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16 医療クイズ(1)

「今夜は沙耶香さんがいなくて残念ね」

「まあね。ところで桐子ちゃんてクイズが好きだったよね」


「あら、そうだったかしら。クイズとか出してもらったかしら?」

「えっ、覚えてないの?あんなに喜んでたのに。まあ、いいや。今夜は医療クイズっていうのはどう?」


「えーっ、うん、まあ、お客さんのお話を聞くのが仕事なんで、何でも聞きますよ」

「なんか今夜の桐子ちゃんいつもと違うなあ。何かあった?それともどこか体の調子が悪いの?」

桐子はかなり無理している不自然な自分自身を感じながら

「いえ、いつもと同じですよ。私、こういう人ですから」


「なんか変だけどな、まあいいや」

「私が小学校6年生の時のことなんだけど」

「えっ、それって医療クイズなんですか」


「そうだよ。続けるね。慢性盲腸炎になっちゃって、手術を受けたんだ。まあ、手術と言っても盲腸の手術って他の手術に比べて軽い手術らしいけどね。


で、手術はもちろん成功して、あっ、だから今ここにいるわけだけど、1週間ほど入院したんだよね。


そんなある日、交通事故に遭ったという若い男性が担ぎ込まれてきて、たまたま空いていた私の隣のベッドに寝かされたんだ」

「えっ、それって怪我とかして血だらけってこと?」


「いや、ちょっと見たところでは男性は意識がないのか眠っているかで、別に血とかは見えなかったからよかったんだけど、隣の患者さんの話だと、これから手術を受けるらしいということだったんだ」


「へえー、出血とかしてなくてよかったね。小学生にはきついものね。それから?」


「すると急に看護婦さんたちがきてほら、ちょうど学校の保健室にあるみたいな、視界を遮るための仕切りのようなものを3つくらい運んできて、瞬く間にその男の患者さんのベッドを囲んで見えない状態になってしまったんだ。そして若い看護婦さんが3人ほどその中に入ったんだよね」


「これから手術室に行くのにどうして仕切りで囲んだのかな?あっ、そうだ、準備として体を拭いたりしてきれいにするってことかな?」


「うん。私もそう思ったんだけど、5分、10分、15分と時間が経っても若い看護婦さんたちが出てこないんだよね。


その時の私ってまだ小学生のお坊ちゃんだし、暇だし、何しろすぐ隣のベッドでのことだから、気になってよーく見たら、仕切りと仕切りの間にほんの少しの隙間があったんで、そちらに身を乗り出して覗いてみたんだ」


「それで?何やってたの?体を拭くにしては時間がかかりすぎる感じだしねえ」

「そこで行われていることを見て、小学生の私はびっくり仰天したんだ。驚いたを通り越して、衝撃を受けたんだ。


そこでクイズなんだけど、一体仕切りというかつい立ての中では何が行われてたでしょう?」


「えーっ、全然わかんない。着替えとか?」

「違うし、そんなに時間かからないんじゃない?」


「ヒントは?」

「手術の準備だということさ」


「えっ、体を拭いてたんじゃないんでしょ。じゃ、分からない。降参します。何が行われていたの?」

「すごいヒント出してあげるね。看護婦さんの手にはカミソリが握られていたんだ」


「髭を剃っていたっていうこと?」

「いい線行ってるかも」


「えっ、髭剃りが答えに近いんだ。うーん。もうひとつヒントちょうだい」

「髭剃りって、体のどこの部分?」


「もちろん顔でしょ。女の子は髭生えないからやらないけどね」

「体の違う部分と考えると?」

「あっ、脇毛?」

「ブーっ」


「あっ、その男の人、毛深かったってことか。じゃあ分かった。胸毛を剃っていたのね。正解でしょ?」

「ブーっ」

「うっそー。他に無いでしょ」

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