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二人の世界  作者: folly
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まずはDead or Alive(2)

「さて、とりあえずここから落ちたときの問題点を上げていこうか」


魔法を使うには、起こしたい現象を思い描かなければならない。ということで、何をしなければならないか、考えていく。


『でも、そういうことはカズのほうが得意でしょ?』

「あぁ、確かに美香姉って動物のように生きて───」


ヒュッ──スパンッ!


「いったぁあ!」


耳元の風切り音、そして和樹の顔は横からの衝撃を受けた。頬には手形がついている。


『私が何も考えていない能天気とでも……?』

「ち、違う!勘が鋭いって言いたかったんだよ!」


正直、図星だったが、姉のために誤魔化すことにする。


「それより、何したの!?」

『いや、殺らなければと思ってイメージしたら、出来た』

「殺らなければ!?」

『……ただ、私も若干痛い……』


美香は和樹に全力のビンタをイメージした。それが魔法となって、現実に反映されたようである。


「おい、クロト!魔法は複数の世界の見方が揃ったときに発動だろ?今回は美香姉一人じゃん!」

『あぁ、それはあなた達の特徴よ。一人の身体に二人の意識があるから、一人がイメージすると無意識にもう一人のイメージにも影響されて、二人分の影響力が起こるということよ。」


美香のイメージしたものは、身体を共有する和樹の見る世界にも無意識に反映される。

その結果、美香一人の思い描いたビンタをする世界を現実に反映したということである。

その代償に、二人の感覚も少し共有してしまうようだが。


「な、なるほど?……てことは、俺と美香姉、別々の魔法をイメージできるということか?」


人は一つのことを集中すると、別の事を考えるのが苦手である。自分の世界に集中し、他人と合わせるという難しい作業は一つのことしか行えない人が多いのである。

もちろん、平行して別の思考をできる人もいるが。


「じゃあ、気を取り直して、問題を上げていこう。思いつくところだと、気温、空気、落下の衝撃か?」

『もちろん時間を気にしないといけないね』


まず、高度3000m地点は気温が地上より低くなっている。

基本的に100m標高が上がるごとに、0.6℃下がると言われている。もちろん、その場の太陽の当たり具合でも変わるが、18℃というのは東京と北海道ぐらいの気温の違い。

着込むなり、徐々に変化するならまだしも、急な気温の変化は身体に悪影響を及ぼすのでどうにかしたい。


「これは、自分を暖めるイメージするのか……?」


そして、空気の薄さである。山を登ると、高山病にかかるのと同じであり、これも身体に悪影響。


「うーん?イメージって難しいなぁ。どうしよう?」

『もういっそ、気温も含めて内部を快適な環境にする結界、みたいのでいいんじゃない?』

「それ、美香姉はイメージできる?」

『……まあ、たぶん』


不安の残る返事の美香。ちなみに和樹はこういった形のない、感覚に頼るようなものは苦手である。


「後の衝撃は……これも美香姉の結界でいけるか?」

『さすがに、環境を整えることと、衝撃を受けたときに壊れないことの二つを考えるのは怪しいかな』


魔法によって何かを創るとき、その性質を決める必要がある。それが自分の世界を見るということだ。

ここで、美香の言う二つの性質を想像することは、一人では難しい。大抵どちらかに集中してしまい、どちらかがあやふやな想像になり、世界の反映に上手くいかない可能性がある。


「なら、俺がやれば、壊れないっていう想像をすればいいのか?」

『でも、それって私の想像の合わせるってことで、それも難しくない?』


世界の見方は本来、人それぞれであり、お互いに自分の想像をしながら相手の想像にも合わせる、というのはかなり難しい。


『うーん、いっそ翼を生やして飛んでみたら?』


美香の発想は、そもそも衝突しなければいいんじゃない?ということ。

和樹も翼を生やすのは想像できるかなと思った。つまり、自由に空を飛べる翼をイメージする。


「よし、クロト。準備いいぞ」

『はーい、じゃあカウントダウンしたら落とすね!』


途中までは美香の結界で自由落下。

その後、外の環境が安定してきたら、美香が和樹のイメージに干渉しないように、結界を無くす。間を空けず、和樹が翼をイメージして、落下速度を落とす。

作戦は決まり、実行に移すだけとなった。

やっと、次で魔法の描写が出来そうです。

キーワードで魔法と書きながら、今まで使ってないんですね。すみません!

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