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救世主  作者: 山本正純
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 警視庁に設置されたケイシンランド人質籠城事件の捜査本部の会議室には合田警部がいた。捜査本部には六台のテレビが設置されている。そのテレビには地上波放送6局によるケイシンランド内部の様子が映し出されていた。

 その捜査会議室に大野と沖矢が現れた。

「合田警部。郵便車爆破事件についての報告です。爆発物を郵便車に紛れ込ませた男の名前が分かりました」

 大野は一枚の写真を千間たちに見せる。

「名前は香椎陸。彼の自宅の住所から送られた荷物の中に爆弾が仕掛けられていたことが分かりました。つまり郵便車爆破事件に香椎陸が関与しているということです」

「郵便車爆破事件は籠城事件のデモンストレーションの可能性もあるということか。籠城するために仕掛けた爆弾の威力を試すために、爆破事件を起こした」

「どうしますか」

「これで家宅捜索状が請求できる。家宅捜索状が請求できたら、香椎陸の自宅に臨場する」


 合田が木原に指示を与えるための電話をかけ終わると、沖矢が独り言のように呟いた。

「奇妙な犯人だよ。本当のことしか話さないから。私が犯人だったら偽名を使って捜査を撹乱するのだよ」

 その沖矢の言葉を聞き合田の脳裏に疑問が浮かんだ。なぜ香椎陸は本当のことしか語らないのか。沖矢が言うように偽名を使って捜査を撹乱するのが普通ではないか。マスコミが集まるケイシンランドオープン記念イベントで籠城事件を起こした理由。全ての謎が明かされない限り事件は解決できないと合田は思った。


 一方月影が乗っているケイシンランド行きのキャンピングカーの内部はテレビの中継車のように、6つのモニターが設置されている。

 そのモニターに映し出されているのは警視庁に設置された捜査本部と同じ地上波放送6局の報道だ。

 20分程で月影たちはケイシンランドに到着する。そんな中で月影はケイシンランドの地図を机に広げ、爆発物処理班、特殊班、特殊急襲部隊のメンバーたちに作戦を伝える。

「主犯の香椎陸がいるのは出入り口から真っすぐ進んだ先にあるイベントステージ。そのステージに近く、香椎のいる位置から死角になっている、唯一の出入り口から東に500メートル歩いた位置『ポイントA』から突入します。ケイシンランドはガラス張りになっている屋内遊園地。その位置にあるガラスを爆破すれば、突入は簡単なはずです。特殊班及び特殊急襲部隊はその位置で待機してください。爆発物処理班は車内に待機。交渉は僕が行います」

 その月影の作戦を聞きの特殊急襲部隊の狙撃支援班に所属する刑事は手を上げた。

「特殊急襲部隊の制圧一班と技術支援班はその位置でいいとして、狙撃支援班の待機場所はどこですか」

「狙撃支援班もその位置で待機してほしい。ケイシンランドを覆っているガラスは防弾ガラス。銃弾でガラスを撃ち抜くことは不可能に近い。ここは正確に香椎を狙うために、ランド内部に潜入してから、狙撃箇所に移動してもらいたい。狙撃場所はケイシンランドの中央に位置する時計台。あの場所は死角がないから、正確に香椎を狙うことができます。突入は交渉に失敗した場合の最終手段です」


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