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救世主  作者: 山本正純
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 それから2時間が経過した頃、4人はケイシンランドに入ることができた。

 遊園地のエントランススペースに設置されたイベントステージは人ごみで溢れている。

 その人ごみの中には、宮本栞に送迎バス内で話しかけてきた香椎陸の姿もあった。

「どうやら三沢マコのライブはこのステージで行うようです。その証拠に送迎バス内でナンパしてきた男が人ごみの中にいます」

 宮本栞の推理を聞き、ジョニーは納得する。

「だろうな」


 マリアは遊園地のマップを広げ、西の方向を指さす。

「テレサがいるのは西側にあるケイシンランドオーナービルだよ。そこのお土産コーナーでサイン会をするみたい。どうする。今から遊園地で遊ぶ。それともテレサに会いに行く」

「テレサに会いに行くか。ほとんどの客が三沢マコのライブに参加するとは言っても、どこのアトラクションも行列だから、彼女に会いに行った方が時間を有効的に活用できる」「そういえばジョニー探偵は待つことが嫌いでしたね」

 ジョニーの判断を聞いた宮本栞が独り言のように呟く。その呟きを聞きジョニーは宮本栞の耳元で話しかける。

「せっかちなのは認める。だがジョニー探偵という呼び方がわざとらしい。ジョニーさんと呼べ」

「分かりました。ジョニーさん」

 

 ケイシンランドオーナービル。ケイシンランド内にある10階建てのビル。そのビルの7階にあるオーナー室で金髪碧眼の女、テレサ・テリーはケイシンランドオーナーの袴田翠はかまたみどりと対談を行っていた。

 袴田翠は黒色の長髪で低身長。服装はピンク色のフリル付きのドレス姿だ。オーナー室内には大量のぬいぐるみが飾ってある。だがオーナー室内に飾られているぬいぐるみは全て別の遊園地の物だ。

「ところでこの遊園地で販売されているぬいぐるみはないの」

 テレサからの質問に袴田翠は笑って答える。

「実はないんですよ。まだこの遊園地のイメージキャラクターが決まっていないので」

「それと、この遊園地を舞台にした刑事ドラマの脚本を書いてもいいかな」

「遊園地内で殺人が起こるのはノーだけど、誘拐ならオーケーです」

「殺人が起きたら風評被害を懸念しているのかな。誘拐の場合は身代金の取引先で使ってほしいということかしら。脚本の話は冗談ですが」

「さすが人気脚本家。生粋の推理オタクですね」

「ある探偵さんと本物の殺人事件を解決したほどですから」


 テレサと袴田翠が会話をしている頃、イベントステージの裏口に黒髪のツインテールの少女と黒ぶち眼鏡の長身の女が入ってきた。

 その2人を観てイベントスタッフは仲間に声をかける。

「三沢マコさん。到着しました。イベント開始まで残り5分です」

 スタッフの声かけを聞き、黒ぶち眼鏡の女はツインテールの少女の右肩を持つ。

「マコ。楽しんできなさい」

「はい。長塚さん」

 黒ぶち眼鏡の女の名前は長塚好美。ツインテールの少女、三沢マコのマネージャーだ。

 そのイベントステージの最前列には香椎陸の姿があった。5分後、衝撃的な事件が発生することを彼らは知らない。


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