第一話「繋がりから」
世界は今、ある意味一つになってると思う。
なぜかって?
世の中インターネットが普及したから
ネットで繋がってるから、
ネットを通じて世界中の人が繋がってるってことはある意味、世界が一つになってる。
インターネットを繋げれば、みんな平等にネットを使える。
世界が認めて平等に使えるものなんてネット以外に何かあっただろうか。
そんな私が今一番好きなこと、それは…
「ただいま」
「お帰りご飯できてるわよー」
台所から母が顔を出す
「お姉ちゃんお帰り!今日も一緒にやろーよ!」
「よ〜し、やろかぁ!」
駆け足で近づいてきた弟に連れられルンルン気分で居間のソファーへ腰かける
「じゃぁ今日は難易度イージーね!」
「イージーにするのー?」
私が不満を口にすると弟はつかさず
「だって、敵が強いと勝てないじゃん!そんなとこ行くより簡単なとこで俺クリアしたい!」
テレビ画面を見ながら言う
そう私、道乃木ナナが好きなこと
テレビゲームです!
「こら!ナナ!先に着替えてご飯!」
はーい
私はエイリアンって言うテレビゲームにはまっています
エイリアンを倒していくゲームなんだけど…
友達にはまだ言えないなぁ
だって…女の子がテレビゲームって
しかもエイリアン倒していくゲームなんて…
可愛さゼロだよ。
「もぅ寝ようかぁ」
あくびをしながら私は言う
「えぇーもっとやりたい!」
「明日ゆうと学校でしょ?はい終わりー」
「ちぇっ!」
文句を言いながら弟がゲームの電源を消す
「おやすみー」
「おやすみなさいー」
夜の10時18分
まだ起きててもいい時間よね
部屋から出て真っ暗な居間にいく
ピッ
「よいしょ」
ゲームに電源をつけ、ソファーに腰かける。
今日はどんな人達がいるかなぁ
先ほどしていたエイリアンゲームのメニューボタン
「オンラインプレイっと…」
今のテレビゲームは進化してて
インターネットがあれば世界中の誰とでも
一緒にゲームができる。
協力プレイで仲間になったり、バトルモードで敵になったり
あっ
メッセージが届いてる。
もちろんメールのやり取りみたいなんかも
できる。
世の中変わったよね
【私のパーティに参加しませんか?】かぁ
よし!乗った!
知らない人と一緒にゲームをする。
プレイ中はメッセージのやり取りができないから
言葉は伝えられないんだけど、協力プレイをすれば相手がどんな人かだいたいわかる。
いい人も嫌な人も。
「おっ、来てくれたんだ!お願いしますー」
テレビから誰かの声が聞こえる。
喋る人だ!
テレビゲーム専用のマイクがあればゲーム中話すことができる。
もちろん私は持ってないから話せないけど
言葉がなくても楽しめる!
「めっちゃ強いじゃんtieeさん」
チームプレイの誰かが喋る
tieeは私のネット上の名前。
それほどでも…みんな強いよー
って言いたいけどマイクがないから言えない。
クリアー!
ひとつのエリアクリアしたぞー!
次のエリアへGO!
って言いたいとこだけど…
夜の0時27分
明日学校だし寝よ。
せっかく良いチームパーティなんだけど
「おやすみ、ありがとうー。」
も、
もちろん聞こえないがテレビ画面に向かって言う。
「ナナおはよ〜!」
「おはよナツ!」
ボブヘアーのナツが話しかけてくる。
「昨日のドラマ見た〜?」
「えっ⁈ドラマ?」
「そうそう〜、めっちゃ急接近したの!後ろからね〜、ギューって!キャー!」
ナツ、恋愛ドラマ好きだなぁ…
「もちろん、ナナも観たよネ⁉︎」
「えっ!ああ〜、昨日、お母さんがチャンネル変えちゃって…はは」
昨日はずっーとゲームしてたので、
もちろん観ていない。
「ええ〜!そうなんだぁ〜、残念だったね〜」
「本当に…はは」
恋愛ドラマは正直苦手。
「お前、またグータラしてたんじゃぁねーの?」
「あっ〜!りゅうじ君おはよ〜」
げっ、出た。
短髪の男が近寄ってくる。
「どーせ家でゴロゴロしてんだろー
そんな生活してないで部活入れよ!」
ゴロゴロしてませんー、
あれ…ゲームはゴロゴロかな?
「私バイトしてるからねー」
「俺もバイトしてるよー
ずっと弓引かないと腕なまるぜ。」
「うん」
小中、弓道やって県大会に出場したこともあった。
あの時は夢中だったなぁ…
「そうだろ!入部決定だな!」
私の肩をポンと叩いて話す
「何言っての!アホか!」
こいつ中学の時からマヂ勝手なやつ。
よくキャプテン務まったな!
夜の8時32分
「はぁ〜お疲れ!」
「お疲れ様ですー!」
バイト終わったぁー、今日は長かったなぁー
帰ったらゲームしよ!!
「ただいまぁー」
「お帰りなさい、今日遅かったね」
「バイトなのに残業だよー」
ささ、ゲーム、ゲーム〜
「着替えてご飯食べなさいー」
居間のソファーに座る私を見て母は言う
「…はーい」
「ごちそうさまー」
ささ!今度こそゲーム!
