第四話 冒険者登録
「冒険者登録はこちらです!!」
冒険者ホールに入ると、たくさんの人で賑わっていた。
2階に繋がる階段が左右にあり、正面には、"冒険者登録する窓口"や "報酬受け取り口"、どうやら2階に食堂もあるようだ。
冒険者登録をするため、受付カウンターに行こうとしたその時、
ードンッー
「邪魔だ、どけよ"クズ"」
どこかで聞いたことがある声がしたと共に、嫌な予感が頭をよぎった。
擦りむいた足を立て、起き上がろうと上を見上げた。
嫌な予感は的中した。 ー"かずき"ーだ。
不運なことに、かずきもこの近くに転生したらしい。
刺激はしたくなかったので無言で立ち上がった。
「はい、次の方どうぞ~」
........チッ。
ひとつ舌打ちをすると、かずきは窓口へと向かっていった。
はぁ...
大きくため息をついた。
少し立って、"かずき"が口角を歪めて奇妙な笑いを浮かべながら窓口から、出てきた。
なにか良いことでもあったのかな。
「次の方どうぞ~」
【 いよいよ僕の番だ..! 】
「大変お待たせしました。では早速、-冒険者-について軽く説明させていただきます。」
後ろが詰まっているからかお姉さんは足早に話を進めた。
おぉ..いかにも異世界っぽくなってきた。
ごくりと唾をのみこみ、話に意識を集中させた。
「冒険者にも他の職と同じでランク制度があります。」
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・*GM*(グランドマスター)
・*M*
・SS
・S
・A
・B
・C
・D
・E "+100"でランクアップ↑
"-100"でランクダウン↓
・F
-------------------------------------------------------
最初は、-Fランク-から始まり、ランク戦で"勝てば"ランクが上がる。
"負ければ"ランクが下がる。
単純なシステムだ。
ランク戦を勝ち続けて+100Pになると次のランクに昇格できる仕様だ。
大事なのはF-100Pになると冒険者適性がないと判断され、冒険者職をはく奪されるという事だ。
「続いては、魔法についてです。」
説明が思いのほか長かったのでまとめてみた。
1.魔法は"一人一属性"付与される。
2.魔法属性は天性のものであり、変更はできない。
3.魔法は町内では指定区域以外での使用を禁ずる。
4.属性の種類
---------------------------
火・水・草・風・岩・雷・闇・光
闇魔法は"魔族"にしか使えないらしい。
---------------------------
5.魔法にもランクがある
D < C < B < A < S <測定不可
こんなところだ。
「では、さっそく属性判定に移ります。この魔水晶に手をかざしていただくとご自身の属性がステータスに刻まれます。」
-ついに来たか-
興奮でとても冷静ではいられない。
やっぱり無難な火属性か、いろいろな用途で使えそうな水属性がいいかな。
感情の熱が高まり、期待を胸に、手をかざした。
ーーポワッーー
魔水晶から光が溢れ出した。
一瞬もしないうちにお姉さんは言った。
「これで大丈夫です。"ステータス"と心の中で念じてみてください。ステータス欄の右上に属性が表示されているはずです。」
僕は言われるがままステータスと念じた。
====ブゥゥン====
立体的なパネルのようなものが飛び出した。
おや..ステータスに何も書かれてないぞ...?
そう思いつつお姉さんの顔を見てみると明らかにさきほどとは表情が違う。
引きつっている。
なんとも言えない顔をしているのだ。
お姉さんは言いずらそうに、口を開いた。
「あ、あの...なんて言ったらいいのか...」
" なにをためらっている。"
早く..早く言ってくれ..!
ついにその時は来た。
「無属性です。」
「へ?」
理解が追い付かず口を開けたままーポカーンーとしていた。
「無属性というのは魔法が使えないという事です...」
そんなことは百も承知だ。
はぁ..
大きくため息をついた。
せっかく0から始められると思ったのに、何も変わっちゃいない。
向こうの世界でもこっちの世界でも、本質は変わらないという事か。
無属性も一つの才能 ...無属性なりに。成り上がってやる。
無理やりポジティブに解釈し、お姉さんに礼をして、その場を後にした。
「...でもおかしいですね...無属性の人は皆ステータスに{無}と書かれるはずなんですが..ブツブツ...」
お姉さんは、僕が去る際に何やらブツブツ呟いていた。
いっその事、冒険者をやめて、料理人になるか..
やるせない悲しみを浮かべながら、出入口を目指した。
出口まであと一歩という所で"かずき"が話しかけてきた。
足早に通り過ぎようとしたが..
「まてよ..お前無属性なんだって?どこに行ってもクズはクズだな。」
........っ!!
上唇をかみしめながら、もう、構わないでくれと心から思った。
「おい、俺とランク戦しろよ」
うすうす気づいてはいた。
かずきは昔から、新しいことを覚えると試さないと気が済まないタイプだった。
自信満々な所を見ると、かずきは何らかの魔法適正があったのだろう。
「お前、俺のことが嫌いだろ?俺もお前のことが嫌いだ。勝てばポイントも増えるし"一石二鳥" どうだ?いい提案だと思わねーか?」
魔法を見たことがない僕でも、無属性の僕に勝機がないことは分かった。
「いや、僕は無属性だし....勝負にならないよ...」
僕は説得しようと試みた。
「俺も魔法使わないで戦ってやるよ。まだ使い方もよくわからねーしな。どうだ、対等だろ?」
噛み付かんばかりの顔つきで僕に近づいた。
納得はしなかった。
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しかし、ーそれなら僕にも勝機があるかもしれないとー 浅はかな考えで、首を縦に振った。
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