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メイドさんな同級生  作者: とう助
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第5話 ついに

「あー、やっと大体終わったー」


部屋の片づけを始めてから早数時間。時刻はもうすでに17時を回り、夕方に差し掛かっていた。一日かけて行ったため、ほとんど終わらせることが出来たのだが、正直西園さんがいなかったら終わってなかったかもしれない。それほど西園さんは効率よく片づけを進めてくれた。


「お疲れ~。もうこんな時間だね」


18時と言ったら暗くなってしまうこの季節。片づけはほとんど終わっているため、もうそろそろ西園さんには帰ってもらうとしよう。暗い中帰すなんてそんなことは出来ない。まぁ家まで送っていけばいい話なんだろうど、誰かに見られても困るし、二人で家以外での行動はできるだけしたくない。


「ねぇ一之瀬くん、ご飯どうするの?ないならどっかに食べに行こうよ。材料もないし」


...あれ、西園さん俺の思考読んでる?あんま二人で行動したくないなと思った瞬間にこれだよ?いや、逆にまったく読めていないからこの提案をしてきたのかもしれない。


「...いや、もし二人で居るとこ誰かに見られたらまずいですし...。今まで接点なかったから急にどうしたんだってなっちゃいますよ...?」


女性の提案を断ることがこんなにもやりづらいことだとは思いもしなかった。せっかく誘ってくれたのに、本当にごめんなさい...。


西園さんは少し考えるような仕草をしてからこう答えた。


「まぁ確かにそれもそうだね。春休み中だし誰かに会っちゃいそう」


「勝手に勘違いされても困りますしね。すみません、せっかくの提案だったのに...」


もし誰かに見つかって、俺と西園さんが付き合っているだのなんだのと噂をされてしまったら、西園さんに本当に申し訳ない。いやまぁ俺はね?俺は別に勘違いされてもいいっていうか、こんなかわいい子と付き合ってるなんて噂されたら、ちょっとは嬉しくなるけどね?でもそうなってしまったら西園さんに本当に申し訳ないし、噂される度に俺なんかが対等に付き合えるような人間じゃないと実感してしまいそうでつらい。


「...はっ。もしかして一之瀬くん、好きな人いる...!?」


「えっ」


一体どういう流れでそんな話になるのか...。なんていうか、女子高生ってやっぱり恋バナが好きなんでしょうか。あの西園さんが少し目を輝かせてるんですけど。


「あの、一体どうしてそんな話に...?」


「いやぁ、好きな人に見られたら困るってことなのかと思ってさ」


「あー...。いや全然そういうことじゃないっす。単純に西園さんに申し訳ないなと思って...」


「あ、そうなんだ?まぁ別にいいんだけどさぁ。分かった、とりあえず今日は帰るよ。明日から本格的に引っ越しの作業始めないとだし~」


そうか、もう引っ越しの作業か。こっちに来てもらう以上、俺も何か手伝わないとな...。


「じゃあ僕も手伝いますよ」


「いや、一之瀬くんはまだ私の部屋の片づけがあるでしょ~?」


そういわれて思い出す。俺の部屋は片づいたものの、もう一部屋、西園さんがこれから住むことになる部屋の片づけをしていなかったのだ。とはいえほぼ使ってなかった部屋だったし、あんまり散らかってはないんだけども。いらないもの捨てて、掃除するくらいで終わる程度だ。


「マジで綺麗にしておくんで楽しみにしておいてください」


「おっ、そのモチベが最後まで続くといいねぇ」


...きっと大丈夫だろう。





西園さんの帰宅後、改めて今日片づけた部屋を見る。まさか一日でここまで片づくとは。西園さん、恐るべし。


俺はベッドに横になる。明日は西園さんの部屋を片付けよう。数日後にはもう西園さんは引っ越してくるのだ。すごく時間が短く感じる。...まぁ実際に短いんだけど。勝手に手配を進めていた誰かさんのせいでめっちゃ早いんですけど。多少不安はあるものの、どこか楽しみにしている自分がいた。正直まだ実感が湧かない。ばれたら終わり。日々気をつけなければならないこの状況だけど、西園さんとなら一緒に住んでいけそうだと思った。





あれから数日が経った。部屋もめちゃくちゃきれいにしたし、なんならリビングとかも更にきれいにした。そして春休み終盤。ついに引っ越しの作業を終わらせた西園さんが、俺の家にやって来た。俺はリビングにいた西園さんにペットボトルの飲み物を渡す。


「お、ありがと~。やっと全部終わったよ~。この数日間大変だったな~」


「お疲れ様です」


引っ越しは一段落。まだ空いていない段ボールはあるものの、それは後々開けていくのだろう。飲み物を飲む西園さんがなんだか色っぽい。


「ふー。...じゃあ一之瀬くん、これからよろしくね」


「はい、こちらこそたくさん迷惑をかけると思いますけど、お願いします」


普通に会話は出来ていたはずだ。なのに西園さんの表情が優れない。なんか変なことを言っちゃった...?


「あ、あのぉ...」


「ねぇ一之瀬くん。私たち同居するわけだし、その敬語やめない?同い年じゃん~」


なるほど、そう来たか。西園さんは俺に対してタメ口だし、同い年だから敬語なんて使わなくてもいいのは分かる。でもそうはいかないのが俺なのよ。簡単に敬語ってやめられなくない?


「...あー、まぁ、そうですね。頑張ってみます...」


「て言ってるそばから敬語使ってるけど?」


「はっ」


やはり敬語は簡単には抜けない。俺は自分の話し方の特徴は分かっている。基本敬語だけどたまにタメ口も出る。これはきっと陰キャだから敬語で話しちゃうけど、内なる陽キャな俺がたまに出てきてしまっているのだろう。きっとそうだ。そうに違いない。


「今度敬語使ったら、使った分だけご飯がなくなると思ってね」


「うぇっ!ちょっ、重すぎませんか!?」


「また使ってるよ~?これで今日のご飯はなしだねぇ」


「あっ...!?」


「まぁ冗談だけどさぁ」なんて言いながら笑う西園さん。なんだ冗談か...。焦ったよ...。


「でも敬語はなくしてほしいなぁ。なんか距離感じない?」


いやそりゃまだまともに話すようになってから数日しか経ってないですもん。...ハッ、まさかこれが陽キャと陰キャの違い...!?陽キャ、恐るべし...。


「そのうち慣れたらなくしていきますよ...。急にはちょっと無理かも...」


「まぁ確かに一之瀬くんがタメ口で女子と話してるの想像できないかも~」


そう言いながら笑う西園さん。あれ、なんか俺のこと馬鹿にしてません??無自覚ですか?無自覚が一番たちが悪いんですよ??


...まぁでも一緒に住んでるのにずっと敬語はおかしいか。検討しておきます、西園さん。


「とりあえず今日は疲れたでしょうから、部屋に行くなり、自由にくつろいで下さい。ここももう西園さんの家でもあるので」


西園さんが気を使わないようにそんな言葉をかける。初日だからって何か特別なことをしないといけない訳ではない。そう思い、俺は自分の部屋に行こうとすると、すぐさま西園さんに呼び止められる。


「せっかくの初日なんだし、なんかしようよ~!」


...やっぱりこの人、俺の心を読んでる?

最後まで読んでくださった方、ありがとうございました~!西園さんの引っ越し祝いだと思って、ブックマークなどなどお願いいたします~!!

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