7 ちょっとエッチなクイズ(1)
今は夜の10時。ガールズバーでお客さんの相手をしている。するとママさんから2番の席に行くように指示された。行くと何とお客さんは桐山さんだった。正直言って嬉しいのだが、桐山さんが開口一番言ったことがちょっと悲しかった。
「さっきお店に来てすぐに沙耶香さんを指名したんだけど、彼女の電車が遅れているということなので」
「それは残念だったわね。もうすぐ来るんじゃない?私なんかでガッカリした?」
「そんなことないよ。桐子ちゃんだったよね?」
「えっ、私の名前覚えていてくださったの?うれしい!」
「『私なんか』なんて言い方しないでよ。沙耶香さんとは長いつき合いなんだけど、桐子ちゃんも美人だし、話していて楽しいよ。本当だよ」
「でもどうして彼女は沙耶香『さん』て呼ぶのに私は桐子『ちゃん』なんですか?そこで差をつけてるってわけですね?」
「ごめん、ごめん。何となく無意識のうちにそう呼んでしまっただけさ。ところでクイズって好き?」
「好き好き。この前の食べ物クイズ、とっても楽しかったわ」
「じゃ、今夜もクイズ出すね。そうだな、今回はちょっとエッチなクイズにしようかな」
「えーっ、紳士中の紳士の桐山さんがエッチなクイズって違和感あるわ」
「君のような若い女の子ってさ、下品な話は嫌いだけど、ちょっとエッチな話ならむしろ好きだよね。分かってるんだから」
「えーっ、そうかなあ」
「嫌ならやめとくけど」
「あーっ、本当にちょっとだけエッチなの?」
「だと思うけど」
「ならいいわよ。やるからにはきっと正解してみせるわ」
「かなり前、私が大学生の頃のことなんだけど、ほら、大学祭ってよく歌手とかアイドルとか呼ぶでしょ。ある年にうちの大学ではかなり有名な落語家を呼んだんだよね。
うーんと、確か6代目三遊亭圓生だったと思うんだけど、彼がが大学で一番大きな教室で落語をやったんだ。うーんと、題目も話の筋も忘れちゃったんだけど、彼が噺の流れの中で、男性の大事なところをある野菜にたとえたんだ。
それは何でしょう、というクイズ」
「えっ、男性の大事なところって、やだー」
「さあ、当てて。さっき張り切ってたじゃない」
「うーんと、人参」
「ぶー」
「胡瓜」
「ぶー」
「なす」
「ぶー」
「ごぼう」
「全然違うんだけど。ただこのクイズは、桐子ちゃんのような若い女の子には難しいと思うよ」
「降参だわ。答えを教えて」
「松茸さ。椎茸でもいいけどね」
「えっ、松茸?そういう形してるの?納得いかないわ」
「いつか桐子ちやんが結婚したらじっくり観察すればいいじゃん」
「やだー。桐山さんがこんなエッチな話をするなんて」
「このくらいのエッチ度は大丈夫でしょ?中学生や高校生じゃないんだから」
「まあね。このくらいはね」
そこでママさんが来て耳打ちした。電車で遅れていた沙耶香さんが来たので交代せよとのことだった。今晩は桐山さんとはこれっきりになってしまった。エッチなクイズではあったけどとっても楽しかった。もっともっと話がしたかったのに。でも仕方がない。




