第六話「拡大」
夕日が眩しい…
クーラーの部屋の中、真っ赤になった外を見る。
家には誰もいない…
みんな告別式
おじいちゃんの…
私は行けなかった。
スマホにはナツからのメールのお知らせが
【ナナ大丈夫?おじいちゃんのこと大変だったね、また連絡ちょうだい】
テレビ台から見えるゲーム…
全部あれからおかしくなった…
おじいちゃんごめんなさい…
あの後、
お母さんが何が起こっているのか病院に問い詰めたけど、
病院は何も知らないの一点張り
それどころか私が…
おじいちゃんを殺したことになっている。
まぁ、そうだよね…
あの現象を見たのは身内だけ
溶けた残骸が少し残ってたとしても
病院側からしたら評判に触るだろうし
隠したいよね。
おじいちゃんの死体は黒いスーツの人達に連れていかれた。
死亡検証するんだろうなぁ…
死亡検証が終わったら私…
ピンポーン!
うん⁉︎誰か来た!
インターホンモニターを見る。
…警察!!
警官が二人、モニター前にいた。
数時間前のお母さんの言葉を思い出す
『ナナ!誰か来ても絶対開けるんじゃないよ!警察が来ても!あんたは犯人じゃない、私を助けようとしたんだから』
…よし!
とにかく居留守しよ!
口を強く結び息をひそめる
モニターを見つめていると画面に
変な物が映りこむ。
「おっおい!あれ見ろ!」
「うん?なんだぁ?」
「あぁ!うぁぁーーー!!」
「なっなんだよ!あぁ!!!!」
触手の様なものが警官の頭に突き刺さり、警官の頭が破裂、
あのエイリアンが出てくる
…
……
……ゴクっ…
そのまま後ずさりすると窓にぶつかる
窓をそっと覗きこむ
だっ誰もいない…
ヤツらもいない…
このままじゃヤバい!
にっ逃げないと!!
窓を静かに開け、身をかがめながら小さいベランダへ出る
ここは3階
脱出するのは難しい。
右を見ると文字が目に入った
【非常の際はここを破って隣戸へ避難してください】
奥には非常階段が見える。
ここから出るしかない!
壁に体当たりする
ベリッ!!
「痛っ!」
ちゃんと破れるんだぁ
…意外と痛い。
早くしないと!
ヤツらがくる!
非常階段の鉄格子をよじ登り
急いで階段を降りる
ペタっペタっペタっ…
後ろからヤツらの足音が聞こえ近づくのがわかる
振り向いたら殺られる!
「はぁ!はぁ!はぁ!」
誰か!助けて!!
お母さん!!
キーィ!!!
目の前に一台の車が止まった
「早く乗れ!!」
この声!
Reo⁉︎
急いで助手席に乗り扉を閉める
車が出るとバックミラー越しに3匹の
エイリアンが追いかけてくるのが見えた。
「あんた!スマホ持ってる⁉︎」
「はぁ…はぁ…えっ⁉︎」
「スマホ持ってるかって!!貸して!」
スマホをReoに差し出すと、窓から外へ投げ捨てられる
「ちょっ!ちょっと!!何すんのよ!?」
「あいつらは電波を発する物に寄ってくる性質があるんだ!!」
バックミラーを見ると、道路に立ち止まっているエイリアンが見える
「…はぁ…はぁ」
苦しすぎて
呼吸がうまくできない
「なっ何が…どぅどうなって…」
「あんたニュース見てないの⁉︎今ヤツらが日本中で目撃されてる」
にっ日本中?
「ヤツらにやられると卵を植えつけられて、ヤツらの仲間入り!もぅ日本は終わりだな!」
おっ終わり…⁉︎
「おっお母さん…⁉︎」
「えっ⁉︎」
「車止めて!お母さん達を助けなきゃ!!」
お母さん達
告別式してる!早く助けないと!!
「お願い!お母さん達を助けて!!」
「えぇっ⁉︎ああ、一緒じゃなかったのか⁉︎」
「神森会館にいるの‼︎」
確か、そこで式をしてるはず!
「わかった!どうやって行くんだ⁉︎」
「ナビで道が出る!」
あっあれ⁉︎
「ナビがない⁉︎」
「だから!電波発するものはダメ言ったろ!ナビなんてねぇよ!!」
そっそっかぁ
今まで行ったことないとこは、ナビ使ってたから道わからないよ…
「しかたない!そこかわからないけど、一箇所火葬場知ってるからそこ行くぞ!」
「…はい、お願いします」
お母さん….ゆうと…
無事でいて
*つづく*