60*作戦会議と陰謀
◆◆◆作戦会議
「今日は良い買い物が出来たわね」
アンナは上機嫌でした。
「そう言えば魔術大会の方はどうなったのかしら」
ルンルン気分のアンナはビオラの一言でハッとします。
「そうだ、作戦会議をしなくちゃ!バージルとダニエルを呼んで来て」
「はーい」
アンナとバージルの部屋に昼間の四人がまた集合しました。
「デオドール様から何か聞いてます?」
アンナがバージルに確認を取ります。
「ああ、先ほど陛下と話し合った内容を聞いてきた。今日中に召喚書を出すそうだ。内容はアンナが言った通り優勝者には帝国魔術師の名誉よ称号を与える。それとアンナにももう一度確認を取ってくれとも言っていたぞ」
「本当にお嬢が出て行って大丈夫なのか?」
ダニエルが心配そうにアンナの顔を覗き込みます。
「うん、あたしは問題ないんだけど、相手がもし召喚獣を出して来たらどうしようかなと・・・一人で勝てちゃうけどそれだとまずいでしょう?」
「それは、ダメだな」
バージルが渋い顔をします。
「たぶん捕まえた時点で召喚獣を呼ばれる可能性が大ね」
「召喚獣は強いのは知ってるけどどの位強いのか」
ダニエルがビオラに聞くように顔を向けます。
「そうね、そこそこかしら」
「精霊の云うそこそこが分からん」
ダニエルは頭を抱えてしまいました。
「でも召喚獣には召喚獣で対抗しないと見た目的に駄目よね」
「だったらあたしがアンナの召喚獣の代わりをするわよ」
いきなりドロップが現れました。
「アンタ何言ってるのよ!」
「だって~ずっと退屈してるんだもん。マリーの相手だけじゃ身体がなまっちゃってぇ」
ビオラが声を上げるもドロップは惚けて言い返します。
「精霊殿が召喚獣の代わりをするというのか?」
バージルもそんな馬鹿なことをして良いのかと猫のドロップを抱き上げまじまじと見ます。
「あなたの大事なアンナちゃんを召喚獣と戦わせたくないでしょう?」
「それは当然だ」
「それにフォルヴァは聖獣だから出す訳にいかないと思うし」
「確かに聖獣を出すわけにはいかないな」
「だから私が化けるのよ。一方的に勝っちゃうとまずいから上手い事お芝居しながらやるわよ」
「うむ」
「どうするアンナ?」
「ビオラどうしたらいい?」
「うーーーん、しょうがないわね。もし相手が召喚獣を出して来たらドロップに相手をさせるしかなさそうね」
「やったー!ドラゴンなんてどう?」
そう言うといきなりドロップは猫の姿から龍の姿に変化しました。
「うわっ!!!」
バージルは驚いて変化したドロップを投げ落とします。
「痛いじゃないのよー!」
「だっていきなり変化されたら驚くだろうが」
バージルが冷や汗を掻いているのを見てアンナとダニエルが吹き出してしまう。
「お前たち覚えていろよ」
「ナルホドネ。水の精霊だから伝説の龍、なかなか良いじゃない」
ドロップがドラゴンと云うからアンナは異世界漫画に出て来る恐竜に翼が付いているものを想像したが、それではなく日本や中国で言われるところの龍神の様だった。
三十センチほどの龍は嬉しそうに飛び回ります。
「この大きさじゃ威厳は無いな」
ダニエルが苦笑すると「フン!」ドロップは鼻息を吐いた。
「では、ドロップは召喚獣が出た場合の助っ人要員と云う事で。宜しくね」
「はーい」
ドロップはそう返事をしながら口から小さな火を吐いたのでした。
翌日帝国に属する各領に早馬が出され各領より高位魔術師一名を出す様にと皇帝命が四人の大公へと告げられたのでした。
◆◆◆陰謀
「チャンスが向こうから舞い込んでまいりましたな大公様」
「うぬ。お前が帝国魔術師となれば我が国を占領した憎き皇帝を葬り去る事も容易くなると云うものよ」
「それより皇后はまだ存命なのですかね」
「原因不明の病とは言っているがな。全く公の場に出て来ては無いのだからかなり衰弱しているのではないか」
「側室も持たず皇后一人を愛す皇帝ですから彼女が死んだら自暴自棄になると思われます、その時がチャンスですね、次期皇帝の座は貴男の手に。くくくっ」
ある領ではこんな会話がなされもう一つの領でも・・・
「魔術大会で帝国魔術師ですか。面白そうですね」
「ふふ、勿論お主が帝国魔術師になるのだから楽しんでやればよい」
「他の者がどれだけの術を使うのか知りませんが私には召喚獣もおりますからね。他の領の魔術師どもの鼻をへし折ってやりましょうぞ」
「あはは、それは楽しみだな」
「それにしても先日の歓迎晩さん会の時もナリスティア皇后のお噂は出ませんでしたか?」
「ああ、病に伏せ居るとしか聞かぬな。やはりお主の術と我が王女の呪いが効いておるのであろう」
「あれだけ複雑な術式と呪いを掛けたのですからかなり苦しんでいると思いますよ」
「苦しめばいい・・・娘からサミュエル・キャメロンを奪った女だ。そして娘を捨てたキャメロンも又妻が苦しむ姿を見て己も苦しみ嘆き悲しめば良いのだ」




