*Epilogue*
さらに5年が経った。
有理香も大学を卒業し、就職して社会人となった。
きららの教師生活も長くなり、中堅として実力もついてきた。
さて、今日は新年度初日だ。
「今年このクラスを担任する、機織きららと申します。どうぞよろしく、お願いいたしますね。」
考えた末に、きららと有理香は法律的な繋がりを強く持つために、養子縁組を選んだ。
天涯孤独であるきららに何かあったとき、法律的効力を持たないパートナーシップ制度では、有理香はきららの力になれないからだ。
優海を母、きららを子として、養子縁組が結ばれた。
これにより、優海はきららの法律上の母。
きららは優海の法律上の子で有理香の法律上の姉。
有理香はきららの法律上の妹となった。
それはもしもの未来で、同性婚が法律的に認められたとしても、二度ときららと有理香は結婚できないという事も決定づけた。
しかし、きららと有理香はそれでも良いのだ。
きららと有理香が恋人同士でもあると同時に、きららは機織家の新しい家族として迎えられたのだから。
何もおかしくは無いだろう。
今の法律上で結婚した男女の夫婦だって、配偶者の母親を「おかあさん」と呼ぶのだから。
きららと有理香、そして優海は家族なのだから。