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救世主  作者: 山本正純
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 2月18日。香椎陸たち4人は警視庁で取り調べを受けていた。その取り調べの様子を千間と喜田はスモークガラス越しに見ている。

「証拠は揃っているのか」

「はい。香椎陸のノートパソコンに記録されていたメールアドレスの所有者にあの3人の物が記録されていました。北条に解析を依頼した甲斐はありますが、香椎陸が籠城事件の最中に受信したメールアドレスの所有者は分かりませんでした」

「ああ。逃走を手助けするという趣旨のメールを送った奴だろう」

「はい。あのメールアドレスは海外のサーバーを複数経由されているため、所有者が現在も不明です」

「物的証拠は」

「三沢マコは爆弾のスイッチを所持していたこと。長塚好美はもう一人の籠城犯が襲われた時に顔を見たそうです。湊当麻はもう一人の籠城犯の指紋が付着した指輪を所持していたことが決め手になっています。これだけの証拠があれば送検も可能でしょう」


 2月19日。4人が送検されたことを受け、ネット上は炎上した。特に騒いだのは三沢マコのファンたち。彼女のブログには『裏切られた』という趣旨のコメントが殺到した。

 コメントの二割が『出所するのを待っている』という趣旨の温かいコメントがあったことが救いだった。

 

 午後1時。テレサ・テリーはイタリアンレストランディーノを訪れた。現在店内には宮本栞と板利明の2人がいる。

 テレサは宮本栞が座っているカウンター席の右となりに座った。

「あなたが宮本さんだよね。はじめまして。テレサ・テリーよ」

「はじめまして。宮本栞です」

 2人が握手を交わすと、テレサはパスタを注文する。

「所で式部さんはいないの」

「はい。彼女は今朝から帰省しています。所で今日はなぜこの店を訪れたのでしょうか」

「一つだけ言っておかないといけないことがあったから。この前の籠城事件はあなたが事件を解決したみたいだけど、私が安楽椅子探偵じゃなかったら、私が事件を解決したんだから」

「お言葉ですが、あなたは自分から安楽椅子探偵としての道を選んだのではありませんか」

「私より早く事件の真相を見抜いたことが許せないの。あなたたちは私の推理を立証するだけでよかったの。それなのにあなたは推理を展開して犯人と対峙した。そこが許せなかった訳」

 

 丁度その時この店のドアが開き、江角千穂が入ってきた。そんな彼女の前にテレサの顔が飛び込んできて、江角千穂は驚く。

「テレサ。どうしてこの店にいるのですか」

「千穂ちゃん。久しぶり。この前の籠城事件のことで宮本さんに説教をしていたところだよ。この前の事件は安楽椅子探偵として事件を解決しようと思ったのに、宮本さんが解決するから」

 だがテレサは知らない。人質籠城事件を解決に導いたのは宮本栞ではなく、テレサが香椎陸と交渉した時に発した言葉。『あなたは世界を救うために一万人以上の命を犠牲にするの』であることを。この事実が明かされるのは、数年後香椎陸の手記が発売された頃になる。


赤い落書き誘拐事件


陰雷館殺人事件


赤い落書き爆弾事件


株式会社センタースペード人質籠城事件


神奈川県連続通り魔事件


陰陽師伝説連続殺人事件


16年後の暗号事件


美術コレクター密室連続殺人事件


青い水筒連続毒殺事件


連続強盗殺人犯奪還事件


ブラッディティア事件


大学生拉致監禁事件


横浜オリエンタル観光バスジャック事件


東京クラウドホテル殺人事件


ブルースカイ号連続猟奇殺人事件


四葉学院連続暴行事件


シャイワーカー狙撃事件


二世議員豪邸殺人事件


ケイシンランド人質籠城事件



そして20番目の事件が始まる。


混沌とした世界の中でシリーズ第16弾。制作決定!



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