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いざ、初陣




 いよいよ迎えた第三戦。心配事は色々とあるが、もうやるしかない。



「いいか琥珀。」



 いざ持ち場に着こうとすると、茜が声をかけてくる。振り向くといつも通りの顔だったけど、いつもと少し違って真面目なことを言う。



「あんまり凝ったことをやろうだなんて考えなくていいからな。それにもし何かやらかしても気にせず続けるんだ。それからーーーー。」


「わかってるよ。普段の俺でいいんだろ?」


「……あぁ!まー、強いて言うなら一応舞台の上だから、いつも以上に大きな声で心無いツッコミくれていいんだぜ?」


「え、俺、お前にいつもそんな酷いこと言ってたっけ?」


「無自覚なの……!?」



 泣き崩れる(振りをする)茜を横目に俺は下手に着く。力無さげにとぼとぼと歩き、茜は上手へと着いた。


 言うべきセリフやキーワードは一通り頭に入れた、あとは緊張で内容が吹っ飛ばないことを祈るのみだ。


 さっきまでいた視聴覚室の後ろ半分、観客席を見渡す。

 

 あの時と比べたら全然少ないたったの5人。それでも指先が冷えて徐々に感覚はなくなっていく。

 

 一体いつまで過去の失敗を引きずっているのかと思われてそうだが、俺には人の前に立つことが嫌になったある出来事が忘れられないのだ。今でこそ過去のことだと割り切れてはいるものの、たまに夢でも見るくらいだ。



(……けど、今思い出すべきことじゃない。)


 

 ここは乗り越えるべき壁だと思う。あの時引き受けてしまった以上、どうしてもぶつかることにはなると覚悟はしていたことだ。


 今の俺にできることで、茜と全力で向き合う。それだけだ。



「……藤倉くん?聞こえてる?」


「……あ、あぁ、ごめん。」



 黒木が心配そうな目で見ていた。気付かぬうちに呼ばれていたらしい。


 俺は気持ちを落ち着かせるため、もう一度ゆっくり息を吐いた。



「準備はいいかしら?じゃあ始めるわよ、3、2……」



 黒木が示すキューの合図で、俺と茜はステージ中央に向かって走り出した。






〜Switching:氷室瑠璃〜



 茜くんと琥珀くん、いきなりお互い走り出したと思ったらステージ中央でぶつかった。


 きっかけがきっかけなだけに全くどちらの状況もわからない。くるみは相変わらずにこにこと楽しそうな様子で、糸音はこれからカオスな状況になるのではないかと訝しんでいるみたいだった。



「……いったた、だ、大丈夫っすか?」


「ほ、ほははほふぉ、ふぃへはははははふは!」


「何言ってるかわかんないんでせめて口にくわえてるものどうにかしてもらえます!?」



 ぶつかってしまった茜くんに対して心配そうな琥珀くんと、その琥珀くんに対して怒りをぶつけている茜くん。琥珀くんはいわゆる年頃の好青年ぽくて、茜くんは対照的に喧嘩っ早いと言うか、敵意を剥き出し。そして何かを口にくわているようだった。


 琥珀くんが訳の分からないと言いたげな顔をしていると、やがて茜くんはもぐもぐと口を動かしながら腰元に手をかける。


 茜くんは腰元からまるで刀を抜く仕草があった。それに対して琥珀くんは恐れ慄き後ろへとジリジリと下がり、やがて尻餅をつくような形で座り込んでしまう。



「え、ちょ、ちょっと刃物!?なんでそんなもの持ってるんだよ!」


「ぶえいおおがぁ、かたあのさひにしえくえう!」


「えーと、なんて?」


「むごむふぉ……、ゔゔんっ、刀の錆にしてくれる!」



 ええ?と呆れ顔の琥珀くん。おそらく彼は刀の切先を向けられているらしかった。そんな刀の切先を向けている茜くんは喋り方と言い、振る舞いといい“侍”もしくは“武士”のよう。茜くんは最初何かを口にくわえながら走り琥珀くんとぶつかっていたけれど、もはや漫画でしか見ることのないベタな展開だとすれば答えは一つ、“食パン”だと僕は推測する。



