Ꮚ・ω・Ꮚメー(13:作戦を開始する!)
スキルスフィアも開き、ソルジャーのスキル島から罠設置スキルを1レベル取得します。
電磁トラップが三十万PP
手投げ弾があわせて五万PP
無線機セットが十万PP
罠設置スキルが一万PP
メエェ(四十六万PP一気に溶かしたな)
メメェ(豪快な金遣いだ)
「一旦引き上げて餌を用意します。どちらか残って監視をお願いできますか?」
メエェ(引き受けよう)
前脚を上げた白いバロメッツに無線機を渡し『チキンフォレスト』を脱出した私は、黒いバロメッツとレンタルキッチンに入り、新しいプチフランスを六つ焼きました。
今回はエピックパンは発生せず、全てレアパンでした。
プチフランスでも大丈夫そうですが、サメを呼び寄せるには肉があったほうがいいでしょう。
アイテムボックスに入れていたワイルドチキンの肉を解体して使うことにします。
解体には総合調理スキルを使いますが、実際に羽をむしったりするのではなく、品目の長押しとコース選択だけで自動的、瞬間的に解体されてしまうようです。
全解体コースと丸鳥コースがあるようですが、鳥の丸焼きにするわけではないので全解体コースを選択すると、胸、もも、レバー、手羽先、ぼんじり、せせり、と言った細かい部位のリストに表記が変わりました。
むしられた羽毛や骨、血液などもアイテムリストに加わっています。
今回はもも肉に塩胡椒をし、マスタードソースをつけたシンプルなチキンステーキを三枚焼き上げました。
鶏肉を焼くのも初めてですが、総合調理と肉料理のスキルのおかげか、綺麗に仕上がりました。
ジュルリ(ワインでいただきたい)
「今回は釣りの餌ですから」
別にバザールから買ったレタスと一緒に新しいプチフランスに挟んでサンドイッチにし、キッチンペーパーでくるんで調理終了です。
所要時間はざっと三十分ほど。
食品鑑定によると、
野性味あふれるチキンステーキサンド
レアリティ :レア
品質 :最高
食事効果 :バイタル3段階回復
ストレンクス(中・6時間)
「ストレンクスが中ですね」
ただのプチフランスならバイタル2段階回復にストレンクス(小)だったのですが、ひとまわりパワーアップしてしまったようです。
ジュル(電撃や麻痺への耐性がつかなければ問題ない。討伐が目的ではないからな)
「はい」
あまりに準備に時間を掛けてもいられません。三つのチキンステーキサンドをアイテムボックスに収容し『チキンフォレスト』に再突入します。
空に巨大鮫の姿はなく、見張りに残った白いバロメッツの姿も見当たりません。離れている内に移動をしてしまったようです。
「戻りました。状況はどうでしょう?」
無線機を使って呼びかけると、短いノイズの後に返信がありました。
メエェ(南に三キロの位置に移動している。今のところ大きな変化はない。西の方に生産村が見える)
「人里があるんですか?」
メエェ(生産職の冒険者が集まって作ったダンジョン内のコミュニティだ。状況によっては警告してやったほうがいいかもしれない)
「了解しました。トラップの設置に取りかかります。引き続き追跡をお願いします」
メエェ(了解)
アイテムボックスからスコップを出し、セーフティーエリアを出てすぐのところに九つの穴を掘り、九つの電磁トラップユニットを埋めて行きます。
電磁トラップユニットは九つで一セット、地上に九メートル×九メートルの放電フィールドを創り出して範囲内の生物を一時的な麻痺状態に陥れるそうです。
アークシャークを誘い出して放電に巻き込むとなると、当然歯に挟まったバロメッツも巻き込まれてしまいますが、
メメェ(死ぬことはないだろう)
とのことなのでよしとします。
新しく取った罠設置スキルとアンダーテイカーのスコップ、穴掘りスキル、神餐のプチフランスのストレンクス効果が効いているようで、トラップユニットの設置は五分もかからずに終わってしまいました。
「設置完了です」
釣りの餌に相当するチキンステーキサンドはまだ置いていませんが、あまり急いで置くと匂いが弱まってしまいますし、関係のないモンスターを引き寄せてしまったりしても困りますので、まだアイテムボックスに入れたままです。
メメェ(行くとしよう。釣り餌を出してくれ)
「お願いします」
チキンステーキサンドを入れたバスケットと通信機を黒いバロメッツに渡します。
ジュ……メメーェ!(……作戦を開始する!)
また少し「ジュル」が出そうになっていたようですが、気合いを入れ直すようにキリリと一鳴きした黒いバロメッツは、首にバスケットを引っかけて空高く駆け上がり、飛び去って行きました。
そう待つこともなく、通信が飛んできます。
メメェ(こちらブラック、アークシャークを目視した。風上から回り込んで誘導をかける)
「了解しました。食べられないように気を付けて」
メメェ(心得ている)
落ち着いた調子で応じた黒いバロメッツですが。
間もなく。
メメッ!?(なにぃっ!?)
不穏な声を上げ、通信が途絶えました。
「トラブルですか!?」
再度の呼びかけに応じたのは、先にアークシャークを追跡していた白いバロメッツでした。
メエェ(こちらホワイト。余計なものが匂いに釣られてきた。アークシャークと一緒にレイド級のグレーターグリフォンがブラックを追跡している。グレーターグリフォンだけを引き離すのは困難だ。作戦の中止を提案する)
グレーターグリフォンという単語は初めて聞きますが、鷲とライオンが合体したモンスター、グリフォンの強力なものでしょう。
「追いつかれそうですか?」
メメェ(こちらブラック、距離はキープできている)
今度は黒いバロメッツから応答がありました。
メメェ(差し迫った危険は無いが、このままではそちらに二匹連れて行ってしまうことになる)
「構いません。距離が確保できるようならそのまま誘導を続け、予定通りバスケットの投下をお願いします。モンスターに距離を詰められるようならそこで放棄を」
メメェ(二匹同時となると動きを読みきれない。君のリスクが大きい)
「ここで戦闘不能になっても復活できるんですよね?」
バイタルを削りきり、ブラックアウトするようなダメージを受けたとしても、PPが半分なくなって装備品がロストするだけのはずです。
メエェ(仕様的にはそうなっているが)
メメェ(無謀な行動を推奨するものではない)
「正面から突撃をかけるわけじゃありませんから」
メエェ(やれやれ、どこまでも酔狂なレディだ)
メメェ(くれぐれも慎重に動いてくれ)
メエェ(先行して戻る。追加の餌を用意してもらいたい。奴らを分散させられないか試してみよう)
白いバロメッツが言いました。
「わかりました」
メメェ(では、こちらは少し時間を稼ぐとしよう)
「お願いします。気を付けて」
大詰めが近づいて来たようです。




