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救世主  作者: 山本正純
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 三沢マコのライブはイベントステージで正午から行われる。ケイシンランド中央にそびえ立つ時計台が正午を示す鐘の音を鳴らした頃、ステージでは、三沢マコのデビュー曲である『ハピネス・クライアント』のイントロが流れた。それから間もなくしてステージ上に三沢マコがマイクを持った状態で姿を現す。

 三沢マコの登場に観客たちが興奮した時、香椎陸は頬を緩ませ、拳銃を取り出した。

「みんな。行くよ。ハピネス・クライアント」

 三沢マコは観客に向かいMCを行った後で歌い始める。一方香椎陸は拳銃を天井に向け発砲する。拳銃の発砲音で歌声がかき消され、演奏が中止された。

 突然の銃声に観客たちがパニックになる。銃声を聞きつけスタッフたちがステージに駆け寄った時、香椎陸がステージに上がる。


 ステージに乱入した香椎陸は三沢マコからマイクを奪い取り、観客たちに呼び掛ける。

「マスコミ関係者に告ぐ。ケイシンランドを占拠した。このケイシンランド内にいるマスコミ関係者は今すぐイベントステージに集まれ」

 突然ステージ上に乱入してきた男は冗談だろうと誰もが思った。男が手にしている拳銃はモデルガンだろうとも。

「馬鹿なことは止めなさい」

 現場に駆け付けた警備員の説得を香椎陸は聞かなかった。それどころか香椎陸は警備員に銃口を向ける。

「馬鹿なことをやっているのはマスコミ関係者」


 香椎陸は拳銃を発砲し、警備員の右肩が銃弾で撃ち抜かれる。警備員はその場に倒れこみ、スタッフたちは警備員たちの前に駆け寄る。

「スタッフさん。勇敢なる警備員さんを医務室に運べ。急所は外しているから、今から手当てをすれば助かる」

 スタッフたちは奇妙な籠城犯だと思いながら負傷した警備員を医務室に運んだ。

 そして観客たちに対して香椎陸は要求を伝える。

「人質の皆さんへの要求はおとなしくすること。一人でもこの遊園地から脱出しようとすれば、遊園地内に仕掛けてある爆弾が爆発する。皆さんも覚えているでしょう。先週発生した郵便車爆破事件。あの事件で使われた爆弾の3倍の威力がある爆弾が数十個遊園地内に仕掛けてある。その爆弾が爆発すれば、このケイシンランドは倒壊する。一人の馬鹿な行動が多くの人々を殺すことになることを覚えておいておけ。それと携帯電話は回収しない。携帯電話は自由に使って構わない。尚私は人質を拘束しないので、自由にアトラクションを楽しんでいただけて構わない」


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