まずはDead or Alive(3)
『5……4……』
カウントダウンが始まった。これが0になれば、死ぬか生きるかの賭けが始まる。
「美香姉、大丈夫そう?」
『うん、私がカズを守るからね!』
「ありがとう、俺も頑張るから」
『3……2……』
『カズを守る結界……カズを守る結界……』
「翼……翼……」
和樹と美香は自分達の役割を呟きながら、0になるのを待つ。
『1……0!』
フッ───
和樹の周囲から何かが消えた。
クロトのカウントダウンが終わると同時に、和樹に重力がかかる始める。あのジェットコースターの落ちるときのような感覚。
そして、和樹に冷たさと息苦しさを感じた時、美香は叫ぶ。
『結界……カズを守る、結界っ!』
「お?おぉ?」
突然寒さと息苦しさが消えた。安心感の感じる、和樹を囲う立方体の結界が生じた。
『やった!出来た!』
「さすが美香姉!」
美香は自分の世界を見ることに成功した。少しづつ落ちていく、死ぬかもしれない不安も美香の、和樹を守りたい気持ちに触れ、和らいでいく。
「よし、俺の番だ!」
『がんば───あっ!』
「グッ!?……ふぅ」
一瞬、寒さと息苦しさが戻り、また安心感が戻ってくる。
「美香姉!?」
『ごめん!一瞬別のことに気が散ったら……集中させてっ!』
魔法、それは自分の世界の見方を現実に強制させて反映させる技術なので、集中が必要なのである。
「!?───ヤバい、地面が近い!」
和樹は慌ててイメージする。
自分の世界、そこで自分の背中には空を飛べる翼があると、見る。
「集中しろ……翼……翼……」
どんどん地面が近づいてくる、それでも何故か和樹は落ち着けた。
「……よし!美香姉、消していいよ!」
『了解っ!』
今まで包んでいた安心感が消える。
「飛べっ!」
和樹は自分の世界を反映させる、奇跡を起こすために。
現れるのは白い翼。両腕を広げたぐらいの幅でゆっくりと羽ばたき始める。和樹の背中に元からあったかのように、そして使い方を知っているかのように、扱う。
「イッェェエエィ!」
『イッェェエエィ!』
自由に空を飛べる、その爽快感がヤバかった。二人の興奮は最高潮である。
それでも、いつまでも飛んでいるわけにもいかない。いつでも飛べると考え、地上に降りていく。
「楽しかったなぁ」
『うん、魔法も使えて、なんか感激!』
初めての魔法発動は無事に終了、二人とも何かを掴んだ感覚で生還出来たのであった。
読んでいただき、ありがとうございます。
少し短めになってしまいました。
魔法の描写って難しいですね。アドバイスとかいただければ、嬉しいです。