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救世主  作者: 山本正純
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 午後1時。板利明とメアリーはイタリアンレストランディーノのカウンター席に座り、各々の仕事を行っている。

 板利はノートパソコンで香椎陸という男について調べ、メアリーはタブレット端末で爆弾のシミュレーションを行っていた。


 丁度その時にメアリーの電話が鳴る。

『テレサだけど、シミュレーションは進んでいるの』

「計算中です。邪魔しないでください」

『そう。それで一つ条件を追加してほしいんだけど、遊園地を覆う壁を一周するように爆弾が仕掛けられているはずだって言ったよね。その爆弾の威力は殺傷能力が低く、柱を吹き飛ばす程度の物だったら、安全な場所ができるんじゃないかな』

「分かりました。少し待ってください」

 メアリーはタブレット端末を操作して、ケイシンランドの見取り図に爆弾を配置する。もちろんテレサの指示通りの場所に、殺傷能力が低く、柱を吹き飛ばす程度のレベルに設定して。

 

 メアリーがタブレットをタップすると、タブレット上に表示された爆弾が同時に爆発。柱が倒れ、ガラスも割れて行く。そんな中で一ヶ所安全なエリアが浮き彫りになった。

「分かりました。10階以上の建物。ケイシンランドオーナービル。今あなたがいるビルです。そのビルの5階より下が安全ですよ。ケイシンランドオーナービルの壁が倒れてくる柱の障害物になります。その障害物が爆破されたら、完全に柱は倒れます」

『なるほど。このビルを爆破すれば、完全にケイシンランドを倒壊させることができるということだね。また何か分かったら連絡して』

「分かりました」

 メアリーが電話を切ると、板利明は彼女にあるホームページを見せた。

「メアリー。このサイトを見てくれ。香椎陸が起こした籠城事件を受けてネットが炎上しているらしい」

 板利明がメアリーに見せたサイトには、香椎陸が起こした籠城事件に対するコメントがズラリと表示されている。


743:** * 名無しさんがお送りします

『マスコミへの復讐だってさ。バカだよね。そんなことしても何も変わらないのに』


744:*** 名無しさんがお送りします

『長谷川を釈放して救世主。どうせマスコミは香椎陸を危ないオタクとして扱うんだろうな』


745:*** 名無しさんがお送りします

『もしかしたら香椎陸はオタクの救世主になるかも。世界を救ってくれ』


746:*** 名無しさんがお送りします

『午後6時香椎陸がマスコミ関係者に対して、オタクだけの独立国を創ることを宣言する。それでバカなマスコミ関係者との戦争が始まる』


747:*** 名無しさんがお送りします

>>744 『危ないオタクね。これで香椎陸がオタクじゃなかったら、絶対に謝罪しないよね。バカなマスコミは』


748:*** 名無しさんがお送りします

>>746 『マジかよ!その独立国に移住すれば、生きやすい人生が待っている』

 

749:*** 名無しさんがお送りします

『私たちは同志ではない。私たちは兄弟である。熟成した罪。手は上に重なる』



コメントは一秒より早いスピードで掲示板サイトに投稿されていく。

「これ以上コメントが殺到すれば、サーバーがダウンしますよね。もしかしてそれが狙いなのかもしれませんよ」

 掲示板に書き込まれたコメントに一通り目を通したメアリーが呟くと板利明は首を横に振る。

「それはない。何のメリットもない。この事件はサイバーテロではない。ただのネット市民による反応だろう」

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