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夢幻語外伝 ~能力者編~  作者: みっちー
3/3

第二話 「エアトリック」

 以前、pixivに上げていた小説です。

 楽しんで読んでいただけたら幸いです。

 空は、いつ見てもいいものだ。

 青く、美しく、ふわふわ漂う雲は優雅で、見ていても飽きさせない何かがある。人の争いごとなどが愚かに見えてしまうほど、空は僕に広大な心を持たせてくれる。

 テストの点や宿題の出し忘れ、好きな子に告白して振られたこと、そしてその彼女に彼氏ができたこと。財布を無くしたこと、帰りに犬に噛まれたこと。そんなことまで僕に忘れさせてくれる。

 僕はこの空が好きだ。たぶん一日中、いや毎日見ていても、僕は飽きずに見ることができる。毎日形の違う雲を探したり、空を見ながら、その青空を絵の具で作ってみたりなど、いろんなことをしながら見ていられる。

 とにかく、僕にとって空というものは、切っても離せない、離れないものだと思う。

 ああ、なぜ空はこんなに青いのだろう・・・。なぜ、こんなにも僕を誘惑させるのだろう。できることならば、僕は、この空になりたい・・・。

 そんな事を思った、次の瞬間だった。


 プワァァァァァァァァァン!!

 ドンッ!!

 キキィイィィィィィィ!!

 ぐしゃ。


 そんな音が聞こえたかと思うと、僕の自転車は宙を舞い、僕の意識は、そのまま空に吸い込まれていった・・・。


   ***


 次に目が覚めた時には、僕はベッドの上で寝ていた。以前、お世話になったことがある感じのベッドだったので、僕はすぐにここが病院だと分かった。相変わらず、病院らしい嫌な匂いがする。消毒液なのか何なのかがよく分からない匂いだ。周りに人がいないところをみると、どうやら個室のようだ。

 ・・・またか。

 また、僕は事故に遭ってしまった様だ。今回は自転車に乗りながら、空の美しさを考えてしまっていたようだ。そのせいで車に轢かれるとはなんと情けないことか。まあ、毎度のことなのだが。

 しかし、体は動かせないし、首すら回すことができない。横目で見ると、献血をされているのが分かる。これはいつもより重傷だった。

 ・・・・・・・・・。

 ・・・・・・。

 ・・・。

 暇だな。


   ***


 一週間後。

 僕の怪我は大分治ってきた。立つことも、歩いたり走ったり、普通に運動することさえ可能になってきた。医者からも、退院しても良い、と許可が出された。

 これで僕はまた、普段の生活に戻れるのだ。また河原で空を見上げることができるのだ。

 そう思うと、ワクワクした。

 ・・・・・・・・・。

 ・・・・・・

 ・・・いや、待て。不思議とは思わないだろうか。

 確かに普通の怪我だったら、一週間程度で治ることだろう。だけど僕は骨折をしていた。体中の骨が折れていたんだ。なのに何故、こんなにも早く治るんだ? おかしいだろ、どう考えても。

 と、ここで一つ、いつもと何かが違う事に気がついた。

 なんだろう、凄く違和感を感じる。なんかいつもより視点が高いような気が・・・。 

そう思いながら、僕は目を下に向ける。

「なんだこりゃ。」

 浮いていた。空中に浮いていた。いや、何を言っているか分からないかもしれないけど、僕の足は、地面から数センチ離れていた。

 ・・・見間違えだろうか。

 僕は目をこらして、もう一度足元を見る。

 それでもやっぱり浮いている。どう見たって浮いている。


 ・・・これが原因か?


   ***


 あれから、五日が経った。

 僕が発現したこの能力は、空中を自在に移動できる能力だった。正確には、空中を歩いたり、駆け上がったり、スケートのように滑ることのできる能力だ。

 この能力を手に入れてから、僕はもっと空を好きになった。

 ああ、自由に空を移動できるというのは、なんと素晴らしいんだろう! 普通に空を見るときとは違った感動があった。これは、まさに、僕にとってこの能力は神からの贈り物だった。

 ただ、自由に移動できるといっても、力を使っているので疲労はする。地面に着地したときに出る疲労は本当に辛い。例えるならば、一キロの道のりを全力疾走した後の感覚だ。考えただけでも息が苦しくなってくる。

 けれど、そんな事、どうでも良いのだ。僕は気ままに空を眺めればいい。このまま見ていることだけが楽しいのだから・・・・・・。

 ・・・・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・

 ちょっと疲れてきたのだろうか。さっきまで雲の上まで上っていたはずなのに、だんだん高度が落ちている。

 仕方がない。一度地面に下りて、少し休んでからもう一度空に上がろう。

 そう思って僕は急いで地上まで降りていく。

 プワアアアアアン。

 そんな音が聞こえていたのは分かっていた。だけど疲労がピークに達していた僕はぜんぜん気にもしなかった。

 地面に降り立った、次の瞬間だった。

プワアアアアアン!

「ん?」

 ドンっ!!

 ベシャ!

 ドテっ!

 ベキバキベキバキ。


 そんな音が聞こえ、僕の意識はまた、青い空の向こうに吸い込まれていった。


   ***


 目が覚めると、そこは見覚えのある場所だった。そう、いつもの病院だ。

 また僕は怪我しているみたいだ。まったく、何度同じ事を繰り返しているのだろうか。

 さて、今回は前とは違って体は自由には動くようだ。

 よし、さっさと病院から出て、もう一度空を眺めに行こう!

 そう思い、僕は病院の窓から外に飛び出す。


 このときの僕はまだ気がついてはいなかった。

 事故に遭って能力が開花したのなら、また事故に遭ったら能力は消えてしまうのではないかという考えに・・・・・・


 空に駆け上がろうとした僕の足は、空しく空を切る。

「あれ?」


 ぐしゃ

 その音と共に、僕の意識はまた遠い空に吸い込まれる。

 ただ、前と違っていたことは・・・

 青い空では無く、血のように紅い空だったということだった。

                         【エアトリック 完】

 皆様お久しぶりでございます。はじめましての方は初めまして。

 みっちーと申します。

 今回は夢幻語外伝~能力者編~第二話を読んで下さり誠にありがとうございます。拙い文章ではありますが、皆様に楽しく読んでもらえれば幸いです。

 さて、前話のあらすじにて、また来週、などと書いてしまいましたが、すみません。大学生活のせいで時間がなく、投稿する暇さえもなかったので、このような時期になってしまいました。まあ、私の作品を見て下さる方なんて、ほとんどいないでしょうから、問題はないでしょうけどね! HAHAHA!・・・・・・(自分で言って自分で落ち込んでおります。)

 さてさて、この物語はまだまだ続きます。今回の、そして前回の話で鬱になってしまっている人はいないでしょうか? 次回は安心してください。たぶん、ハートフルな物語であると思いますので!

 それでは、皆様また次回!ノシ


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