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エピローグ
「……白銀の聖女と竜の騎士ですね。有名なお話です」
フードの男が語ったのは、この国では有名な童話だった。しかし、その話のことなら修道女はよく知っていた。五百年も昔にあったという神聖フレディア王国、最後の聖女と竜の騎士の悲恋の物語だ。
「そうだな。有名な話だ」
男が修道女の言葉に頷いて、ひとつ息を吐くとフードを取った。
黒い髪が現れる。そして、金の眼で修道女を見た。修道女は空を切り取ったような色をした瞳をまばたかせる。
「俺はユーリ。お前は?」
「わたし、は」
修道女が声を震わせる。
修道女の背後からステンドグラス越しに日が差し込む。彼女の美しい白銀の髪が輝いた。