(……そしてこれは、おそらく茜くんが考えた構想だね。)



 これまでワンパターンだった入りに、変化をもたらしたかったのだろう。茜くんはムードメーカーだしトリックスターなところもある。普段から読めない茜くんとよく懲りずに一緒にいられるものだと、琥珀くんのことをますます不思議に思う。


 僕が分析するに、表から見れば彼は面倒ごとは避けて通りたいタイプのはず。それなのに茜くんと一緒にいて何かしらの問題に巻き込まれているのをよく見るし、なんだかんだで今回のように手を貸している。だから本当は、困っている人を見過ごせない、優しい人なんだなと思う。


 いい感じに互いを補い合っているいいコンビだ。それに琥珀くんもいい意味でいつも通り。声量も小さくなってしまうかなと思ったが、ちょうどいい大きさだ。思ったよりいいかもしれない。


 そう考えている間にも展開は進む。琥珀くんはチラリと左腕を確認した後、慌てて地面に散らばっていたものを拾う。



「えっとぉ、学校遅れそうなので失礼します!」


「待て!逃さんぞーーーー!」


「ただでさえ遅延で遅れてるんで!」



 口実をつけて急ぎその場を立ち去ろうとしたもののものの、当然の如く茜くんは琥珀くんを追い回す。



「意外とやるわね、遠山くんも、藤倉くんも。」



 隣で糸音がそう呟く。くるみもうんうんと頷き、先輩方も興味深そうな表情で見守っている。


 だがここまで見てきたなかで茜くんのお題は大体予想を立てられるが、肝心な琥珀くんのお題が見えてこない。このままだとただの通りすがりの好青年、まあ強いて言うなら“遅延で遅れる”や“学校”と言う単語から予測は“学生”で終わってしまう。学生といえど、その幅は広い。


 僕は琥珀くんの様子をみやる。琥珀くんは相変わらず緊張した面持ちだった。おそらくここから何か仕掛けなきゃいけないはずだ。


 躊躇っていても何も始まらない。


 固唾を飲んで、僕はこの先の展開を見守る。






〜Switching:藤倉琥珀〜



(……まずい。非常にまずい。)


 

 俺は今、茜に追い回されながら、大いに焦っている。


 茜がギリギリに提案してきたこと。それは2人同時に中央に向かって走ることで"曲がり角で衝突した"というきっかけを作ることだった。高校生と食パン、それらが想像されるには十分な起点を作ることができたと思う。茜の思惑通りにことが運んだわけだ。


 そしてそれからの流れで俺は緊張しつつも、なんとか“遅延”などの単語をだし、“電車が遅延していて学校に遅れる”という高校生あるあるから“高校生”という答えを引き出そうとした。


 けれど願いも虚しく観客はまだピンときていないようだった。氷室も気持ち心配そうな目でこちらをみている気がする。



(ダメだ、みられてるって意識が……。)



 俺の一挙手一投足に、注目が集まる。焦りもあるし、自分から言葉を発するのが普通に怖い。どうにかして俺のあと一個残っているお題を伝えなければならないのに、どんどん動きが固くなっていく気がする。


 このままではらちが開かない。ここからの一手をとにかく考えなくては。そう必死に頭を回転させていると後ろから茜に追いつかれ、急にジャージの襟元を引っ張られる。


 思わず転びそうになり、なんとか堪える。こんな時に何を、と思い慌てて振り向くとそこには真剣な眼差しの茜がいた。



「ーーーーー!」



 目が合った時間はわずか0.2秒ほど、喋る余裕はなかった。


 でも目を合わせた瞬間茜はこう告げた気がした。



(これから仕掛ける、ついてこいよ!)



