第五話 初めてのランク戦
重い足取りで”ランク戦会場”に向った。
準備室に入った僕は、ただならぬ雰囲気を感じた。
周りで待機してる冒険者達は、獲物を前にした猛獣みたいな目つきをしている。
貸し出している、武器は色々な物があり、斧と短剣で迷っていた。
オノは大きすぎる...
そう考えた僕は、短剣を手に取った。
試合を映しているモニターを見て周りがざわつき始めた。
「風魔法を器用に使い最後まで舞台に立っていたのは....リガルウゥウ!!!」
舞台は拍手に包まれている。
ん?リガル...?どこかで聞いたことあるような..
ふと思いながらモニターに目をやった。
えっ!?
なんとそこに移っていたのは、冒険者ホールまでの道を教えてくれたリガルだった。
リガルも冒険者だったのか。
「続いての対戦者は、期待のルーキー:かずき!! VS 無属性の蒼眼:りょう!!」
なんてダサい二つ名だ...
少し腹を立てながら舞台に向かった。
「おっ!りょうじゃねーか!もうさっそくランク戦か?」
色々考えながら下を向いて歩いていると、試合終わりのリガルとすれ違った。
「そうなんだ。短剣で挑むつもりさ。ありがとうリガル」
「おぅ!頑張れよ!」
リガルは嬉しそうに去っていった
ーさぁー いよいよ試合だ。
中学の頃、陸上部だったことからこういった舞台には慣れていた。
かずき..?こんなに体大きかったっけ?
いざ、かずきを前にしたら少し足がすくんだ。
かずきも剣を選んでいた。
「みんな盛り上がる準備は出来てるか~い?いくぞぉお!」
なんて、声の高い司会者だ..
裏声もどきの司会者が一つ咳ばらいをして、マイクを強く握りしめた。
「ランク戦...!READY....GO!!」
試合開始の合図と共にかずきは剣を振り上げた。
しめた..!
思っていたより動きが遅い
スピードには自信があった僕は、左足に力を入れ、かずきの懐めざして思いっきり飛び込んだ。
「なっ..この野郎、ちょこまかと!!!」
右の横腹に僕の剣がヒットした。
ーよしっこのままいけば勝てるー
さっきまでの恐怖心は自信へと変わっていた。
少し、距離を取ったかずきが大きく剣を振り上げた。
ー今がチャンスだー
今しかないと思い、声をあげながら突進した。
「そこだぁああ!」
その瞬間、かずきは剣を投げ捨てた。
かずきの顔を見ると、笑みを浮かべている..
嫌な予感がした。
ーまさか!?ー
「炎魔法 ” 焔 ”」
ものすごい勢いで火の玉が飛んでくる。
「うわぁああ」
かずきの手から放たれた火の玉が僕に直撃した。
くそっ...約束と違うじゃないか...
一瞬目の前が真っ黒になり、気が付いたら、吹き飛ばされていた。
短剣を拾わないと..
落とした短剣を拾おうと手を伸ばした。
「ガッ」
.........ッ!!
手がかずきに踏まれていた。
「おいおい、そんなもんかよ!!さっきまでの勢いはどこいったぁ"ぁ"あ"!」
ヒッ...恐怖が僕の体を包み小刻みに震えているのが分かった。
そんなことはお構いなしで、かずきは僕の顔を蹴り上げる。
「お前のそういう馬鹿正直なところが、大っ嫌いなんだよ!!」
僕にまたがり、顔を殴り続けた。
「勝者は、、期待のルーキー:かずきぃいいいいいいい!」
拍手と歓声が響き渡った。
勝者が決まり、安心した...もう殴られないで済む...
-ドスッ-
えっ?
勝負はついていたが、かずきは僕の顔を殴り続けた。
恐怖で声が出ない...
「ちょっと~!やめなさい!勝負はついています!誰か!誰か止めてください!」
「うるせぇ!離せ!触るんじゃねぇ!」
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薄れゆく意識の中でかすかに声が聞こえた。
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