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二人の世界  作者: folly
17/18

夢と妄想で生きる(1)

いつもお付き合いいただき、ありがとうございます。

「和樹、やってくれたわね~」

「え?何やらかした?」


クロトはニヤニヤしながら言ってくる。

和樹と美香が魔法を使ったあたりから、周りにいた人達が静かになったのは分かっていた。しかし、和樹には何に驚いているのかまでは分からなかった。


「もしかして、倒せちゃったことか?」

『なんか、やれるって思ったらできたね……』

「まあ、、それもあるんだけど───」

「あなたは何者!?」


そのとき、周りより早く立ち直ったアリスが和樹に詰め寄ってきた。


「何者って、アリスさんと同じような境遇だと思いますが……」

「違う!そうじゃなくて、なんでさっきのようなことが出来るのかってことっ!」


テレポート、自分より大きな物体を蹴り上げたり足払い、極め付けは切断。

自分の見ている世界を反映することを魔法とする以上、それをイメージできないといけない。

そして、人間一人では大した影響力はないから、複数人で同じ世界を反映する。


「なのに、あなたはそれをやり遂げた。しかも、一人で。それで驚くなってほうが難しいわよ!」

『カズ、なんかやりすぎたっぽいね。』

「ぽいではなく、そうらしいが……クロト、どうしよう?」


問い詰められて、しかし自分ではどうしたらいいのか分からない和樹は、助けを求めることにする。


「重度の中二病」

「それで通じるかな?」

「大丈夫、アリスもそうだから」

「へ?」


和樹が振り返ると同時に、アリスは踵を返し、走り出す。それはもう、詰め寄っていたのが嘘のように潔く。しかし、クロトはアリスの肩を掴み、離さない。負けじと暴れるが、まったく逃げ出せないようだ。


「ちょっ、クロト様、それはもう、失ったことです!」

「アリスもあなたと同じく私が連れてきたんだけど、同じところからよ?」

「うぅ……鈴木文美(すずき ふみ)、この世界では、アリスでお願い。」

「同じ……日本!?」


なんでも、あるとき友人の考えていることに予想が付き、それを想像したら偶然世界の見方が一致し魔法が発現。魔法という存在に気づき、その有能性を広めようとしたものの、怪しい宗教とされて、むしろ社会から弾かれてしまったという。

そこをクロトが魔法が当たり前のこの世界に連れてきて、名前もアリスと名乗ることにしたらしい。

そして、他人の世界を見れることと、テレパシーという魔法を覚えて、学院長の座まで登ったということである。


「本当、クロト様には助けていただいて、感謝しています。……ただ、改めて他人に自分の本名を言うのも恥ずかしいので、言わないでほしいです。」

「で、そのときにもこんな感じでアリスに質問があって、毎日現実を見ずに、夢と妄想で生きてきました、って説明したら、みんな納得してくれたから。」

「あの皆さんの優しい目が、忘れられません……」


一応前例があるということなので、重度な中二病を採用することにした。

そして、後に和樹と美香は、こう語る。


人の視線は温かかった、と。

読んでいただき、ありがとうございました。


自分も夢見て生きております。ただ、現実も無視できませんが……

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