかし、なんて脈絡のない話し方だ。これではキャラどころか、人格すら成り立っていない気がする。まぁ相手は神様だけど。


「それとも何かね、罰を受けたいのかい? Mかい?」


「いや、そういう訳では……。というか、二百年も待ってたんですよね? それなのに、そんな簡単に……」


 ……こっちとしては助かるけど。


「二百年なんぞ、神にとっては昨日今日。宝くじの発表を待つ心境にすぎんよ」


 期待に満ち溢れてますやん。


「――それなら、尚更……」


 途端に細まる目の眼光が鋭く自分を射す。


「人の分際で、神を推し(はか)ろうと? いささか口がすぎるな、それが……――なんだっけ、名前?」


「……水内、洋治です……」


「ああ、そうね。そうだったわね。思い出したわ」


「思い出した? 名乗った覚え、ないですけど……?」


 そして再び鋭い光が目に宿る。


「――でミナヨウよ、人の身で神の決定に逆らうとは、どういうつもりじゃ?」


 ミナヨウ……、新しい。


「ええと。逆らおうとした訳ではなくて、単純に……いいのかなって、心配を」


「なに、心配とな? 矮小なその器で、世界を統べる(ワレ)をか?」


「……ス、スミマセン」


 どうしよう。――あきらかマズい方向に。


 思った矢先、ぐんといきなり迫ってきた相手(かお)に今回も若干肩を揺らして驚く。


 な……なに?


 次いで対応に困っている自分を、時計の針みたいに宙で回りながら見詰めてくる相手が脚を零時の位置、逆さになった状態で動きを止める――と瞬間笑顔になり。


「はっはーん、察したぞ。うむうむ、そうかそうか」


 と何度も頷く。


 ム……?


「――うむ、ミナヨウよ。さては、ワレに惚れたのだな?」


 へ?


「よいよい、分かる、分かるぞえ」


「いや、あの……?」


 そして、しげしげと押し迫ってくる逆さまの相手にたじろぎながら、二三歩下がる。


「……ええと?」


 いったい今、何が起こって。


 すると相手が起き上がり小法師のようにぐるんと、正位置に戻る。


「見たところ、人の子としては思春期。いろいろと気になる時期であろう?」


「思春期……? もう二十四」


「まあそう硬くなるでない。取って()ったりはせんよ」


 硬……食う?


「しかしなんじゃの。魂魄(こんぱく)変われどワレを求めるとは、なかなかに憎い演出ではないか」


「ぇ。いや――」


 ――この感じ、マズい。


 そう、過去の経験などから導き出す結果に、不安を抱く。と次の瞬間、バンと小さな足が神の前に踏み出す。


「ちょっとアンタ、神様だかなんだか知らないけど。すきかって言ってんじゃないわよ。いい? 水内さんはね、少なくとも今は騎士さまのモノなの。突然出てきたアンタなんかに、どうこうできる物件じゃないのよ」


 ――なるほど。いつの間にか、動産扱いされてたのか。


 と、新たな存在価値を開示されたところで、更にぐいと来る目の前の相手が。


「ではさっそく、誓ってもらおうではないか」


 詰め寄った少女を全くと言っていいほど意に介さない様子で、ニコニコと告げる。


「ぇ? ……誓う? なにを、ですか……?」


「当然、愛ある忠誠をじゃ。ほれ、(はよ)う」


 へ?


「ちょッ、アンタっ――なにムシしてんのよ!」


 明快な少女の怒号。しかしそれすらも見向きどころか、関心すら無い様子で。


「ほれ、どうした。やり方が分からぬのか? なぁに難しい事ではないぞ。重要なのは気持ちじゃ、キモチさえあれば形なぞは」


 其処で長い黒髪を揺らし少女が自分の前に立つ。と相手の顔を指で差し――。


「――これで、どう? それとも、まだ、聞こえないふりかしら」


 すると、さすがに無視をする訳にはいかなくなったのか、正面で視界の一部を塞ぐ少女を(しばら)くジーっと見つめた後、何故か困った様な表情で英国美女神が預言者の方を見る。


「フェッタよ。もしやこの娘、ワレが見えているのか?」


「はい、御察しのとおりです。救世主様――いえ、その者は御身が見えております」


「なに救世? ――ほう、この娘が此度(こたみ)の奉公かえ」


 そう言いつつ顔を少女に向け。続いて預言者の返事を聞き、うむうむ。と頷く女神、がニコリと笑う。


「すまなんだ、娘よ。名は、なんと申す?」


「……ス、鈴木よ」


「よしよし、スズキじゃな。すぐに検案する故、しばし待っておくれ」


 ん、検案? どういう――。


 ――などと思っているうちに、目を閉じる女神の輪郭がぼやっとその()で光り始める。


 おお……。


 そして淡い光りに包まれる神の口が、目は閉じられたまま、開かれ――。


「――おお、そうかそうか。それがしはハナコであったか。うむ、いろいろと世話になっておるぞ」


 次いで、光りが消えて目が開く女神を見ていた少女の口がパクパクと動く。


 ム?


