夫婦の馴れ初め
私と結城さんは、所謂仮面夫婦というやつである。
表面上、対外的にはそこそこ仲のよい夫婦というやつに見えているのだろうか?微妙かな・・・・。
二人とも働いていて、近隣の住民と顔を合わせるのなんて朝のゴミ出しとスーパーの買い物くらい。
結城さんなどは帰宅が夜11時を超えない日の方が少ないくらいの人間である。
子供でもいれば話は別かもしれないが作る気もない。
子供が嫌いという訳ではないが、結局自分の時間が一番と思ってしまい子供に取られる時間を惜しく感じてしまう。
そうでなければ、結城さんと結婚する事もなかっただろうし。
私はオタクであり、アニメや漫画を読むのは勿論、自分で小説を書いたりもしている。
職でなくあくまで趣味の範囲だが。
一般事務職で自分の食いぶちを稼ぎつつ、趣味に没頭出来るのが幸せ。
そうは思っていても、やはり世間体なんてものはあって。
お見合いをしている内に出会ったのが結城さんである。
彼は根っからのワーカホリックであるらしく仕事一番仕事仕事仕事仕事仕事仕事な人間で、同じ回りに口煩くされて渋々お見合いをしていた口だ。
そうやっていやいやお見合いに来ていたことを見破った(というよりまんま顔に出ていた)私は、彼に話を持ち掛けた。
それがこの互いに必要以上干渉しない結婚生活である。
持ち掛けたその日の内に結婚が決まったのはどれだけ愛がないのやらという感じだが、その日の内にポンと家を買った結城さんには驚いた。
仕事ばかりしているせいでお金は有り余っているそうだ。
何なら生活費も出すとは言っていたがそこは丁重にお断りした。
住居費こそ払っていないものの食費光熱費なんかは互いに折半。
まぁ、養われているというより対等だと主張したい私の自己満足でしかないが。
そんなこんなで、私と結城さんとの生活は何の代わり映えもなく過ぎていくのである。