 そう言われてしまった気がしては、俺はついていくしかない。


 ならお言葉に甘える、いや、茜の考えに乗るしかないのだ。今はまだ、この極限の緊張状態で自分で起点など作る余裕などない。まずは俺にできる範囲のことをしなければ。


 俺は茜の言葉を待つ。



「おぬし、何か落としていったぞ?」






〜Switching:氷室瑠璃〜



 物語が動いた。


 

「おぬし、何か落としていったぞ?」



 そう言って何かを差し出す茜くん。けれども琥珀くんはその何かに見覚えがないようだった。



「い、いや、俺のじゃないですけど。」


「何をいう、おぬしのカバンから出てきたのじゃ。間違いない。」


「だから、こんなもの知らないって。」



 そこで一瞬琥珀くんの目が大きく開かれる。



「おぬしもこんなぷりてぃーなものを持っておるんじゃなぁ、人間、見かけによらぬものよの。」


「はあ?」



 どうやら茜くんがこの先の展開のため仕掛け始めたことに、琥珀くんは気づいたらしい。


 琥珀くんは怪訝な顔をしながらもう一度、“侍”茜くんの手元を覗き込む。



「なんだこれ?色々ボタンがついてる、腕、時計?」


「うでどけい、か、どうかはわからんが……それがし、これをみたことがあるやもしれんぞ?」


「みたことあるのかよ!」


「確か使い方は……。」



 そこでごにょごにょと琥珀くんの耳に囁く茜くん。途端に琥珀くんの表情は曇り始め、ものすごく嫌そうな表情に変わっていった。



「え、えぇ、それ、絶対やってみなきゃダメ?」



 狼狽える琥珀くん、それに対してジリジリと刀を手に詰めよる侍。



「無論じゃ!れっつとらい!」


「横文字使うなよ、わかりづらい。」



 はあ、とため息をつくと琥珀くんは覚悟を決めたのか、センターポジションに立つ。後ろに控えている茜くんはなぜか目をキラキラと輝かせていた。


 琥珀くんはその腕時計のようなものをつけるそぶりでをした後、その腕を天に掲げて叫ぶ。



「ミラージュチェンジ!ミスティック!」



 僕は呆気に取られる。視界の隅では体を丸めて必死に笑いを堪える有栖川先輩と、もしかして、と言った様子で首を傾げつつ、見守っている桑原先輩がいた。


 くるみは「え〜!探ミレじゃ〜ん!」と嬉しそうで、糸音は少し、引き気味だ。

 

 今、僕の前では目を疑う光景が繰り広げられている。いきなりミレミラに変身するような呪文を唱え始めて、一体どういうことなのだろうか。


 琥珀くんはくるりと一周ターンすると、本家さながらの正面をビシッと指さすポーズをビシッと決める。



「どんな謎も淑女的に解決!ミレディ・ミスティック!」


「おぉ〜!」



 茜くんが拍手をしながら琥珀くんの周りを興味深そうにぐるぐると回る。一方琥珀くんは我に帰った。そしておそらく自分の着ている服についている装飾を持ち上げたり動いたりして動揺し始める。



「な、な、な、なんだこれは!?」


「ほほう、おぬしなかなか似合っとるなぁ。」


「言われても嬉しくない!男なのにこんなふりふりな衣装、嫌に決まってんだろ!」


「いーや、今はおのこの戦士もいると聞くぞ?」


「だとしてもそれとは話が別だ!!」



 どうにかして戻りたくて文句を言い続ける琥珀くんと、その格好を見て感心する茜くん。ここまでわかりやすくやってもらえたら答えは明白だ。おそらく幼い女の子の国民的な憧れの戦士、ミレミラに変身してしまったのだろう。しかも性別は変わらず男で嫌がっているし、変身する予定などなかったところを見ると予測は立てられる。