「オヤ、どうかしたのかえ? 口が泳いでおるぞよ。もしやハナ」


「ちょッ待ちなさいっ、それいじょう言ったら殴るわよっ」


 少女が小さな手を握り締めて言う。するとそれを見た相手が、特に臆した感じもなく、やや退く。


「おお、コワいのぉ。反抗期かえ?」


「――なワケないでしょ!」


 追って、小さな足が前へと出る。


 途端に女神の目が妖艶(ようえん)に笑う。


「まあそう怒るでない。名でなくとも、邪魔なら棄てればよい。――であろう? 親に棄てられ、忘れられた人の子、ハナコよ」


 途端に何かが、宙に浮く女神の胸部を通り抜け、先の壁に当たって硝子が砕け散る様な音と共に散乱する。


 結果、投げられた物が近くにあった花瓶と分かり、それを投げた少女に目を向ける。と舌打ちが聞こえた直後、明らかに苛立った様子で、そそくさと部屋を出て行く小さな背を目で追う。


 そして開けられた扉がバタンと乱暴な音を立てて閉まり。


 はっと気づく。


 と次いで、預言者の方を見てから、出て行った少女の後を追う。






 扉を閉めた後、一瞥(いちべつ)して分かるさっきまでと違う部屋の状況を見て――。


「あれ、女神様は?」


 ――白のローブを着た相手に尋ねる。


「先ほど、暫し眠る、と中に戻られました」


 そう机の上にある石を見て告げる預言者、に歩み寄る。


「それはまた……、急ですね」


「ええ、どうやら反抗的な態度をとられ、(いた)く傷付かれた御様子で」


 神様なのにメンタル弱っ。


「……――しかしまあ、変わった女神様ですね……」


「おや。洋治さまは、どのような女神をご想像されていたのでしょうか?」


「ぇ、いや……まぁ」


 特に思い描いてはいなかった。――けど。


「神様って、ああいう感じなのかなっと……。――あ。そういえば、以前に女神様は世界の所有者って言ってましたよね?」


「はい。女神は世界、ベィビアを最初に見付けた、発見者となります」


「それって、詳しく聞くとマズいですか?」


「ええ、そうですね。公言するのは差し控えるべきですが、洋治さまであれば、問題はないでしょう。万が一、事が大きくなってしまった場合は、私好みの刑罰にでも服していただきます」


「……細心の注意を払います」


「いえいえ、人の口に戸は立てられませんよ」


 なら何故に言おうと思う。


「無理に聞く気はないですけど……」


「そのようなことを言いながら、あの手この手で、いつしか私の口を割らせようという腹積もりなのでしょう」


 そしてキャっと、わざとらしく、両頬に手が添えられる。


 そろそろ帰ろうかな。――二人が待ってるだろうし。


 すると雰囲気を察したのか、すっと手が下ろされ。


「冗談はさておき。先に、救世主様のご様子をお聞きしても宜しいでしょうか?」


 ム。


「ええと、特には何も。ただ花瓶の事は、謝っておいてほしいと」


「……そうですか。さすれば、のちほど私の方で、お伺いします」


「お願いします。きっとそのほうが本人としても助かると思うんで」


「ええ。――しからば、洋治さまの方は何をお知りになりたいのでしょう? やはり、ここはベターにスリーサイズを?」


「……――それ、足のサイズとかを言うネタではないですよね?」


 途端に相手がピクっと体を揺らし反応する。次いで――。


「――脱ぐのも駄目です」


 と先んじる。その結果、肩口に置かれた手がゆっくりと下が――。


「――チラリもです」


 そして手が完全に止まる。


「ふふ、さすがです。この私をここまで追い詰めるとは。こうなってしまっては、大サービスでご覧に入れましょう。私の最後のネタを……私の、真の桃尻を……」


 何……故に……?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