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※2◆私の愛し子◆

一度も心の内を書いてなかったビオラ編です。

 アンナが転生し目覚めてから十年。

 アタシはずっと一緒に暮らしてきたの。

 前世で神から大聖女ジュリアーナの魂を貰ったにも拘らずたった二十歳でフォルガァの所為で命を失ってしまった杏。

 でもそのお陰でアタシはやっと彼女に会えたの。


アタシはね、あの子が修道院に置き去りにされるところを偶然見てしまって気に掛けていたの。だからフォルちゃんがジュリアーナを見つけるもっと前から彼女の事を見て来たのよ。

 契約とかそんなのじゃなくてただあの子が困っていたら助けてあげたいって。

 ただそれだけ・・・その気持ちが愛し子というものだと後になって気付いた。

 でもあの子は強かった。自分の力で何でも解決していったわ。そして最初は無かった聖女の魂がいつの間にか芽生えどんどん成長していき並みの聖女と比べられないほど大きく強くなっていったのには驚かされたわ。

 フォルヴァと国を救うために旅立った時アタシはジュリアーナの助けになりたいと契約を結ぼうとした。

 だけど、神が出て来て今世では駄目だといい、愛し子に近づくことが出来ず契約を結ぶことが出来なかった。

 そして愛し子は命を終えてしまった。


 あれから何代かの聖女が世を去りアデライト王国に次の聖女は中々誕生しなかった。そして瘴気がこの国に満ちて来たからアタシは他国へと旅立った。

 何百年待ってもアタシの愛し子は見つけられなかったのにある日突然聖女の力を感じもしかしたらとこの国へと戻って来た。

 だけど生まれた赤子はアタシが探していた子では無かった。それでも諦めきれず留まっていたら別の所から気配を感じたの。

 一瞬鳥肌が立ったわ。

 その魂の元へ駆けつける最中に瘴気は浄化されこの国は救われた。

 絶対に間違いない!確信をもってその場所に辿り着いてみたら・・・


 そりゃ驚いたわよ。だって、聖女が生まれた時にすべての災いを消すと言われていたのにそこにいたのは生まれたばかりの赤子ではなくベッドに横たわる七才の少女だったんですもの。

 でもまぁそんな事はどうでもいいわ。ジュリアーナの魂を持ってる子なんだから。

 少女に一言念話を送ったら彼女は直ぐに応えてくれた。

 その時アタシの心が震えたの。ジュリアーナの魂だからではなく「杏」の魂に。

 不思議だったわ。精霊のアタシがこんなに心地良い気持ちになれるなんて。

 もう止められなかった。だから何も説明せずに契約を結んでしまって後から現れた神に窘められたけどしょうがないじゃない。

 愛し子だってアタシの魂が感じてしまったのよ。

 全身全霊をかけてアンナを守り尽くすわ。


 アンナは神にジュリアーナの力を戻され成長していった。

 アタシは魔法の使い方や魔力の制御の仕方を教えた。

 ある日何かをコソコソとやっているのか何だろうと覗いてみると何かペンに細工をしているみたい。

 できたー!と声を上げた手元を見ると通常のペンより太いものが握られていたので聞いてみると。


「あっ、ビオラ。これはペンよ」

 と屈託のない笑顔で答えてきた。

「ペンは分かるけど」

「あのね、父さまが執務時に指が疲れると言ってたの。それはきっとあの細いペンをずっと握っているからだと思うのよね。それに何回もインクの瓶と行ったり来たりで」

「まぁ書類仕事はそうなるわね」

「うん、だから疲れないように大きな手の人が持ちやすくして、筒の中にインクの壺を入れたのよ」

「はい?」

「ちょっと見てて」 

 まだインクの入った瓶にペン先を付けていない真っ新なペンで紙の上を滑らせると文字が浮かび上がっていった。

「???魔法を使ったの?」

「やだ、ビオラ違うわよ」

 笑ながらアンナはその太いペンをくるくる回し二つにすると中から細いガラスの容器が出て来てその中にはインクが入っていた。

「なにこれ?」

「私のいたところでは万年筆っていうのよ」


 彼女には前世の記憶がある。

 魔法が自由に使えるようになってから前世で使っていた便利な物をいろいろ作り出していった。

 材質的にどうしても作り出せない物もあるらしいけど本当に身近で便利な物を前世の記憶を駆使して魔法も使いながら作り出すことに熱中していた時期だったわね。


 例の万年筆とやらに関しては旦那様が大そう喜びうちの子は天才だと褒め称えていたわ。

 でも娘の才能は世の中を変えるかもしれないととも思って魔法も発明品も他人の前では披露してはいけないと命じたのよね。

 本当に面白い子だと思った。

 アンナの傍に居るのが本当に楽しい。

 本当は契約を交わし加護を与えたからといってずっとそばにいる必要はないのよ。

 精霊は自由だからね。愛し子が困っている時や自分が会いたい時に行けば良いだけだけどアタシはアンナの傍から離れたくなかった。


 アンナはジュリアーナの面影を残し美しい少女に成長していったわ。

 そして運命のデビュー。何か起こる予感がしてアタシとフォルちゃんは姿を変え彼女の傍に付こうと話し合ったの。

 予感は的中したわ。

 女性をよけつけないと言われていた第二王子に見初められてあっという間に婚約しちゃったんですもの。


 彼はアンナの魔力量もひと目で把握してしまった。

 神が最後に言っていた【その力を最大限に引き出してくれる者にこの先出逢う】というのは第二王子のバージルの事だったのね。

 彼にとってアンナが唯一無二の存在だと知ってしまったのよね。

 それからというものはあの手この手でアンナを自分のもにしようと必死で見ていて面白かったわ。

 側近のダニエルも同じように思っていたみたい。

 でもあの初心なアンナを婚姻まで結ばせることが出来たバージルを誉めてあげたいわ。


『アンナ、国を救うなんて大そうな事を言ったけど、それが起こるとは限らない。今の生を杏として前世で出来なかった事、例えば恋とか・・・恋とか・・・とにかく二度目の人生を謳歌してね』

 神はそう言った。

 今も天からこっそりのぞいている事は知ってるけど安心してちょうだい。

 アンナはちゃんと恋もして自分の人生を生きてるわよ。


 何にせよ、アタシはアンナが幸せならそれでいいの。

 色んな事があったけどアタシはずっとアンナについていくわ。




こんな感じでゆーるく投稿させて頂きます。

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