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救世主  作者: 山本正純
8/21

 間もなくして籠城事件のニュースはテレビで伝えられた。ケイシンランドの取材で訪れていたニュースキャスターは、即席の原稿を用意して、籠城事件のニュースを伝える。

「現場の山田です。現在ケイシンランドでは籠城事件が発生しています。カシイリク容疑者がケイシンランドを籠城しました。要求は先日逮捕された長谷川真容疑者を釈放すること。カシイ容疑者と長谷川容疑者の関係について、子羊を救い出すのが使命という供述をしています。またケイシンランド内には爆弾が仕掛けられており、要求が叶えられなかった場合、爆弾が爆破され、ケイシンランドが倒壊するとのことです。タイムリミットは午後6時まで。警視庁と籠城犯の交渉に注目が集まっています」


 レポートが終わると、テレビ局のスタジオにいるアナウンサーは現場にいる山田に質問する。

「山田さん。事件発生から数分しか経過していないのですが、なぜここまで詳しく報道できるのでしょうか」

『はい。先ほどマスコミ関係者を一か所に集められ、カシイ容疑者自らが記者会見を開催しました。先ほどの報道はその記者会見で伝えられた情報を元にしています』

 

 このテレビのニュース番組を千間刑事部長と喜田参事官は見ていた。

「籠城事件か。情報が漏れ過ぎだな」

 千間が呟くと喜田参事官はテレビのスイッチを切る。

「そうですね。既に主犯の香椎陸の顔写真はネットニュースに出ています。香椎陸のことを合田たちに調べさせますか。ネットニュースによると、先週発生した郵便車爆破事件と同じ爆弾が数十個ケイシンランドに仕掛けられているそうです。この籠城事件と爆破事件は関係があると思いますが」

「つまりあの爆破事件は爆弾のデモンストレーションに過ぎないということか。面白い。合田たちに調べさせる。それと並行して特殊班と特殊急襲部隊。爆発物処理班を現場に派遣する。内部の様子はすぐにでも分かる。籠城犯は携帯電話を取り上げていないからな。内部の様子が分かり次第、現場に突入する」

「要求は無視ですか。人質1万2千人の命の方が大切だと思いますが。おそらく香椎陸は警察の突入を視野に入れています。警察が突入したら爆弾のスイッチを押し、遊園地ごと爆破するかもしれません。そうなれば警察組織の責任となります」

「分かった。突入は最終手段。交渉人も派遣する。交渉人は月影管理官。彼は7年前アメリカで交渉術の研修を受講したから適役だろう」

 千間刑事部長の指示で月影と爆発物処理班、特殊班、特殊急襲部隊のメンバーはケイシンランドへ向かうために用意したキャンピングカーに乗り込む。


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