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夢幻語外伝 ~能力者編~  作者: みっちー
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第一話 「狂眼(きょうがん)」

pixivであげていたものです。

拙い文章力ですが、楽しんで読んでもらえると嬉しいです。


 超能力。

 そんなものを僕は昔、憧れていた。

 テレパシーで考えていることを伝え合ったり、サイコキネシスで物を動かしたり。

 僕もそんな超能力が欲しいと思っていた。

 けれど、手に入れることはできなかったんだ。

 いや、“超能力”自体には目覚めたんだ。

 だけどそれは、小さい頃に憧れていたものとは違う、何にも役に立たない、人を狂わせるだけの能力。

 狂眼

 この能力のせいで、僕の人生は大きく変わった。

 ポジティブになれないくらいに、大きく真っ当な道から反れてしまった・・・




 最初に犠牲になったのは、僕の家族だった。

 そう、あれは一週間位前。

 まだ、夏休みの真っ最中だったころ・・・


 朝、僕は起床して、いつもの様に寝癖を直すために洗面所に行った時だった。鏡を見ると、何故か僕の右目だけが紫色に輝いていた。じっと見続けていたら、気分が優れなくなったので、僕は母さんに見てもらおうとしたんだ。

 だけど、それが、その選択が間違いだった。

 母さんは僕の右目を見るなり、いきなり倒れたのだ。口からは泡を吹き出し、白目を向いていた。

 それから僕はどうしたかって?

 その時、僕には何が起こったのかさっぱり分からなかった。そう、分からなかったから、つい父親にまで見せてしまったのだ。

 この右目を・・・

 父は母と違って、発狂し、二階の自分の部屋に上ったかと思うと、そのままベランダから落ちて死んだ。


 僕は、僕のせいで父も母も死んだと思った。

 僕のせいで死んだのだ。

 僕が悪いんだ。

 僕がこの能力に目覚めなければ、二人とも死ななかったのだ。


 その時の僕も、発狂しそうになっていた。

 多分、発狂して死のうと思っただろう。

 でも、僕は死ねなかった。死ぬことを選ばなかった。

 生きたかった。生きていたかった・・・


 その後僕は、近所の人が呼んでくれた警察に連れて行かれた。

 その時の僕の右目には、いつの間にか眼帯が着いていた・・・


 一家心中。

 それでこの事件は解決した。ちなみに僕は無罪となった。

 僕は、警察に一度も右目の事を話さずに終えた。多分、言っても信じないだろうけどね。

 それからの僕は一人暮らしをしている。なぜなら、僕を引き取ってくれる人がいなかったからだ。

 一人でご飯を作り、一人でご飯を食べ、一人でお風呂に入り、一人で寝る。

 一週間前までは家族と一緒に暮らしていたのが嘘みたいだった。

 それもこれも、この右目が悪いんだ・・・


   ***


 能力に目覚めてから、初めて僕は外出した。

 理由なんか無かった。ただの気まぐれ。強いて言えば、今日の夕陽があまりにもきれいだったからだった。

 家の近くにある公園のベンチに座る。公園では、まだ子ども達が遊んでいた。それを見ていると、僕も夏休み前に友人達と一緒にこの公園で遊んでいたことを思い出す。

 だけど、もう僕はみんなと遊べないだろう。こんな気持ち悪い右目を持っている僕なんか、誰も好きにはならないだろう。

 皮肉なものだな。本来なら人の興味を引くことのできるはずの超能力が、逆に人を遠ざけてしまうなんて・・・

 ・・・僕はもう帰ることにした。

 人の近くにいると虚しさが募るだけだったから。


 僕は家に帰った後も、ぼんやりと二階の窓から外の夕陽を眺めていた。誰もいないことを確認し、僕は右目の眼帯をそっと外す。そして、いつもの様に手鏡で自分の右目を見た。相変わらず僕の右目は、おぞましいほどに紫色に輝いていた。これを見るたびに嫌になる。そんなことを思いながら外をもう一度向き直すと、電柱に止まっていた一羽のカラスと目があってしまった。

 その瞬間

「ギョガヤギャキグゴエガジュギャァ!!」

 カラスは叫びにならない声を出すと、ドサッという音を立て、地に落ちた。

 ・・・ああ、また僕は殺してしまったのか。

 人間で無いにしろ、生き物を殺した罪悪感は結構ずっしり来るものだ。


 駄目だ。僕なんか生きていても、他人を幸せにすることなんてできない。


 僕はもう一度眼帯を着け直す。そして、まだ六時ではあったけれど、僕は布団にもぐり込む。

 夕食は食べない。作る気も無ければ、食欲もないからだ。一食抜かしたところで、人間は死なないしね。

 ・・・もう寝よう。考えることにも疲れた。夢の中なら誰もいない。誰も狂わせることはない。

 さあ、寝てしまおう。永遠に夢の中にまで・・・

【狂眼 完】

能力者シリーズ第一話となっていますが、正確には第二話になります。前に投稿した「影使い」が一話です。

狂眼を書いている最中に気が付いたことは、東方projectに出てくる、鈴仙・優曇華院・イナバというキャラの能力に似ているということです。結局、あまり気にしないで書いてましたが、パクリとかそんなふうに思わないでください。

さて、この能力者シリーズ編。「編」ってついてるのに「シリーズ」ってなんやねんって思ったので、「シリーズ」の部分を削ろうと思ってます。


まあ、そんなことはいいんです。

次回、第二話「エアトリック」

能力者シリーズの中の一番の駄作ではありますが、楽しんで読んでもらえたらなと思います。

それでは皆様、また来週。ノシ

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