(僕的には“パンをくわえて走る侍”と“突然ミレミラに変身してしまった男子学生”、ってところかな。)



 周りの様子を見ると各々予測がついているようだった。相変わらず言い合っている琥珀くんと茜くんだけど両者とも楽しそうだ。それは日常生活とさして変わらないものを感じて微笑ましく思う。そこで僕はふと気がついた。



(琥珀くんが普段と変わらないってことは、高校生なのかもね。)



「はい!そこまで!」



 糸音の声が響き、そんな奇妙な空間は終わりを告げた。






〜Switching:藤倉琥珀〜



「はい!そこまで!」



 黒木の言葉が視聴覚室に響く。俺と茜が作り出した奇妙な物語はそこで終わった。


 俺は気が張り詰めていたのもあって、終わった瞬間その場に座り込んでしまう。



「お、おい琥珀、大丈夫か!?」


「大丈夫……、ちょっと疲れただけだから。」



 実際はちょっとどころではない。人前で、しかも自分でありながら自分ではない、普通じゃ発生し得ない環境を作り出していたのだから、茜のサポートがあったとはいえ精神的疲労がどっときた。


 けれど、自分でありながら自分ではなかったあの不思議な感覚、悪くはなかった。

 

 それにたまに笑ってくれたり、いい反応をくれたりしたけれど、それらも嬉しく感じる。知っている人たちだから、というのもあるけれど、こうして自分が考えて行動したことに対して、応えてくれることにここまで手応えを感じられるとは思っても見なかった。


 まずは俺の良き相棒に感想を聞いてみたい。そう思って見渡すと、茜は心配そうな様子で椅子を持ってきてくれたので遠慮なく座らせてもらう。


 その間他の人たちはシンキングタイムに入っているようだった。



「どうだった、俺?どこか変だったところとかーーーー。」


「よかった、よかったぞ琥珀!」



 そう問いかけると、茜に間髪入れずに目を輝かせてそう答えた。ものすごい勢いで迫ってきたので思わず後ろへのけぞる俺。



「最初緊張しまくっててどうなることかと思ったけど、めちゃめちゃいい感じだった!」


「は、はあ、そりゃあどうも。」


「ちゃんとできてたぞ!オレが教えたミレミラの変身セリフとかしっかり実演してくれたし、逆にあそこのポーズまでしっかりやってくれるだなんて思ってなかったから感動しちゃったぜ〜。」



 その言葉に俺はん?と違和感を覚える。



「待て茜。もしかしてあそこは、マジで感動してたってこと?」


「そりゃあ、もちろん!」


「妙にリアルだなと思ってたけどそういうことか……。」



 さすが琥珀だぜ〜、と照れる茜。変身後の茜の反応は流石にわかりやすすぎて、若干俺は引いていた覚えがある。


 でもうまく意図が伝われば、こうやって相手に影響を与えることもできる。それもまた面白いと思った


 そこで俺はふとエチュードが始まった時に茜に向かって吐いた言葉を思い出す。茜だったから俺のことをよく理解してくれた上で動いてくれたし、助けてくれた。それなのに、俺は茜に酷いことを言った気がする。


 改めて俺は茜と向き合う。



「一緒にやるなんて死んでも嫌だ、なんて言ってごめん。」


「ん?」


 

 俺がそういうと、茜はキョトンとした顔をする。



「お前がいてくれたから、俺はなんとか乗り越えられた。だから……。」


「らしくないこと言うなよー。琥珀がオレに対して遠慮がないなんて今に始まったことじゃないだろ?」


「でも、あまりにも酷いこと言ったかな、と。」


「気にすんなって。それに、今の状況で言うなら、ごめんじゃなくてありがとうがいいな〜。」


「……かたじけない。」


「だー!侍はもう終わったんだよー!」



 相変わらず素直じゃないなぁ、と茜はぼやきつつも俺に始まる前のようにグーを差し出した。



「とにかく、いい初陣だったな!」


「…………あぁ!」



 満面の笑みで俺もグーを差し出して突き合わせた。









「いや〜、にしても惜しかったなぁ、琥珀。」


「……そうだな。」



 本日の部活も終わり、俺たちは帰途についていた。


 あの後答え合わせをしてみたものの、一番近い答えは、氷室の“パンをくわえて走る侍”と“突然ミレミラに変身してしまった男子学生”だった。やっぱり高校生という点は伝わりにくかったらしい。


