Ꮚ・ω・Ꮚメー(21:星石)
また新しい魔石が出てくるのかと思いましたが、少し違うようです。
前回もらった『関心』『歓心』の2つの魔石が勝手にアイテムボックスから浮かび上がったかと思うと、アークシャークとグレーターグリフォンが放った金色の光を吸い込みます。
色や形は変化しませんでしたが、それぞれに青と赤の燐光を放ち、『♓』『♌』という不思議な紋章が浮かび上がります。
その場では思い出せなかったのですが、魚座のシンボルと獅子座のシンボルだったようです。
星石♓『大いなる関心』
レアリティ:エピック
・このアイテムを持つ者はアークシャークから攻撃を受けない。この効果は売却・譲渡、アークシャークへの敵対行動をすると喪われる。
・このアイテムはゾディアック装備『ピスケス』の生産素材となる。
星石♌『大いなる歓心』
レアリティ:エピック
グレーターグリフォンの大きな歓心の証し
・このアイテムを持つ者はグレーターグリフォンから攻撃を受けない。
この効果は売却・譲渡、グレーターグリフォンへの敵対行動をすると喪われる。
・このアイテムはゾディアック装備『レオ』の生産素材となる。
魔石が星石にグレードアップし、 ゾディアック装備とやらの素材にできるようになったようです。
バロメッツにもらった『敬意』と『信頼』はセットで従魔化とパーマネント化ができましたが、こちらはそういった効果はないようです。
背脂研究所のガーディアンという役割を与えられているので、引き抜きなどはできないようになっているのかも知れません。
「パンごときでエピック素材を出すとは。存外にちょろいところがあるな」
背脂所長がそんなことをいいながら、追加購入したらしいベーコンフロマージュを食いちぎっていました。
メェ (三本目だぞ)
メエェ(なんてやつだ)
メメェ(暴食の悪魔か)
二本目だと思いましたが、一本食べるところを見落としていたようです。
とりあえず『大いなる歓心』『大いなる関心』の二つの星石をアイテムボックスに片付けます。
窓からは離れてくれましたが、結局近くに陣取っている二匹の視線を感じながら採血を受けました。
「分析を」
テケ。
三本の試験管に入った血液を受け取ったのは、背脂先生の机に載った直径三十センチほどのスライムです。
そのまま試験管を透明の体に収めたかと思うと、
テケテケ!
独特の鳴き声と同時に、体の上に分析結果の数値が並んだウィンドウを浮かび上がらせました。
「スライムで分析を?」
「錬金スキルで作ったスライム式スーパーコンピューターだ。スライムの体組織を半導体代わりにして情報処理を行う。こういうものを作れるからここで研究をしている」
電源は要らないようですが、代わりにテーブルにあったアーモンド入りチョコレートを食べさせています。
背脂所長ご自身のほうが沢山口の中に放り込んでいますが。
メー (どこまでカロリーを突っ込み続ける)
バロメッツ達が戦慄の声を上げていました。
「アンデッド因子反応は陰性だ。経過観察は必要だが、薬液リングは解除しても問題ないだろう。解除コード入力を」
テケ。
テーブルの上を滑らかに動いたスライムコンピューター、略してスラコンは細長い触手をケーブルのように変形させて、私の首の薬液リングに触れました。
「そのまま動くな」
息を止めて待つこと数秒。
『解除コード入力を確認、ロックを解除します』
首元から電子音声が聞こえて、薬液リングは小さな機械音を立てて外れました。
テケ。
そのままリングはスラコンに回収され、背脂先生のデスクの上に置かれます。
「リングはこちらで廃棄して構わんな?」
「はい」
「経過観察のため、来週の同じ時間にここに来るように。あと三回検査をして問題がなければ無罪放免だ。今日はもう帰っていい」
「はい、ありがとうございます」
デスクのほうに視線を戻した背脂所長に頭を下げ、研究室をあとにしました。
薬液リングが外され、軽くなった首元を撫でてみます。
メー? (違和感でも?)
「違和感というより、現実感がなくて」
アンデッド因子感染症が快癒し、リングが取れたのは良いのですが、実感が追いつきません。
都合のいい夢でも見ていて、本当はどこかで死にかけている。
あるいはアンデッドに成り果てて彷徨っている。
そんな状況のほうがリアリティがありそうだと思いながら、東京大迷宮での日々を過ごしています。
メェ (気持ちはわかる気もする)
メエェ (君の能力は全体に理不尽だからな)
メメェ (料理と言うより現実改変や時空間や因果律操作に近い)
理不尽扱いされてしまいましたが、否定する材料は見つかりませんでした。




