初ダンジョン 終了
いつもお付き合いいただき、ありがとうございます。
最近まで他人とあまり関わらなかったんです。ずっと自分の世界で生きてきたんです。
その告白に、そこにいた人達は驚きをなくし、温かい視線を向けてくるようになった。
「そっか……まあ、なんだ、今度一緒に食事とか行こうな。」
「相談とか、気軽にしてくれていいからな?」
友達とか日本にいたし、悩み事もないからね?
ここで反論しても説明が出来ないため、ありがとうございます、と返事しておく。
クロト……サムズアップとかいらないから。
「それで、俺はどうしたらいいですかね?」
「そうね……ここにいる職員はみんな、学院の教員です。黙っていれば、あまり大げさになることもないでしょう。皆さんも、このことは口外しないように、お願いします!」
「わかりました。」
アリスは周囲の教員全員に聞こえるように言う。
戦闘していた学院の教員を代表して、フィジクが応えた。
「クラスもフィジク先生のところにお願いしようかな。」
「わかりました。……和樹。改めて、フィジクだ。これからよろしくな。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
『優しそうな先生で良かったね』
お互いに握手をする。握った手からは力強さを感じ、中々に頼もしい。
「それでは、今日はここまでにして、ダンジョンから出ようか。疲れているだろうけど、入り口まで頑張ろう。」
そして、歩きだす集団。和樹も付いていくが、疑問があった。
「帰りはテレポートで入り口まで跳ぶばないんですか?」
「……はぁ~。和樹くん、学院に入ったら、世間を知ろうね。」
また、何かやらかしたようである。アリスからため息とアドバイスを頂いてしまった。
「アリス、和樹は来て間もないんだから、仕方ないって。」
「クロト様……そうですね、私が先輩なんですから」
先輩、確かに人生の先輩らしいしなぁ、なんて思った和樹を睨むアリス。
何で女性って鋭いんだろう。
『カズ、ダメだよ?』
「和樹くん、顔に出てますよ?」
「あはは……それで、えっと、最初に俺たちテレポートしましたよね?だから、美香姉も出来たんだろうし。」
美香姉?と、首を傾げるアリスにクロトが耳打ちをして、あぁ、と頷いている。
「そっか……。あれで、出来ちゃうんだね。これがこの世界に来たばかりの強みかな。」
先入観があれば、出来ないと思うことが増えてしまう。その点では、和樹と美香は何も知らないため、逆に何でも出来ると思えたのである。
「最初のは、ダンジョン特有の移動なの。自分がその階にいることをイメージして、ダンジョンと世界を共有することで魔法として、その場に移動出来るのよ。」
「……ダンジョンって生き物ですか?」
「無機物にだって、魂があるからね。」
不思議なことがまだまだ一杯あるようで、わくわくしてくる和樹と美香。
そうしているうちに、入り口が見えてくる。
「和樹くん、急で悪いけど明日から学院に来てくれる?制服とか、そこで渡すから。」
「わかりました。」
『楽しみだね!』
自分たちの異常さをあまり自覚出来ていない和樹と美香の、学院生活がもうすぐ始まるのだった。
読んでいただき、ありがとうございました!
中々展開を進められないことに悩んでおります。
そして、申し訳ないのですが、しばらく投稿出来ないかもしれません。単位、とうっすらヤバ目だと思っていただければ。
私情ですが、現実のために、自分の世界から出ます……。
これからもよろしくお願い致します。