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救世主  作者: 山本正純
9/21

 その頃愛澤春樹は自宅で、籠城事件のニュースを伝えるワイドショーを観ていた。彼に匿われている日向沙織は紅茶を淹れている。

 そんな彼の元に江角千穂から電話がかかってくる。

『ラグエルさん。ニュースは観ましたか。ケイシンランドにはウリエルとレミエルがいます。どうしますか。あの2人を助けますか』

「その必要はありません。相手はアマ。あの2人なら楽に倒せる相手です」

『レミエルはライフルを所持していませんが大丈夫ですか』

「大丈夫ですよ。ところであなたは今どこにいますか」

『報告していませんでしたか。私は大分県で人探しを行っています。詳しい話は守秘義務のため言えませんが、サラフィエルさんも一緒です。2人で調査活動をした方が効率的だから連れて行きました』

「あなたたちは不在ですか。分かりました。それではサマエルと連絡してみます」

 愛澤春樹が電話を切ると日向沙織は紅茶を彼に差し出した。愛澤は日向沙織が淹れた紅茶を一口飲むと、テレビにケイシンランド内部の様子が映った。


 その頃テレサ・テリーはオーナーである袴田翠と共にオーナー室に留まっていた。オーナー室のテレビには部屋の外で発生している籠城事件の様子が映っている。

 テレサはその映像をワクワクしながら観ていた。

「袴田さん。この遊園地の地図を見せて」

 そのテレサの指示は突然だった。袴田は唐突だと思いながら、ケイシンランドの全体図を机に広げる。

「パンフレットしか手元にありませんが、大丈夫ですか」

「大丈夫。それとこの地図に印を書きこんでいいかな」

「構いませんが、その地図で何が分かるのですか」

「簡単な謎解き。まず先ほど放送室兼警備室もジャックされたよね。その放送室兼警備室はこのビルの6階。このオーナー室は7階」

 現在テレサたちがいるビルがテレサの黒色のボールペンによって印を書きこまれる。

「そして籠城犯の香椎陸さんがいるのは、イベントステージ。入口から200メートル離れた位置。ここで問題。どこに爆弾を数十個仕掛けたらこの遊園地を倒壊させることができるでしょうか」

 テレサは再び唐突な質問を袴田に問う。袴田が考え込んでいる間、テレサは鼻歌まじりにイベントステージに印を付ける。


 そして1分後テレサは答えを袴田に伝える。

「正解はこの遊園地を覆っている壁の近く。そこを一定の間隔で一つずつ爆弾を仕掛け、全ての爆弾が同時に爆発すれば、逃げ場はないでしょう。ケイシンランドを支えている天井まで伸びた柱は中央に立っている時計台まで届くから、爆破されたら確実に倒壊する」

「そうとは限りませんよね。逃げ場がなかったら籠城犯も逃げることができませんよね。私が籠城犯だったら自分たちが助かる方法を用意しますよ」

「まだ分からないの。香椎陸さんは携帯電話を取り上げなかった。さらに彼はマスコミ相手に自分の名前を名乗った。顔バレした籠城犯は最後に自殺する。ケイシンランドを巻き込んで。これが籠城犯の描いたシナリオです。この推理はケイシンランドが円形だということを前提にしたもの。もしもこの遊園地が複雑な形だったら別の場所に仕掛けてあるかもしれないけれどね。兎に角私はこのビルの外にいるお姉ちゃんに電話するから」


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