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救世主  作者: 山本正純
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これはフィクションです。実際の事件、人物、団体などは関係ありません。


『速報です。昨日午前7時頃東都西公園で発生した遺体遺棄事件について、警視庁は犯人として櫟井連容疑者と長谷川真容疑者を逮捕したと発表しました。警視庁の発表によりますと、櫟井連容疑者と長谷川真容疑者は、東都刑務所を出所した岡野友則さんの遺体を遺棄した罪に問われています。長谷川容疑者は10年前女子小学生を誘拐した監禁罪で刑務所に服役していました。また岡野さんを殺害した日向沙織さんを警視庁は指名手配すると発表しました』


 ニュースは全く関係ない10年前の誘拐事件を振り返る映像を放送する。テレビから流れてくるニュースを聞きながら、黒い影はコーヒーを飲んでいる。

 黒い影がテレビ画面を睨みつける。その後で影はスマホである人物にメールを送信した。

『やはりこの世界には救世主が必要。そう思わないか。天理さん』

 

 2月10日。日曜日。午前9時59分。秋葉原を一台の郵便車が走っていた。日曜日ということもあってか、街には多くの買い物客が集まっている。

 その中に一つの行列が存在する。行列は100メートル以上まで伸びている。

行列の先にはメイド喫茶。開店時間は午前10時。その時間に合わせたかのように、走行中の郵便車は突然爆発を起こす。郵便車は爆発によりスリップし、赤信号で停車している自動車に突っ込む。

複数の自動車に衝突した郵便車が停まると、再び爆発が起きる。爆破された郵便車からは黒煙が昇っている。この爆発の衝撃はメイド喫茶の行列に並んでいた人々も受けた。


 午前10時20分。合田たちはこの爆破事件の現場に臨場した。

「被害状況は」

「死者13名。重軽傷者200名です。爆発したのは郵便車。目撃者の証言によると、午前10時に郵便車が爆発して、スリップを起こし、赤信号で停車していた自動車に突っ込んだ。それから1分後に再び爆発が起こったそうです」

 北条が現場の状況を伝えると、大野は手を挙げ、北条に質問する。

「爆発物は郵便車に仕掛けられていたということですか」

「詳しく調べなければ分かりませんが、おそらく爆発物は郵便車の荷物に紛れ込ませてあったのではないかと思われます。爆発物の種類なども不明です」

「犯人の目的は何だ。爆弾テロか。郵便車の運転手への怨恨か」

 神津が合田に聞くと、合田は首を傾げる。

「まだ分からない。ただ分かるのは、この事件は大規模な捜査本部が設置されるような大事件に発展する可能性が高いということだ」

 この合田の見解は正しかった。秋葉原で発生した郵便車爆破事件。この事件はこれから起こる劇場型犯罪の始まりに過ぎなかった。


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