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66*②大聖女降臨?否勇者?

 アンナは登場した時と同じように空中に浮遊し、上から魔力を込めセルゲイを攻撃した。両手でそれを抑える彼の袖口が焦げ微かに煙があがりました。

「ちっ」

―――なんだ、この魔力の強さはっ。

 じりじりと彼の身体が後ろへ下がって行きます。彼は術式に送っていた魔力を自分に戻しようやくアンナの攻撃をはじき返すことが出来た。

「くそっ、これでどうだ!」

 新たな術式を出すと「風よ雷雲を呼び雷を打て!」と天を仰ぎ唱えた。

 見る見るうちにコロシアムの上空に暗雲が立ち込め雲の中で稲光がピカピカと光り始めたかと思うと突然雷がアンナ目掛けて落ちてきました。

 宙に浮いたままのアンナが手を翳すとその手には盾が握られ落ちて来た雷を弾き飛ばします。

《凄いなあの盾は》

《当り前じゃ、あれは大聖女の盾だ》

《えっ?!》

 バージルはフォルヴァがから聞き改めてアンナの姿を目で追った。

 アンナは次から次へと落ちて来る雷を身軽に除け盾で弾き返していた。

 弾かれた雷が観客の前の防御壁に当たる。

 それは貴賓席の目の前にも飛んで来ると、マリーが「ひぃっ」と声を上げデオドールにしがみ付きます。

「大丈夫だよマリー」

「お兄様、あれは本当にジュリアンナお姉さまなのですか?」

 声を震わせて聞いてくるマリーにデオドールは

「我もここまでやるとは思わなかったよ。でもあれは間違いなくアンナちゃんだね」

「お姉さま凄すぎます。きゃぁー!」

 稲光がするたびに悲鳴をあげるマリー。


 アンナが弾き返した雷の一つがセルゲイを直撃し観客から悲鳴が上がりました。

 彼は魔力で避けたもののタイミングがずれ右半身に火傷を負いその場に膝をつく。

「うっ。。。」

 アンナが片手を天に向け指を伸ばすと風が吹きあっという間に雷雲を消し去りました。

 腕を抱えうずくまるセルゲイの傍に降り彼を見下ろしながら

「まだ続けますか?」

 と首を傾げ聞いてみる。


「こんな程度で負けはせん!思い知るが良い」

 彼の顔は火傷の苦痛に歪みその目は正気を失っていた。


ビオラ《あーあ、やっぱ呼んじゃうみたいよ》

バージル《召喚獣か》

フォルヴァ《やめて置けばよいものを》

ドロップ《わーい、出番だわ♪》



「召喚獣ライアンよ。我の元へ」

 セルゲイの言葉に巨大な炎を纏った獅子の姿の召喚獣が姿を現した。

 観客から悲鳴があります。

「あの小娘を丸焼きにしてしまえ!」

「グオォォォー」

 ライアンがアンナに炎を吐きながら襲い掛かって来ました。

 アンナはそれに魔力をぶつけ反撃し呟きました。

《本気出したいわ》

ビオラ《聖女の力は使っちゃ駄目よアンナ》

バージル《えっ、まだ一度も使っていないのか?》

ビオラ《魔力だけで十分だったでしょうバージル》

アンナ《まだいっぱい魔力は残ってるんですけど》

ドロップ《生身の人間一人で召喚獣に勝ったらまずいでしょ!早く私を呼んで。そうじゃないと勝手に出て行くわよ》

アンナ《分かったわ》


 火炎放射器の様な攻撃をよけながらアンナがドロップを召喚します。

「出でよドラゴン!」

ドロップ《あらー、前と召喚の詠唱が違うけどまっ、良いかっ。いくわよー!》


 コロシアムの中央に巨大な水の塊が現れそれを破るようにいきなりドラゴンと名付けられた龍が登場した。

 あの三十センチほどしかなかった龍は十メートル程の大きさになり雄叫びを上げる。

 その声は雷鳴のように響きコロシアム全体を揺るがしました。

「おお、これは凄い!」

 あの時は可愛い龍に笑いが止まらなくなったデオドールも巨大化した姿に驚いていた。

 初めて見る二頭の召喚獣に人々は恐怖を覚え身近な人と抱き合い震えた。


 二頭の戦いは凄まじかった。もちろんドラゴンのドロップは手加減をしている。

フォルヴァ《つまらんのう》とぼやきます。

ビオラ《久しぶりに暴れてるから楽しんでるのよ》

バージル《あれでドロップは遊んでいるのか?》

ビオラ《ふふふ》


 空の上で絡み合う二頭の召喚獣。