「姉ちゃんお風呂空いたよー」
弟がタオルで髪をわしゃわしゃさせながら言う。
「先に入ってきなさいー」
母が言う
ええー、ゲーム…
「はーい…」
今度こそ!ゲーム!!
夜の11時26分
…ビミョーな時間だなぁ
ちょっとだけっ!本当にちょっとだけ!
ゲームのスイッチをオンにする。
メッセージはなしっと…。
今日はどんな人とプレイできるかなぁ〜。
マッチを開始。
協力プレイの誘いがない時は、マッチを開始してランダムにいろんな人とゲームをプレイする。
その中で良い人がいればフレンド依頼、登録ができる。
フレンドとかはSNSと一緒だね。
「あっ…あ…助けて」
うん?
テレビから声が聞こえる。
誰かマイクで話してるみたいだけど…
「誰か、助けてくれ…」
なんか…、気持ち悪い。
画面を見ると、話しているのは
Reoって人みたい。
変なことはマイクで話さないでほしいなぁ
他に2人集まりチームは4人へ。
ゲーム開始。
エイリアンが次々と出てくる。
余裕しょ!
エイリアンを散弾銃で撃退。
出だし順調〜!
みんなー、次に進むよー!
「助けて…」
えっ、まだ言ってる。
しかもReoって人、全然動いてないじゃんかぁ
エイリアンにやられちゃうよー
スタート地点から動かずにいるReoのキャラを見て呆れる。
マイクがあれば、どうしたのか聞けるんだけど…
Reoに私が近づく。
「どうしたのー?やらないのー?」
Reoの前で私のキャラtieeがジャンプする。
話せないからジャンプしてコンタクトを取るのだけど…わかるかな?
ジェスチャーで外国の人と話してるみたいだなぁ。
「たすけて…
…tiee…?
たすけ…にっ、にげろ…おへ!」
えっ!
バンッッ!!
Reoのキャラが爆発し中から見たことのないエイリアンが出てくる。
何こいつ!
距離を取りながら散弾銃を打ち、手榴弾を投げる。
ボンッ!!
やったかな
立ち込める煙の中を目をこらしめて見る。
ペタっ、ペタっ、ペタ!
先ほどのエイリアンがすごい勢いで近づいてくる。
ヤバい!
他のチームメンバーも応戦し集中攻撃。
お願い!止まって!
エイリアンの爪が隣にいたチームメンバーを襲う
ビシャっ!
身体が真っ二つになり倒れこむ。
何これ!
わあっ!
エイリアンに吹き飛ばされ倒れこむ
うう!
起き上がると
もぅ一人のチームメンバーの串刺しにされた姿が見えた。
死体の奥にいるエイリアンと目が合う。
なっ…!
ピッ!!
とっさにゲームの電源を消す。
はぁ!はぁ…!
夜の1時52分
ゲームのやり過ぎかなぁ
寝よ。
「おはよ〜ナナ!」
「あっナツ、おはよー」
「何?元気ないわね〜、寝不足〜?」
確かに寝不足。
「うーん、ちょっとね」
昨日あれから眠れなかった。
身体から流れる血、肉…
ゲームであんな描写見たことないよ…。
「何〜?もしかして…恋?!」
「えっ?」
やっぱ恋なんだぁ〜!水くさいなぁ私に話してくれたら一発で解決なのに〜」
はは…ナツは能天気だなぁ
夕方6時09分
「道乃木、今日は上がれ」
「えっ?まだバイト終わってないですよ?」
裏に呼ばれた私は濡れ布巾を持ったまま棒立ちになる。
「なんか体調悪そうだぞ、インフルエンザじゃないのか?」
バイトのチーフマネージャーが腕を組んで言う。
インフルエンザって…
「いえ風邪症状ないですので大丈夫です。」
「いいから上がれ、そんなぼーっとしてたら迷惑だ」
「…はい。」
とぼとぼで家に帰る。
私…迷惑かぁ、確かにあれからボーっとしちゃう…。
「ただいまー。」
「お帰りー、今日早かったのね?」
母が台所から出てきて言う。
「うん、まぁね」
「姉ちゃんお帰り!今日も一緒にゲームしよ!」
えっゲーム?
「きょ、今日は辞めとこうかなぁ〜」
「ええーなんで〜?」
弟が私を見上げ言う。
「うーんと、あれだインフルエンザっぽいから!ゴホッ、ゴホッ!」
「あら、本当?
ちょっとマスクして、今日はゆっくり休みなさいよ。」
「はーい。」
正直、怖かった。
あんなのもぅ観たくない。
それに、弟が観たらショック受けちゃうだろうし…。
居間に行くと、すでに弟がエイリアンゲームをしていた。
横目で見ると何も変わった様子なし。
あれは、ただのイベントか何かだったのかな?
しばらくゲームを観ていてもいつもの描写。
いつものエイリアン。
なんだぁ…、良かった〜!
もぅエイリアン恐怖症なるとこだったよ〜
安心した私はソファーに座る。
もぅイベントもアレやり過ぎだよ〜
ゲーム画面を眺めると先ほどの安易は打ち消され、一瞬で凍りついた。
えっ…
画面の右上に写る文字
【あなたへメッセージが届きました。差出人ーーー】
『Reo』
*つづく*