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救世主  作者: 山本正純
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 人質たちに要求が伝えられた頃、ケイシンランドオーナービルの6階にある放送室兼警備室が2人組の武装した男たちによって占拠された。その男たちは目だし帽で顔が隠されている。

 香椎陸の仲間である2人組の男たちは館内放送で人質たちに呼び掛ける。

「俺たちはイベントステージを占拠した籠城犯の仲間だ。只今ケイシンランド放送室兼警備室を占拠した。我々は防犯カメラの映像を監視し、人質の動向を監視する。人質が妙な行動をした場合、爆弾を爆発させる」

 放送室兼警備室に籠城して、館内放送を行った籠城犯に対して、もう一人の籠城犯はペットボトルに入れられたお茶を差し出す。

 放送を行った籠城犯はお茶を一口飲んだ。

 

この館内放送が流れた瞬間、テレサの元に向かっているジョニーは宮本栞と顔を見合わせた。そしてジョニーは宮本栞とヒソヒソ話を始める。

「スタンガンは持ち歩いているのか」

「はい。護身用で常に持ち歩いています。まさかあなたはライフル銃を持ち歩いていませんよね」

「持っていない。あれを持っていれば、銃刀法違反で逮捕されてしまうからな。ライフルは護身用で持ち歩く物ではない。もしも籠城犯と戦うことになったら、俺は素手で戦う」

 このひそひそ話の最中、マリアはため息を吐く。

「テレサはこの状況を楽しんでいるのでしょうね」

 

 その頃マスコミ関係者が全員イベントステージの前に集まった。ステージの中央に立っている香椎陸は、マイクを握る。香椎陸はBPOに合わせたのか敬語でマスコミ関係者に呼び掛ける。

「マスコミ関係者の皆様。お集まりいただきありがとうございます。僕の名前は香椎陸と申します。僕はこのケイシンランドを占拠した籠城犯です。皆様。どうぞご自由に撮影録音を行ってください。あなた方にはこの籠城事件を報道する義務があります。まずは警視庁の皆様に要求します。長谷川真を釈放してください。この要求が叶えられれば、人質を全員解放します。もしも午後6時を過ぎても要求が叶えられなければ、爆弾でケイシンランドを倒壊させます。それでは質疑応答に移ります。どなたか質問はありますか」

 籠城犯による異例の記者会見。それは異例だ。普通の籠城犯は記者会見を行わないだろう。そして一人の新聞記者は手を挙げた。

「あなたと長谷川真容疑者の関係は何ですか」

「新聞記者さん。いい質問ですね。彼は地獄の落ちた子羊です。彼を地獄から救い出すのは僕の使命。彼以外にも地獄に落ちた子羊はたくさんいるのですよ。子羊は犯罪者以外にも存在します。この籠城事件の動機を強いて言うなら、この世界に存在する同志たちを救出すること」

「香椎陸というのは偽名ですよね」

「いいえ。本名です」

「それではなぜ本名を名乗ったのでしょうか」

「本名を報道するのはあなた方の義務ですよね。年齢は29歳。無職。この情報も報道してください。以上で記者会見は終了します。皆様は仕事をしてください」


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