「くそっ、こんな見た事も無い上位の召喚獣迄呼ぶことが出来るなんて何なのだ、この小娘は!」

 傷だらけのセルゲイに焦りが見え始める。

 どの位攻防が続いたのか面倒くさそうにビオラが言ってきました。

《アンナ、もうそろそろ飽きて来たわ。止めを刺してくれる?》

《分かったわ、ビオラ。ドロップそろそろ良い?》

《了解。もう少し遊びたかったけど仕方ないわね》


 アンナはドロップ扮するドラゴンの頭の上に飛び乗り戦いで弱って来た獅子獣ライアンに向かって正面から突進してゆく。

 そして獅子の頭に飛び移ると龍の身体が獅子に巻き付き締めあげました。

《今よ、アンナ》

 ドロップの声に待ってましたとばかりにいつの間にか腰に下がっていた剣を抜き獅子の眉間に突き刺した。


「グオォォォ・・・」

 召喚獣は最後の断末魔を上げ煙と共に消えてなくなった。


 龍の頭に乗ったアンナが地上へと舞い降りてきました。

 剣をセルゲイに向けると

「私の負けだ・・・」

 と彼は火傷でただれた腕を抑え地面に崩れ落ちていった。


 観客が総立ちになりアンナにエールを送ります。

 アンナはそれに応えるように剣を天に向けて掲げました。


《あの姿は聖女じゃなくて正に勇者ね》

 ビオラが笑い出しました。


「私の嫁はあんなに強いのか・・・」


 念話の効力が切れたバージルが零した言葉にデオドールとサミュエルが苦笑します。

「陛下、笑ってないで最後の締めをお願いしますよ」

 バージルは居たたまれない気持ちを抑えながら皇帝に最後の仕事を催促します。

「そうであった。衛兵、セルゲイをもう一度拘束しジョルジュと共に中央に引き連れよ!」

「はっ、!」


 うな垂れた二人の魔術師を見据え

「聖女マリー殿、ジュリアンナ妃お願いする」

 と皇帝が頭を下げます。

 ビオラが周囲には分からないようにマリーに魔力酔いをしない粉を振りかけるとバージルがマリーを抱き上げてアンナがしたの同じように魔力を使い宙に舞い地上にいるアンナの横に下りる。マリーを降ろすと直ぐにアンナを抱き寄せススだらけになっている顔を自分の袖で優しく拭い「お疲れさま」と額に口づけました。

 観客席から歓声とため息が漏れてきます。

 アンナはバージルに微笑むとマリーの後ろに立ち両肩に手を乗せます。

「ジョルジュ、セルゲイ貴方達は皇妃陛下に非道なる術を掛け苦しめました。その罪により聖女マリーより罰を与えます」

「罰・・・」

「そうです。これ以降聖女マリーにより貴方達の魔力は永久に封じます」

「そ、そんな私から魔力を取ったら何も・・・」

 アンナは彼の言葉を無視するとジョルジュが逃げ出そうとしたので拘束魔法でマリーの前と引きずり戻しました。

 セルゲイは気力と魔力を使い果たしぐったりとしたままアンナの言葉を聞いていました。

「聖女様お願いします」とマリーを促すとマリーは頷き両手を二人に向け瞳を閉じました。

 マリーは肩に置かれたアンナの手から送られてくる聖女の力を自分の体中にめぐらした後

「そなたの魔力と思考の一部を永遠に封じます」

 聖女らしく凛として言葉にすると同時に聖女の手から緑色の光が放たれ魔術師を包み込み彼らは断末魔のような声を上げた。

 光から解き放たれた二人はもはや廃人の一歩手前であった。

「貴方達は生涯魔力を封じられたのと同時に皇妃さまに掛けた術式魔法が解かれそれが掛けた本人に戻る魔法返しを受けたのです。魔法返しは己の術の倍以上になって返って来るのですよ」

 アンナは冷ややかに述べた。


 こうして断罪の為の魔術大会は幕を閉じた。


 後日投獄されている二人の大公はそのまま一生を牢獄で過ごすことなり新しい大公が選ばれることになる。

 シャービスの娘ルイザにはもう精神的に病んでいると見なされ魔法返しはせず修道院へ送られることになった。


 たった七日間の出来事でしたが怒涛の七日間でもありました。

 デオドールは外交として自国に無い鉱物資源の入手を取り付け目的を果たし帰還する日取りも決まった。。

 

 あれ?そういえばでも新婚旅行はどうなっちゃったんでしょう・・・。

 



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