第七話「家族の生存」
ブーン……
車で火葬場へ向かう
あっあれ?火葬場って式場と違くない?
あの時は興奮してたから良くわからなかったけど
冷静に考えると違うよね!
「あっあの〜、レッレオナルドさん?」
「レオでいいよ!」
「レオさん、火葬場って式場と違うと思うんですけど…」
「そんなのわかってるよ!」
わかってたの⁉︎
「ああ言う式場は火葬場から、そう遠くないところにあるだろ⁉︎周辺を探すんだよ!」
なるほど…
「君、名前は?!」
「へっ?」
「名前!名前わからないと呼びにくいだろ!」
あれ?そっかぁtieeとしか知らないんだっけ…
「ナナ…道乃木ナナです」
「OK、ナナね!」
「あの…なんで名前もわからない私のことを助けてくれたんですか?」
レオの横顔を見る。
…
「はぁー…」
今まで興奮ぎみに話していたレオは静かに口を開く
「昔、村の少年は、ばあちゃんのことが大好きで、よく家に遊びに行ってた」
「ある日いつもの様に、ばあちゃんの家に遊びに行ったら、ばあちゃんが爆発して得体の知れない化け物が出てきた」
そっそれって⁉︎
「ばあちゃんは政府がよこした黒ずくめヤロウに連れてかれ、事件は闇の中…」
黒いスーツ姿の人達…
まさか⁉︎私のじいちゃんも⁉︎
「大きくなった少年はハッカーとなり、政府にサーバー攻撃をして事件の真相を調べることにした…」
「それって…レオのこと?」
「まぁ、そうだね」
レオも同じ経験をしてたんだ…
「日本でも似た事件があったから現場に向かってたら、あんたとあの化け物を見た」
それで助けてくれたんだぁ…
….辛い過去を聞いてしまった
「ごめんなさい、変なこと聞いて…」
「あぁいいよ、それよりナナ、周りにヤツらがいないか見て」
少し薄暗くなってきた周りを見る、
ヤツらはいない…
…けど、
なんか違和感…
「…レオさん、なんか変です」
「ああ?何が?」
「なんか静かすぎじゃありません…?」
確かに私の地元は田舎だけど、普通に車も通るし電車も通る…
今まで対向車いた?
電車のうるさい音もない…
というか
人がいない…
「だっ誰もいません…」
「よし!なら大丈夫だな!」
「いや逆に誰もいないんですよ!おかしくないですか⁉︎」
「ここらへんはさっき、いろんな人が慌てて避難してたから人がいないんだろ!」
そんな大騒ぎになってたんだ…
よく見たら車も電車も止まってる。
電波を発してるからヤツらに何かされたのかな…
キィーー!!
急ブレーキで車が止まる
「うぁ!!なっ何⁉︎」
「おいアレ見ろ!」
ほとんど薄暗くなった外を見る
横にある建物の看板には
『神森会館』
あっ!あった!!
「レオさん!ありがとうございます!私ちょっと見てきます!」
「バカかお前!ヤツらがいるかもしれないんだぞ!」
確かに…
でも、お母さん達をほっておけないよ…
「お前のお母さん本当にいるのか⁉︎ここらへん大騒ぎになってたから、もしかしたら避難してるかもしれないぞ⁉︎」
避難して無事ならいいけど…
「一目だけ見てきます!レオさんはここで待っててください!」
今は連絡をとる手段がない
見て確かめるしかないよ
「たく…行くぞ!」
車のドアを開けてレオが話す
「…あっありがとうございます」
ガラスの玄関から中を見る…
誰もいない、ヤツらもいない…
「電子機器には近づくな、いいな?」
「はい…」
会話がヒソヒソになる
中に入ると名前が目に入った
「道乃木様 2階」
前回、お父さんが亡くなった時も告別式の日はこういう会館で泊まった。
あの時は小さかったけど、式場と遺族が寝泊まりするとこは一緒の階だった気がする…
階段を登る…
「待て!」
階段の先に何かが見えた…
ワニの様な手が床をはい、丸まった身体、頭のようなとこから髪の毛のように触手が生えてる…
ヤツらだ…
その先には式場の大きい扉と宿泊者用の扉が見える
あと少しなのに…
「ちょっと待ってろ」
レオがポケットから携帯を出し
電源をオンにする
「ちょっ!レオさん!何してるんですか⁉︎」
あんたが電子機器に近づくな言ってたでしょ⁉︎
電源がオンになったとたん、エイリアンがこっちを向き、近づく
ヤっヤバいよ!!!
レオは携帯を遠くに投げるとエイリアンは携帯に向かって走っていった。
あっ!あぶなぁー!
エイリアンを見ると何匹か集まり
携帯を取り合っている
「ほら行くぞ!」
レオが先導する。
急いで宿泊者用の扉を開ける。
ガラっ!
お母さん!ゆうと!
開けると死体や人間の身体の一部が転がっていた
…
…うっ
部屋の前で動けず、吐きそうになっていた私をレオが廊下に引っ張る
「大丈夫か?落ち着け!俺が見てきてやるから、家族の特徴を言え」
おっ…お母さん…
ゆうと…
「…40代くらいの女性、長い黒髪と左手のほくろ、小学1年生くらいの男の子…」
やっとの思いで口を開く
しばらくしてレオが帰ってくる
「一通り見たけど、40代くらいの女性死体も子供の死体もない!とりあえず脱出するぞ!」
脱出途中、式場の横を通る
式場の扉が少し空いていた
誰もいない…
おじいちゃんの笑顔の遺影が見える
おじいちゃんごめんね…
ーーーー
車に戻る
「はぁ…はぁ…」
「よし!行くぞ!」
車を出し、外を見ると周りが真っ暗になっていた
「ごっごめんなさい…、あっありがとうございました」
私…結局自分で探せなかった…。
下を向いて手を見る
私…震えてる…
私をチラっと見てレオが話し出す
「…このパニックを終わらす方法が一つある」
えっ⁉︎
「えっ?」
レオ今なんて?
「ヤツらを止める方法がある、ナナの力を貸してくれ」
止める方法⁉︎
ほんとにっ‼︎⁉︎
「なっ何をすればいいの⁉︎何でもやる!協力する!」
レオは、また私をチラっと見て言う
「ナナにはゲームをしてもらいたい」
??
……はあぁ⁈
*つづく*