 氷室の中では「琥珀くんがいつもと大差ないから高校生かな。」という予想もあったそうだが、確信が持てなかったみたいだった。そこは少し悔しいポイントだ。


 俺と茜の少し前を歩く氷室は、くるっと首だけ俺たちの方を振り返って控えめな声量でいう。



「単に男子高校生というのは表現が難しいね。僕がやるとしたら、いくつか高校生らしい要素を入れたりするかな。例えば、バイトをしているとか、文系理系の話とか。中学生や大学生にはないそれなりの要素を盛り込めたらよかったかもね。」


「わーお、さすがは氷室大先生。」



 茜がそう感心している。俺も自分にはなかった発想でかなり勉強になった。まだまだ知らなきゃいけないことは多そうだ。



「正解を当てるのも、当ててもらうのも難しいんだな。」



 そう俺が少し悔しさを滲ませながらいうと隣にいた茜は「うーん」と首を傾げた。珍しく少し難しい顔をしている。



「……どうした?」


「それはそうなんだけど、少し違うような……?」



 茜が頭を悩ませ始めると、氷室が代わりに口を開く。



「大前提に、エチュードはお題を当てることも、当ててもらうことも目的じゃない。」


「はあ、それは理解してるつもりだけど……。」


「琥珀くんはわかってるとは思うけど、僕としては本質は正解を当てることじゃなくて、表現力と考察力を鍛えることにあると思ってるんだ。回答する側にはさまざまな知識と情報が、演じる側には演技力が必要とされる。当てられなければ両者とも自分に何が足りなかったのか考えなきゃいけない。琥珀くんは今、スタートの時点でそのうちの1つをすでに十分なほどに備えてるからこそ、心配なことがあるんだ。」



 氷室は橋の中心に差し掛かったところで立ち止まると完全にこちらを振り返る。俺たちも氷室に合わせて立ち止まった。そして氷室は相変わらずの澄んだ瞳でこちらを見て言う。



「常に正しい答えを目指すと、間違えた時にダメージがくる。だから琥珀くんには、正誤じゃない、その先を目指して欲しいんだ。」


「……えーと、それはつまり?」



 氷室の言ってることは分かりそうでわからない。俺が理解しようとしていると、茜が口を開く。



「つまり氷室は、失敗しても恐れずに次に繋げろって言いたいんだよな!」



 茜の言葉に、氷室はコクっと頷いた。



「少し難しい言い方をしたけどそうだね。この先、できないこととか壁にぶつかる時が来ると思う。その時に初めて失敗を経験すると、たった少しの失敗でも次に進むことを恐れてしまうことがあるんだ、きっと琥珀くんは真面目だからその傾向はあると思う。」


「それは、そうだな……。」



 俺にとっては心当たりがありすぎる。確かに人前に立つのを恐れ始めたのも、今となっては失敗するのを恐れていたからだと気づいてしまった。



「だから、失敗を恐れないで。君が何をやっても、その先を見据える力があれば乗り越えられるよ。」



 まるで自身の体験談を語るようにそう言う氷室は、沈みかけている夕陽も相まって少し眩しく見えた。


 俺が何も言葉を発せないでいる中、氷室は歩き出すも何か思い出したように再び立ち止まる。そしてさっきとは少し変わって、いたずらっ子のような目をしてこう言った。



「名探偵ミレミラな琥珀くん、僕は可愛かったと思うよ。」




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